不可抗力(2)


「はぁ」


俺は誰も聞こえていないことをいいことに今まで溜め込んでいたため息を吐き出す。


「みんな心配してくれるのはいいんだけどさ、、、観客席に来すぎだよ、、せめて中継で見ようよ。」


一応副会長なので、外面はいい方だと自覚している。だからってクラス引っ張って見に来るやつがいるのか?いるんです(泣)


「佐藤のやつめ。無駄に宣伝しやがって」


なにが「先輩!面白そうなネタなので追加で新聞作っときます」だよ!先輩ってなんだ!

お前2年生だろ!


まず1枚目について怒りたかったが、新聞のことになると戦闘力7000%バフされるんだよねあの人。

この前新聞の内容に切れた奴がいて

「おいふざせんなっ!消せやっ!」て言ってたヤツが新聞部の部室に入った途端ぼこぼこになって自分から退学していった。


詳しくは、、、知らない方がいいこともある。

これ以上聞くな。


まあなんか適当に考えてたら時間なようで、そろそろいかなきゃいけない。


俺は外部との音声リンクを繋げる。


『マイ、、マイクテストマイクテストぉ!!!』


【うおおおおおぉ!】


マイクテストで盛り上がっている会場(?)に

2度目のため息を吐きつつ、自分の紹介を待つ。

何気に紹介文楽しみである。


『大変お待たせいたしました!!なので!もうさっさと初めていきましょう!』


会場のムードがさらに上がる。


「今回決闘を挑んだのは!」


...挑んだということは先輩からだろう。どんな紹介をされるんだろう、素直に気になる。


『みんなが口を揃えて自分の中では中の上位の存在や、なんかダリア会長に対する視線がいやらしいや、、』


なるほど割と人気ではあるけど、ダリア会長に対する気持ちが割と表に出てて、若干引かれてるんだ、ん?


「なわけないよな」


だって挑んだだぜ?俺今回被害者。わかる?

俺の心配を他所に紹介の実況は続く。


『副会長の癖にもっと真面目にやれなどと言われている!この人!明日高五月あすだかさつき副会長です!』


「やっぱ俺じゃねぇかァァあぁああああ!!」


なんっでだよ!完全にあっちが仕掛けてきただろ!誰だよこんなこと吹き込んだやつ!


『ちなみにこの紹介文や、決闘の内容諸々は!新聞部部長の佐藤さんに提供してもらっています!』


「よーし♫この試合終わったあとに○すやつがいるぞぉ♫」


あははは、、、覚えてろよこのクソ【ピー】

おっと危ない放送コードが、、、


まあいい!割り切ろう。次の先輩のやつも変なのに期待しよう。


『次は2年にして期待の有色機体パイロット!ただでさえ難しい有色機体!その中でも特に難しいとされている黄色おうしょく!さあ今回はどんな戦いを見せてくれるのかー!』


【うおおおおお!】


おーいまてまてまて?俺嫌われてる?もしかして嫌われてる?いやないよね?


俺の中の天使「そんなことないよォ(高音)」


だ、だよねぇ!びっくりしたわぁ!


「では出て頂きましょう!クリネビア‐ラートさんです!」


なんか今日適当にかって終わるはずだったけど、ここまで煽るってことは、裏にやつがいるな。


「どーせ俺の本気がみてぇだけだろ?なあ、俺の唯一の幼なじみさん?」


俺はやつが聞いていることを確信して話しかけるも、当然返答は帰ってこない。


「まあ見てろよ。」


俺に自信なんてもの必要ない。なぜなら。



〜どこかの女の独り言〜


「ふーん。言うじゃん?まあ当たり前だけどね、勝つことくらい。」


女はニヤリと口を歪ませて笑う。


「楽しませてね?私を倒せる唯一の人間くん?」


暗い廊下に高笑いが響き渡った。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る