極度の人見知りが俺にだけ心許してくれている
@maruyy
第1話
日本でもトップレベルの偏差値を誇る山代高等学校。かと言って、みんながみんなめちゃめちゃ勉強尽くしとかいう訳ではない。部活動に励む人もいれば、ボランティア活動、アルバイトといった成績を維持していれば割と自由が効く高校なのだ。
そんな高校に今年の春、入学した山瀬瑆(やませひかる)。この高校に入学したのはたんに家が近いからという理由だけだ。朝早起きするのがきついから近場でギリギリまで寝ておきたいという誰しも一度は思ったことのある感情を瑆も持っていた。
瑆の母は、瑆が産まれるのと同時に他界した。父親1人と言う家庭ながらも父親が起業家と言うのもあり裕福に育った。高校生になったら一人暮らしをしてみたいという願望に父親はすんなりと賛成してくれた。そして、一人暮らしには勿体無いくらい良いマンションで生活することができている。そのマンションから1番近い高校が山代高等学校だった。
そんな、夢見る高校生活の入学式。
「やっべぇ!」
寝坊から始まった。
入学式だけは、早く行こう。
そう考えていた瑆。その理由として、遅れて教室に入った時の他の人からの目線が嫌だからだ。自分では陰キャだとは思っていないが決して、陽キャだとも思っていない。
昨晩、買ったばかりの新しいラノベ小説を読み始めたら止まらなくなり、寝たのは、夜中3時過ぎ。アラームをかけたが二度寝をしてしまいあと10分で学校が始まる時間まで追い込まれていた。急いで支度をして家を出る。他の生徒ならここでは全力ダッシュで行ったりするのだろうが、瑆は違う。なんせ、家から近い場所という理由で高校選んだ瑆。家から学校まで徒歩3分。駆け足でもすれば余裕で間に合うのだ。
入学式は、余裕持って早めに行こうと思っていたが、こればかりは仕方がない。少し駆け足で学校まで行く。入学式ともあり、自分のクラスがどこなのか確認している人だかりの中、自分のクラスを割り振られている掲示板を見る。
1組の1番下に名前が書かれていた。確認し終えた瑆が自分の教室に向かう途中。
「・・・何やってるんだ?」
俺、瑆が彼女ー柳瀬ななみと初めて話したのは、入学式の学校の廊下である。明らかに、学校のパンフレット(校内の地図)と、周りをキョロキョロと見回して、迷っていそうな雰囲気を漂わせている1人の彼女がいる。
「・・・何やってるんだ?」
他意はない。ただ、明らかに迷っている人放っておくほど瑆の性格は淀んではいない。心底めんどくさいが。
すると彼女は、
「・・・教室・・・分からなくって・・・」
「何組なんだ?」
「・・・1組で、す」
「なら、ついてこいよ。同じクラスだし」
と、いいながら歩き出すと、彼女は、はいとだけ言って俺の三歩後ろをついてくる。ただ困っている人がいたからと思って話しかけたが、よくよく見るとなかなかの美貌。
サラサラとした黒く長い髪。肌荒れという言葉を知ってる?と聞きたくなるような乳白色の綺麗な肌。そして、女の子として出る所は出て締まる所は締まっているスタイル。全ての要素が美しさを物語っていた。
教室に着くと彼女は、
「・・・なんで、話せるんだろう」
俺は、意味が理解できず思わず聞き返す。
「ん?」
「あ、なんでもありません。ありがとうございました・・・」
と、小さな声と共に会釈をし教室に入っていく。俺は彼女の後を目で追う。
(・・・なんで、話せるんだろう)
瑆の頭の中で意味が理解できず
「何言ってんだ?」
と、独り言のように呟き、瑆も彼女の後を追って教室に入った。
そして中学と変わらず授業中は勉学に励み、休み時間はラノベ小説を読むという瑆理想の高校生活が早くも一年が経った。
極度の人見知りが俺にだけ心許してくれている @maruyy
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。極度の人見知りが俺にだけ心許してくれているの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます