【完結済み】パーティーメンバーを追放する最弱勇者に転生してしまった自分はざまぁ展開から逃れるため仲間の追放を何としても阻止します!
第6話 勇者パーティーを追放した最弱の自分はせこい方法でお金を稼ぎます!
第二章 ペルペッコ・モンタージュの転売屋編
第6話 勇者パーティーを追放した最弱の自分はせこい方法でお金を稼ぎます!
☆☆☆エクシリオ・マキナのその後
曇天の空の街並み。自分は古びた屋台に座っていた。今日も仕事の時間が訪れる。
ジエイミが追放されてからいろいろなことがあった。沢山の悲しい事や辛い事があった……だから、自分は働くのだ。
「はいはい~子供にしか与えられなかった。先代勇者のサインだよ~今ならなんと金貨二十枚のところ! 銀貨十枚! 早い者勝ちだよ~」
冒険者も勇者もやめて、勇者のサインの転売をしています!
「買った!」
元々子供にしかサインをしなかったのもあって、勇者信仰の根強い大人たちには高く売れる。
そもそも、モンスター倒して金稼ぐなんて自分には不可能なので、こうやって商人やってる方が性に合うんだな。これが
どうやら、エクシリオ・マキナは魔王軍に殺されて死んだとされているので、今の自分はただの商人で『ペルペッコ・モンタージュ』と名乗っている。
大体ねぇ、追放された奴がその後有能だったからって何だっていうんだ。
どうせ追放する側なんてプライドの高い連中ばかりだ。だから嫉妬で自滅して馬鹿を見るのだ。
だったら、執着なんかせずに割り切って撤退するに限る。そもそも他の二人も自分が追放して勇者パーティー自体なくなったのだ。復讐される意味もない! がはは!
現実に自分はこうして数ヵ月食い繋げている。
確かに勇者様と崇められることは無くなったが、元々クソステータスであったため今は解放された気分だ! 異世界楽しい!
でも、恐らくこの商売も長くは続かない。
だから、とっとと、このサインの書き方を別の人間に教えてとんずらだ!
「うえーん。うえーん。サイン無くしちゃったー」
近くで子供が泣いており母親が宥めているようだ。
「あぁ、私の可愛いルーイよ泣き止みな!」
「だってーあれ先代の勇者様に貰ったやつだったのに!」
陰に隠れて聞いている自分が情けない。これは……タダで上げようかな……
「やぁ、やぁ、私の可愛いルーイやこれを見てくれ」
自分のサインとは別のサインだな。え? おい待てや。
そのサインを見ると子供はすぐに泣き止んだ。
「え! これ今勇者のサインじゃん! うわあ! すごい! 激レアだよ! 先代勇者のなんてどうでもいいじゃん! うわーい。これで友達に自慢できる!」
しばくぞガキ!
「大体、先代って~何考えてるか分からないし。かっこつけのためにサイン描いているだけだって! 確かに描いてもらった時はすげえ嬉しかったけどさ。今勇者のがもっと嬉しいよ!」
「確かに先代勇者様なんてもう過去の古い人間だし。時代は今勇者様だよ。私の可愛いルーイよ!」
こうして自分のサインは無価値な物へと変わっていく。
後で聞いた話だがサインは子供の遊び道具として使われているとか。
今勇者サインの中に自分のサインを混ぜて当たったら負けのゲームらしい。
つまり外れ扱いだ。泣けるな……でも、稼げたので文句は言わない。
☆☆☆帰る場所
自分には帰る場所があった。
どうやらエクシリオ・マキナの死によりカクセイラン王国の内政は滅茶苦茶になっており、この街の辺境にある孤児院が閉鎖に追いやられていた。
養子に恵まれなかった子供達は跡地をこっそり使っている。
「あ、ペルペッコの兄貴~お仕事お疲れ!」
そして、いつ取り壊されるか分からない孤児院に自分はお世話になっているのだ。
