うさぎは寂しいと死ぬ
「うさぎは寂しいと死んじゃうんだよね。一匹じゃ駄目だよ。クッキー、きっと寂しがってる。」
ヨウコはそう言った。ミニウサギ、一匹二千円。大した値段じゃない。
「しょうがねえな。ペアで飼おう。俺らみたいに。」
「やったーありがとー名前は、ラッキーにする。」
「クッキーにラッキーか。かわいいじゃん。」
一回りも年下の彼女に俺はどうしても甘い。こうして新しいウサギを買い、同棲しているアパートに戻った。二羽のうさぎ。小さいし、問題ないだろう。
そう思った翌朝の早朝に前からいたクッキーが、新入りのラッキーを噛み殺した。
血に染まったゲージの前でヨウコは泣き崩れ、クッキーを残して出ていった。
ヨウコと別れてから知った。うさぎは寂しいと死ぬ。それは迷信でオス同士のウサギは縄張り意識が強く、同じゲージにすればどちらかが死ぬまで殺し合う。
罪悪感もあって、俺は実家に出戻りして着信拒否状態のヨウコが残したクッキーを育てることにした。そのつきあいは皮肉にもヨウコより長いつきあいになって、先月寿命で死んだ。
うさぎは寂しくても死なない。だけど俺は、寂しくて死んでしまいそうだった。
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