女子の団結

 中学2年生に上がり、新しいクラスが発表された私は迅速に行動した。男子を追い出した放課後の教室に、女子全員を集める。


「佐藤に優しくしない方がいいよ。」


 私は教壇からそう告げる。佐藤は新しいクラスで一番のキモい男子だ。


「あいつ、キモいから。優しくするとさ、勘違いされて告白されるよ。」


「うわ、ありそう。」


「確かに。」


 去年から仲良しグループはザワつく。それ以外の女子もそうかも、と反応上々。


「けどそれって、いじめじゃ…」


 優しいだけが取り柄の地味な子が言い出す。イライラしつつ、私は女子の掟を教える。


「自衛だよ。そんなこと言って優しくしたら勘違いされてストーカーされるよ。無視する訳じゃない。ドライに、クールに対応するの。これ女子の基本だから。覚えないと、この先やってけないよ。」


「なるほど…」


「それにあいつ、この間逮捕されたストーカー殺人犯に似てるじゃん。眼鏡も、そっくり」


 くすくす、大ウケ。黒縁のプラスチックフレームの眼鏡に三角の顔。似てる似てる。


 こうして女子の団結はスタートした。佐藤には塩対応。だって勘違いされて好かれたら迷惑だから。


 いじめじゃない。キモい佐藤は男子からも浮いて、学校に来なくなった。


 女子の団結の勝利だ。

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