ここに残された子供達は、四人いる。
一番年上の男子アラン。自分が来るまではリーダーをやっていたが、生活費を稼ぐ実力さえない無能なガキだ。正義感は人一倍強い。
「げ、ペルペッコ帰ってきてたの……今日も人として最低ね」
女子のサラヤ。背伸びしたい年ごろであるのか、かなり生意気でむかつくやつだ。
その最低な人間の金で食い繋いでるのはどこのどいつだよ。
「あーペルペッコ―お帰り~」
次いで、エミリーこの子は優しい子だ。ふわふわして少し危なっかしいところはある。
「あー! ネルプッコ! 君は馬鹿だね! バカペッコ! がははは!」
次いでダニー。御覧の通り、右も左も分からない馬鹿である。
なぜ、孤児院なのか? 簡単だ。ここにいるのは何かと都合がいい。
宿代もかからないし家事も子供がやってくれる。そして今ここは国の管理が行き届ていない。
だから孤児院に無数の仕掛けを用意して、もし、自分のやっている転売行為がバレて衛兵や裏家業の人間がここに訪ねてきても、逃げ道を確保した。
このガキどもに罪を擦り付けて自分は逃げられるのだ。
「やっぱすげーよ、ペルペッコの兄貴! 俺達だけじゃどうしようもなかったのに、こうも金を稼げるなんて! これで皆を学校に通わせられるぜ!」
「一応言うけどこの行為自体はかなりグレーゾーンどころかほぼほぼアウトなんだぞ。この勇者のサインが偽物だとバレれば捕まる。何事も引き時が肝心だ」
「でも、そんなヘマはしないじゃん。それに誰でも簡単に描ける歌まで作るなんて、天才以外にできないよ」
まぁ、元々が絵かき歌なんだけどな。誰でも描けなきゃ困る。
「「「「まん丸まるまる~まんまる~♪」」」」
子供達が歌いながら勇者のサインを描いている。
今日も孤児院は平和である。
☆☆☆近衛兵の女
翌日もサインの転売を終え孤児院へ戻ろうとする。
全然売れなかったな……おや?
重装備をした衛兵が自分を尾行している完全に音が聞こえるためバレバレだ。
恐らく自分の転売を告発した奴がいたのだろう。
上手く尾行を撒いて……
「そこの君!」
尾行ですらなかった! 力強い女性の声だ。
「はいはい、一体何の用で?」
「最近ここいらの場所で元勇者のサインを販売している者のタレコミが上がっている」
真っ向から来やがった。
「あぁ、聞いたことありますよ。確か、自分がやっていた屋台の――」
何かが顔の横を通る。
「隠す必要はない。そもそも君がその人物だという情報を既に掴んでいる」
あ、ダメな奴だなこれ。全く反応できないまま距離を詰められていた。
剣だって突きつけられているのだ降参するに限る。
「自分ですね」
「ご同行願おうか」
「はい」
女の近衛兵に捕まり、連行される……このままではまずい。
「……悩んでいるんですか? 主に人間関係で」
大体の人はこれで反応する。人間関係に悩むのはどこの世界でも同じだな。
なんだっけこれ占いのテクニックの……ガ〇ダム効果か。共通認識的な奴。
「君には関係ない」
「上官のことですか? 近衛兵さんも大変ですね~何か自分で自分に納得いっていないみたいですよ」
恐らく彼女は真面目なタイプであろう。悩みを抱えているのは、恐らくは……
「まさか、君……気付いているのか? 不正について」
……恐らくは、上官の不正だろう。商人の立ち話で聞いたことがある。
確か質の悪い衛兵に目を付けられると金をふんだくられるとか。
まぁそういうやつに目を付けられる前に退散するのが解決法なのだけど……
「商人の間では話題ですよ。近衛兵さんは知らないのですか? 脅されて賄賂なんて頻繁に起きていますって」
「……そこまでこの街の者は腐っていたか」
やはり! 彼女は正義感が人一倍強い。だからこそ騙しやすい!
