神界の創造

女神三人の力について用途や役割も決まり、アマノミコト達はいよいよ神界や下界の創造に入る事にした。


「それじゃ、最初は神界からいくわよ。


どんな感じがいいかしら~。」


「それぞれの住まいを造るのはどうかしら。


プライベートも大事だもの。」


「私、参考にちょっと地球を見てきます!!」


「我は…まぁ、適当にひっそりと暮らせれば何でもよいか。」


「なぁ~に言ってるのよ、アマノん。

そんな寂しいこと言わないで、創造神なんだから大きくドドーンと住居を構えちゃいなさいよ!!


ほら!地球のあの国みたいに、いかにも神様の住居です!って感じとかいいんじゃない。」


「……ふむむ…石造りで柱に囲まれて、壁があまり見えないが…」


「風通しが良さそうでいいじゃない!」


「……この神界に風は吹くのか?」


「必要とあらば吹かせるわよ?」


「今まさに気候が安定しておるし…このままでよい。」


「えー…つまんないの。」


「風は吹かなくても、せめて雲は造りますわ。


この星も地球みたいに星自体が回っているから、陽が昇ったり落ちたりして、雲がちょうど陽や月にかかり風情があっていいと思いますが…。


朝と夜…と言う時を表す名はどうかしら。


下界のように神界にも風景の変化は欲しいですわ。」


「わぁ!どんどん素敵な名前が増えていくわね!陽に月だなんて!

それに、変化が欲しいのは同感よ。


そうしたら、私の力を少し使って、マツリカちゃんの雲をこの星の全部に行き届けるつもりで動かすわ!


下界の者達からは、流れているように見えるといいのだけれど。」


神界の創造の為にサザンカは地球を覗きに行ったのち、ベロニカやマツリカ、アマノミコトはどの辺に住居を構え、どのように創造しようか雑談も交えながら楽しそうに話し合っていた。


そこへ、地球を覗きに行っていたサザンカが嬉々とした様子で三人のもとへ戻ってきた。


「ただいま戻りました!

私、あの辺に自分の住居建てます!」


「ふふっ、さっきとは違って、随分と楽しそうね。

これはサザンカちゃんの完成した住居が楽しみだわ。」


「サザンカに元気が戻ってよかったわ。」


「では、各々好きな所に好きな形で住居を造る事にして、一度解散しよう。


おぉ…そうだ、おぬし達、わかっているとは思うが、自身の力を使い過ぎると、疲労が出るぞ。


休む事で回復はするが、個人差があるやもしれぬ。


そこで自身の力を使いつつ、この星に溢れている同じ力…エネルギーを使いながら創造をすると疲労も少なく済む。


だからと言って、無理はするでない。」


「アマノんは本当に心配性ね。


でも、ありがとう。

気を付けながら作業するわ。


さ、さっそく取り掛かりましょう!」


各々思う場所に好みの住居を創造すべく、一同はベロニカの掛け声とともに解散した。


アマノミコトの助言を受け止めつつ、女神達は嬉々とした様子で自分達の住居を創造をしていく。


アマノミコトも自身の力の消費に気を付けながら、周辺のエネルギーを上手く使いつつ、住居や神界の風景を創造していく。

さらに、風景の創造だけでなく、神界と下界を分ける空間魔法や結界魔法を施した。


女神やアマノミコト達が創造を始めて数時間後。


各々の創造が終わったようで、最初に集まっていた場所に一人、また一人と姿を現した。


「お主達も創造は終わったのか?」


「えぇ、バッチリよ!

その様子はアマノんも終わったのね。」


「あの~…いつの間にか、神界がすごくにぎやかになっているのはどうしてですか…

雲や木々だけじゃなくて、不自然に大きい月や虹がありますし…。」


「む?

風景…足りなかったか?

もう少し何か足そうか…。」


先程まで何もなかった空間にアマノミコトが創造して風景が出来上がり、あまりの変わりようにマツリカやサザンカは目を丸くした。


落ち着いた様子で創造した場所を指で示しながら淡々と説明をしていくアマノミコトにサザンカは少し声を荒げた。


「足りないとか、そういう事を言っているのではないのですよ!!」


「まぁまぁ、サザンカちゃん、この風景にはビックリだけど、何もないよりはいいじゃない。」


「それは…そうですが…。」


「そうだ!せっかくの創造なのだから、この辺も賑やかにしましょう!

こんな感じでどうかしら。」


ベロニカはサザンカをなだめ終えたのち、四人が立っている何もない空間に手をかざした。

すると、辺り一面光に包まれ、様々な物が創造され始めた。


光が落ち着き現れたのは、木々や花畑、噴水に白を基調としたテーブルや椅子だった。


「こんなものかしら。

いわば噴水広場…ってところね。

女子の憩いの場よ。」


ベロニカの早急な創造にサザンカはまたも、あっけにとられ、口をポカンと開けたまま固まった。


「ベロニカ姉様まで…。

アマノ様に続いて、創造を駆使してこうも早く神界を賑やかにするなんて…。


サザンカ…神界の創造する事を楽しみにしていたはずなのに、風景がほとんど出来上がっているのに驚きすぎて、また固まっていますわ。」


「あ…あらら…。

な、何か希望の風景があったのかしら…。

それを無視してしまったのなら悪い事をしたわ。

あなた達も希望の風景があれば足して創造していいからね。


そうだ!皆の住居を見せて欲しいのだけど、どうかしら!!」


「あ!それなら、私もアマノ様やお姉様達のお家見てみたいです!」


「そうと決まれば、まずはアマノんの家からね!

レッツゴー!!!」


「(ベロニカ…話をそらしたな…それに、サザンカも切り替えが早い…。

サザンカには後で謝ろう。)」


サザンカとベロニカは意気揚々と、マツリカとアマノミコトはしずしずとアマノミコトの住居に向かって歩みを進めたのだった。

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