君は一体(1)

【ダリア視点】


正直、負けてしまうと思っていた。


相手は有色機体だし、直接見た訳では無いが聞くところ五月の成績は平均レベルより少し上くらいだから。普通に考えて勝てるはずがない。


でも五月は勝ってしまった。無色機体でありながら有色機体に。


奇跡というのにはおこがましい。まさに圧勝だ。途中からまるで人が変わったように、、、人では到底出せない力を発していた。


そんな五月を見て私はとても喜ぶ気にはならなかった。何故なら・・・


大きな力には代償が付き物だから。


この学校の全ての人が理解していることである。無色機体の限界。それを易々と超える力。


五月はどうやってそんな力を手にしたのだろうか?


きっと想像を絶するほど一人の人間が手にするには厳しい力だろう。


決闘が終わり、全ての片付けが終わると五月はすぐに生徒会室にきた。


「いやーなんか運良く勝っちゃいました。褒めてください会長」


「あ、、ああ。」


あれを運だと言って片付けてしまう五月に少し苦笑いをしつつ私は頭を撫でてみる。


五月は頬を赤らめながらも気持ちよさそうにしている。


それが妙にくすぐったくて「もういいだろう」と切り上げる。こっちも割とはずかしいんだぞ!!


「えー、もう終わりですか?」


しょぼんって顔するな!あーもう!


「これでどうだ!」


私が思いっきり抱きついてみせると五月は顔から蒸気どころか脳髄が出ていた、、、おい?!大丈夫なのかそれ!


「かかかかかかいちょちょちょちょうう」


これ以上グロいものはみたくないので離れる。


五月は当然のように「あっ脳髄落ちてる」と拾って入れたのでそこにはもう触れないでおこうと思う。


そんなことより今日の決闘の話をしなければならない。


「五月、ちょっと聞いていいか?」

「なんでしょう会長?」


本気で分からないって顔をする五月に少しイラッときつつも冷静に話を続ける。


「今回の決闘のことだ。」


少し、一瞬だったが五月の表情が歪んだように感じた。


「今回の決闘ってなんのことですか?」

「この期に及んでまだ奇跡だの偶然だの言うのか?」


さすがに私を舐めすぎている。


「あの力は完全に常軌を逸していた。数々の無色機体と戦ってきた私が言うのだから間違いない。」


会長ということもあって名前の売れている私は決闘を申し込まれることが多い。

負けたことは無いがな。


少し考えた末に五月はため息をついて「黙っておくのもな」と優しい口調で喋り始めた。


「じゃあ聞いてくれますか?俺が今までどんなところで何をしていたか。」

「ああ、もちろんだ。」

「そうですか分かりました。本当にいいんですね?」


正直くどいなと思ったが真剣に聞いてくるので再度頷く。


「分かりました。これから話すことは秘密なので、他言無用でお願いします。」


そこから私はこの世界に対する認識が変わるほどの衝撃を受けることとなる。












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