「ところで~近衛兵さん。お話があります」
「なんだ? 解放してくれと願っても無理だぞ」
「いえいえ、解放なんてとんでもない。ですが、牢にぶち込むのをもう……いや、ほんの少しだけ待っていただきたいのです」
「どういうことだ?」
やはり彼女は疑ってかかる。だからこその悪魔の囁きだ。
捕まったら終わり。だから何としても潜り抜ける必要がある。
「この街で起きている近衛兵の不正暴きたくないですか? 自分ならいい方法があります。って! 話だけ! 話だけでも聞いてください」
「な、何を言う! だから私は――」
「貴方が正義感の強い人間であることは百も承知です。それは一目見た時から分かっていました」
「え?」
「普段の近衛兵なら賄賂を要求してくるのに、貴方はしてこなかった。そして仮に金を出したところで見逃したりはしないでしょう」
「それは当然だろう。国と街の平和を守るのが近衛兵の役目だから」
「だからこそ、貴方に伝えたいとっておきの情報があるのですよ……貴方にこそ頼みたいことです」
鎧の中で生唾を飲んでいるのが想像つく。
「自分と協力して、この街の不正を白日の下に晒しましょう」
☆☆☆孤児院にて
彼女の名前はアナスタシア・アナ・イーヤクラフト。貴族出身であるがこの国の情勢と治安維持のため近衛兵になったらしい。
剣の腕や魔法の才能も申し分ないらしく、優秀な衛兵なのだろう
正直に言えば、金があるのに命に係わる仕事に就くのはどうも共感できない。
治安維持をしたいなら、貴族のまました方がよっぽど手っ取り早いではないか。
孤児院跡地の入り口についた。
「ここが君の住んでいる……って孤児院だぞここは、しかも閉鎖されているじゃないか! 勝手に使用することは禁止されているぞ!」
孤児院跡地。これは使えるな。
「知っていますか、アナスタシアさん。この跡地には引き取られなかった子供達がいるんですよ」
「何?」
流石にアナスタシアも動揺を隠せなかった。こういう正義感強い奴は子供が出ると強く言えない。
「この国の情勢見れば分かると思いますが、行き場を失った孤児を犯罪に利用する悪い大人がいるのはご存じですよね」
「あぁ、そういった話でいつも犠牲になるのは子供達だ。大変腹立たしい。未来であるはずの子供を利用するなど! 許せん!」
自分がしているなんて口が裂けても言えない。
「そんな大人から子供達を守るために自分はこの跡地で面倒を見ているんですよ」
「なんだ。そうだったのか、少し君のことを誤解していたようだ……すまない、ペルペッコ君」
兜を取ると思った通りの金髪ポニテの美人だ。
ゴブリンにやられそうな見た目である。いつか言わせたいなぁ……「くっ殺せ!」と
「いえいえ、それでは入りましょうか」
二人で孤児院の扉を開けるとアランが最初に気付く。
「え、誰この美人! どうしたんすかペルペッコ兄貴!」
「うわーすごい! おっぱい揉ませてくれなさそうだ!」
「ダニー! 下品なこと言わないの!」
ガキどもはアナスタシアに夢中である。
「お姉ちゃん。すごくきれい~」
「……落ち着け、笑っていれば泣かない……」
あぁ、恐らく目つきが鋭いから子供を泣かせるタイプなのだろう。アナスタシアは固い笑顔を浮かべる……おもしれ!
