第6話 ボス戦

 やっぱりどんどん、ボールスライムが大きくなっていっている。

 瘴気の霧を消しつつ進むこと、たぶん一時間ほど。

 目の前のボールスライムはなんと、僕の背丈ほどある。なんかデカイなぁ。なんて思っていたら本当にデカかった。

 色も黒い。


 「ライトボール」


 え! 一発で倒せなかった。


 「うわぁ」


 倒せなかった事にびっくりしていたらボールスライムの攻撃を食らった。

 ぽよ~んと体当たりされ、僕はふっとんだ。


 「いててて……」

 『大丈夫ですか?』


 ルシラは、吹き飛ばされた僕の肩から器用にジャンプして、無事に着地した。さすが猫だ。って、関心している場合じゃない。ボールスライムが向かってきている。


 「うわぁ。ライトボール!」


 ふう。危なかった。なんとか消滅してくれた。きっと扉に近づくほど瘴気が濃いんだ。だからモンスターも強くなっていく。気を付けないと。


 「いた!」


 立ち上がろうとしたら右足首に激痛が走った。

 ぽわ~ん。

 足首が暖かさに包まれる。これって……。


 『回復魔法です。いかがですか?』

 「うん。痛くない。魔法って凄いね。ありがとう、ルシラ」


 僕は、立ち上がって、右足を地面にトントンとしてみるも平気だ。


 『やっと役に立ちました』

 「うん。さあ進もう。さあ、乗って」

 『え! それずっとなのですか?』


 僕は、そうだと頷く。

 そうすると、ルシラがぴょんと僕の肩に乗った。


 「今度は突き飛ばされない様に、気を付けるね」

 『はい。でも怪我をしたら言ってくださいね』

 「うん」


 順調に進んでいると思う。

 光魔法も覚えた。


 □<光魔法>リエール【-20】

 □<光魔法>セブンアロー【-50】


 魔法の解説も冒険の書に載っていて、リエールは光の蔦でモンスターの動きを封じ込める。効き目は10秒。

 セブンアローは、七色の光の矢が降り注ぐ。この魔法には、クールタイムがあって、使うと一分間使えない。

 今更ながら、魔法なのでMP魔力を消費する。それは消費する経験値と一緒だった。きっと杖を使っている間は大丈夫だと思うけど。


 ばあちゃん、凄いのくれたよね。というか、いつもこれを持ち歩いているのって、自身の魔力を使わない為だったんだ。


 さあ、とうとうボスのお出ましかも。

 デカ過ぎだろうと思う程の大きさのボールスライムが、遠くから確認できた。その後ろには、黒い霧が渦を巻いている。あれが扉かな?

 てっきり扉というから、観音開きのようなのをイメージしていたけど、ブラックホールみたい。あれって、どうやって閉めるの?

 あ! あれかも。


 □<光魔法>封印の光【-100】


 まだ取得していないけど、あれを倒せばそれなりの経験値が入るよね?

 足りなければ、周りのモンスターを倒して取得しよう。


 『カタルさん。大丈夫ですか? 凄く大きくて、強そうだけど』

 「うん。でも倒さないと扉に近づけない」

 『そうですね』

 「行くよ」

 『はい』


 僕は、ボスに走って近づいてく。


 「ライトボール! え! さけられた」


 あんなに大きいのに、動きが素早いんだけど!


 『カタルさん、来ます』

 「うん! リエール! リエール」


 よし。当たった。


 「セブンアロー!」


 スザザザ!

 光の矢が降り注ぐも、さすがボス。消滅しない。


 「えい。ライトボール。ライトボール。ライトボール」


 もうリエールの効果が切れた。


 「リエール! もう当たらない!」


 素早いから僕も逃げ・・ながら攻撃するしかない。本気で走らないと、追いつかれるから!


 「はぁはぁ」


 思ったより大変だ。

 セブンアローを当てるのには、リエールで動けなくしないとダメだ。


 『カタルさん。私がひきつけますので、その間にリエールを』

 「大丈夫?」

 『カタルさんより速いので大丈夫です』

 「じゃ任せた!」

 『はい! こっちよ!』


 ルシラがボスに近づくと、ルシラを追いかけ始めた。


 「よし。リエール」


 上手くいった。


 「セブンアロー!」


 ザザザザッ。

 光の矢が降り注ぎ、今度こそボスは消滅した。


 「ありがとう。ルシラ」

 『いえ。作戦大成功ですね』

 「うん。後は、魔法を覚えて」


 よし。ぎり経験値が溜まった。


 「封印の光を取得」


 あとは、あれを封印するだけだ。

 しかし、こんな大きなモノを出現させるなんて。さっきのボスと同じぐらい大きい。


 「封印の光!」


 杖を向けて唱えると、だんだんと渦が小さくなっていく。そして、消滅した。


 『やったわ!』

 「やったぁ!!」

 『本当にありがとう』

 「うん。後は残っている瘴気を消滅させておこう」

 『はい』


 こうして、瘴気を消滅して回った。ワープしてきた場所へ戻った時には、ヘロヘロだ。

 もう、足が棒のようで動けない。

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