第4話
花火大会当日、結局可奈が体調を崩し無しになった。内心ほっとした気持ちとなぜか複雑な感情が溢れ出てきて、どうしようもなかったので、いつもは自分から言わないが、何か手伝うことはないかと母に尋ねるとこんな時に何もないというもんだから、しょうがない。ゲームの電源ボタンを押すが、どうも今日はやる気にならない。大も用事があるって言ってたし、暇だ。少し走りに行くか。そうしよう。
ランニングウェアみたいに上等なもんではないが、まあこれでいけるだろう。
河原で寝転がって遠くで聞こえる花火の音を聴きながら、夜風を感じていた。朋花もこの音を聴いているだろうか。今年も誘えなかった。もう一生誘えないだろう。だって来年は高校生になってしまうんだから。
さて、そろそろ帰るか。そう思って立ち上がろうとした時、蒼介の後ろに自転車が通った。後ろ姿だったけど、運転席の後ろに座っていたのは朋花だった。え、まって、、なんで大と一緒にいるの?
遠くで聞こえる楽しそうな子供の声、早くなる鼓動、だめだ。雰囲気に全部持っていかれそうだ。背筋がゾクゾクとした。一瞬でも油断するとこの夏の夜空に一気に飲み込まれそうになった。
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