まぁ。ここの連中は多分平気だろうが。
「元の顔が美人だからその変な笑顔も面白いですね うふふ」
「ぎゃははは! めっちゃバカっぽい! おっぱい揉ませてくれなさそうだけど!」
あのガキどんだけ胸揉みたいんだよ。
「お姉ちゃんは、ペルペッコお兄ちゃんの恋人ですか?」
エミリーが純粋な疑問を浮かべる。
「え? 違――」
アナスタシアの口を塞ぐ。
「――そうなんだよ! 街で彼女が暴漢に襲われている所を自分が助けてな、それであちらの方から」
「まじ? ペルペッコ兄貴かっけぇ俺も暴漢から女の子助けたら彼女できるかな」
「そいつは自分の力量に応相談するべきだな。少なくとも今はやめとけ――って!」
アナスタシアに胸倉をつかまれる。
「(小声で)どういうことですか!」
「(小声で)話をややこしくしないためです。子供達に心配をかけたくないならこうするのが手っ取り早いので」
「(小声で)ならどうして私から告白したことになっているのですか!」
「(小声で)まぁまぁ、その辺は気にしないでください」
納得したのか諦めたのか、
「アナスタシア・アナ・イーヤクラフトだ。よろしく。気軽にアナスタシアと呼んで構わない」
「よろしくアナスタシアさん。だけど……本当にこんな人と付き合って後悔しません? この人はクソですよ」
サラヤ……てめぇなぁ。確かに否定できないけど。
「自分と彼女はこの後大事な話があるんだ。くだらない質問するくらいなら部屋で星の数でも数えてろ」
このままでは埒が明かないので自分の部屋へ彼女を案内する。
「あ、ちょっと待ってー! ムネペッコ! おっぱい揉んだの?」
「お前は胸から離れなさい!」
☆☆☆作戦会議
そういえば、自分の部屋で女性と二人きりになるのって初めてになるのか……
「まず、アナスタシアさんの知っている情報を照らし合わせたい。話してくれますか?」
「あぁ、不正を働いている衛兵を束ねているのはリンゴキ・チャバネイル団長だ。彼は貴族や別の機関と繋がり不正を強引に揉み消している……それにかなりの慎重な男だ。なかなか尻尾を見せない」
正直近衛兵関連の話は何一つ把握していないので、それっぽく話す。
「自分の抱えている情報と大体同じですね……アナスタシアさんは正攻法で行こうとするから不正の情報を揉み消されるのですよ」
「どういうことだ?」
「今からアナスタシアさんを騙しますね、いいえ、騙されたふりだけでもいいんです」
「何を突然。今はチャバネイルのことを」
「不正を暴くことに必要なんですよ。相手の考えが少しでも分かればやりやすいでしょう」
あまり納得はしていないようだが仕方ないか。
手元にあった自分の沢山のサインを取り出す。
「今から絶対に儲かる話があります。この勇者のサインと販売法を金貨十枚で教えます」
「ないだろ偽物だしごみ同然だ。誰が買うものか」
……一応は本物ではあるのだけど。話を進めよう。
「これをアナスタシアさんが買ったとします」
「買わないぞ」
「買ったとします! それは今言われたことと同じようにして、このサインと販売法を金貨十枚で教えることです。その時に――」
「買わないぞ?」
「いいから! これは仮定の話ですから、進みませんよ!」
「すまない……ぐすん」
少ししょんぼりしている可愛いな。
「その時に、紹介した知人の分のお金をもらうことが出来ます。大体一割ほどでしょうか、さらに紹介した知人が別の人を更に別に人に……手元にはどんどんお金が増えていきます!」
「凄い……確かに一人か二人紹介すれば、その後の人たちがサインを売ってくれるのでお金が増えていくな……天才か?」
マルチ商法のようなものだ。絶対に真似をしてはいけない例である。
案の定アナスタシアは良い話の様にとらえている。
「……アナスタシアさーん騙されてますよー」
「え? だって」
「良い事ばかりで悪い事は話してないんですよ。まず、サインの販売がそんな上手くいくはずないので在庫を抱えて損をします。被害者面しても誰かにこのサインの販売法を紹介した時点で教えた人と同類なんです」
「確かに! で、でもどうすれば!」
「こういうのって、最初の人が得をするシステムで下の人間ほど損をするんですよ。だからうまい話には裏があることをまず知っておいてほしかったんです」
「……難しいぞ、ペルペッコ君の言っていることは」
「あくまで、そんなこともあるんだなくらいに胸に止めておいてほしいです。それでは本題です」
この世界では自分の元居た世界程詐欺は進化していない。分からないのも当然だろう。
「恐らくチャバネイルも同じようなやり方で部下や民に押し付けている……だから本人に不正をしている証拠がないんです。そうして甘い蜜だけを啜っていたと」
……多分。だが、そんなことは後で辻褄を合わせればどうとでもなる。
「なるほど……」
そして協力している間は、自分が捕まることはない……いいところで切り上げる必要があるのだ。
「奴の不正を暴く……ある作戦があります」
「作戦?」
☆☆☆チャバネイル団長ファーストコンタクト
数日が経ち自分は衛兵に捕まり、団長の元へ連れていかれる。
「団長、連れてきました。おい! 早く歩け!」
そんな乱暴に蹴らなくても……痛いじゃん。
「ほう、こいつか……ボケた老人に自分が息子と言い張り金を騙し取ったり、衛兵を装って金を騙し取ったり、上納金を支払ったにもかかわらず架空のものを請求したり……(以下略)クズは」
クズかもしれないけどあんたには言われたくない。
よし、とりあえず目的は果たせた。やるぞ!
「ひ、ひぇえええ! 助けてください! 命だけは命だけは助けてください!」
スキル名命乞い。
「おい! 落ち着け! いきなりどうしたんだ!」
「頼みます! ほんの出来心だったんです! 少しでもお金が欲しくて! 自分は親に捨てられて、拾われた先で地獄の労働をさせられ、何とか食いつないできて! それでもお金が足りなくなって……!」
ポイント一つ。こいつは絶対に逆らわないと相手に理解させる。
どう見ても自分は弱い。(本当に弱いんだけど)
「だから! 命だけは! お助けを~!」
そして渾身の土下座をする。
「団長。こんな奴さっさと牢屋にぶち込みましょう。時間の無駄ですよこんなクズ」
「待て、確かにこいつは他人を騙す臆病で卑怯なクズであるのだが……使い道はある」
チャバネイルは自分を見つめる。恐らくは弱みを握ろうとしているのだろう。
「いい提案があるぞ……どうだ? お前もこちら側に来ないか? ペルペッコ・モンタージュ」
「団長! ぐわっ!」
チャバネイルは衛兵を殴り飛ばす。
「ええい、お前は黙っていろ! もう下がれ!」
すると、自分とチャバネイルの二人きりになり拘束を解いた。
「すまないな、部下の前ではああしていないといけなくて」
突然人が変わったように笑顔を作る。そう、作っている。
「ペルペッコ。ずっと辛かっただろうに誰も君のことを見ていなかったのだろう」
「そ、それは……辛かったです」
「私は優秀な人間が好きなのだよ。君は確かに罪を働いた。だけどそれは自らが生きていくための必要だった行為だ」
「は、はい! そうです」
「そこを私は咎めようとしない。ならばどうするべきか、簡単だ。償えばいいのだよ善行によって」
「善行……ですか」
「あぁ、そうだ。今ね、少し私のことを邪魔だと思っている者がいるのだよ。彼女が貴族の娘で少し厄介でね」
恐らくはアナスタシアのことだ。チャバネイルと何度かは揉めているのだろう。
「そのような人に販売していたものをいちゃもんつけられて追い掛けられたことがありまして」
「おぉ、話が早い! 君は本当に優秀だねぇ、彼女は罪のない商人から金を騙しとっているのだ。そのせいで何人の家庭が犠牲になったことか」
「許せないですね」
「あぁ、私も許せない。努力はしているが貴族の権力も強くて阻止されている……それで」
「自分にその相手を消せと……」
「そうだ! 本当に君は素晴らしいな! 正義の味方よ!」
「話の流れで分かりますよ。でも、自分一人では上手い方法があっても恐らく実行に移せません。少しでも戦力がほしいです」
「あぁ、手配しよう。とっておきの相手だ」
そうして、チャバネイルと固い握手をする。
……やっぱりこういうタイプだったか。
最初は不安にさせてから優しい言葉をかける。
普通の人間なら、その時点で彼のことを安心できると判断し言うこと全て信じてしまう。
マインドコントロールの一種だ。
自分には一切かかっていないが、かかったふりをしている。
恐らくこのチャバネイルは他の人間にも自分が理解者であると言い、使い捨ての駒を集めている外道だ。
そこで上手くアナスタシアとチャバネイルを引き寄せて潰し合ってくれれば、自分はその隙に上手く逃げだせる……いけるぞ!
ここから、自分が脱出するため! こいつの不正を暴いてやる!
「魔王軍を使うのだよ。そして彼女を消す」
え?
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