3択
あべせい
3択
郊外のガソリンスタンド。
2人の若い男女の店員が、たまたま同時に大きなあくびをして、顔を見合わせて笑う。
このところ暇なのだ。営業時間はあさ8時から夜8時まで。
敷地は広いが、計量機が2基だけの小さな店だ。その分、ビットは充実していて、車検から解体修理までできる。元々オーナーが前に経営していた修理工場から始まった給油所だが、オーナーは不在が多く、ビットは開店休業状態が続いて久しい。
1台の高級乗用車がやってくる。
男性店員・太市(25)が駆け寄る。
「いらっしゃいませ!」
車の窓が開き、中年女性(44)が顔を出す。
「何になさいますか?」
太市の呼びかけに、客の女性、意地悪く、
「何ができるの?」
太市、一瞬唖然となるが、すぐに立ち直り、
「レギュラーにハイオク、あとは軽油ですが……」
「わたし、コーヒーがいただきたいの」
太市の後ろから、女性店員のアキ(28)が、
「奥さま、コーヒーのご注文は、こちらです。お車ごとどうぞ」
中年女性、太市に対して、
「そうね。じゃ、わたしコーヒーを飲んでいるから、その間にハイオク満タンにして、洗車をしといて」
「かしこまりました」
太市、深々と頭を下げる。
車は事務所内に併設されている喫茶コーナーの前に横付けされる。
アキ、駆けていって、女性からキーを受け取り、太市のところまで戻ってくる。
「太市、あなたは入ってまだひと月だから初めてでしょうけれど、いまのお客さん、気を付けたほうがいいわよ」
「?」
「そのうちわかるから。あなた、ハイオク満タンにしたら、洗車もお願い」
アキは太市に車のキーを手渡し、事務所へ。
太市は車を計量機脇に移動させ、ガソリンを満タンにすると、車を洗車機へ。
アキ、事務所から出てくると、太市のところに走る。
「社長はきょうもコレ(小指を立て)のとこ。奥さんが来たら、仕入れ先に行っている、って言っといてくれって」
「奥さんとは別居中なンだろう?」
「そうだけど、奥さんはいつも、離婚の条件を有利にしようと考えているから、いつ現れるかわからない、って。社長は脅えているのね」
「いいけど、社長の愛人って、よくバイクで来るあの赤ヘルの娘(こ)なンだろう?」
「どうして?」
「だって、あの娘、よく社長のことを聞いてくるから」
アキ、意外だという顔をして、
「それはありえないと思うけど。あの娘、まだ20才にもなっていない小娘よ」
そのとき、喫茶コーナーから大きな物音がした。
喫茶コーナーは、窓際のカウンターに6席だけの小さなスペースだ。
太市とアキ、喫茶コーナーに走る。
喫茶コーナーのなかでは、さきほどの女性客が立って、キッチンの中にいる若い女・沙紀(23)をにらみつけている。
床には粉みじんに壊れたコーヒーカップと皿が散らばり、こぼれ落ちたコーヒーが広がっている。
「どうしたの。沙紀ちゃん」
アキが呆然としている沙紀に声をかけた。
沙紀はアキを振り返った後、太市に熱い視線を送る。
太市は、その視線に応えるように、鬼も顔負けの形相の婦人に近寄った。
「奥さま、ガソリンと洗車が終わりました……」
婦人、太市に怒りの目を向け噛みつく。
「責任者を呼びなさいよ。さっきから、言ってるでしょ!」
「奥さま、責任者と申しますと、こちらの喫茶コーナーの責任者でしょうか。それとも、このスタンド全体を仕切っております社長の横倉でしょうか?」
「決まってるじゃない、あのハゲ頭よ!」
太市はようやく、婦人の正体に気がついた。
この1ヵ月、社長宛てに頻繁に電話をかけて来る女性がいる。
いつも、「ハゲを出しなさい。いるのはわかっているンだから!」と言う。社長に伝えると、決まって「いないと言え!」だ。しかし、あるとき、社長が気落ちしたことがあって、こんなことを漏らした。
「あの女、前に一度、金を借りたンだが、すぐに返したのに、いろいろ難癖をつけて、電話をかけてくる」
「難癖って?」
太市が聞くと、
「利息分が足りないとヌカしやがる。法定利息以上にとって当たり前、って考えでな。ホテルじゃ、利息なんかいらないから、と言っていたくせに、おれが約束をすっぽかした途端、高利を上乗せして、払え、返せ、の一点張りだ」
太市は「ハゲ頭」から、あの女だと気がついた。
社長は百万もする精巧なカツラをのせてハゲを隠している。太一も、しばらく気がつかなかったくらいだから、普通の人はハゲ頭だとはすぐには見抜けない。
ここは点数の稼ぎどき。太市は横倉が愚痴った際、女の素性について、あらかた聞き出していた。
「奥さま、こんなことは余り言いたくないのですが、社長はこのところ、金策で走り回っています。ガソリンスタンドの新たな規制で、このまま資金の目途がつかないと、廃業になるらしくて……」
婦人の目付きがようやくやわらいだ。
「やっぱり、そうなの……。でも、この(沙紀をアゴで示し)子は、よくないわよ。私のこと、『ブタジル、ブルマー』と呼ぶンよ」
そのときの感情を思い出したのか、婦人の顔色が再び赤く上気しだした。
「奥さん、それは大変な誤解です。彼女の滑舌が悪いせいもありますが、彼女は、「ブラジルとブルーマウンティンをブレンドしたコーヒーという意味で、ブラジル、ブルマーと言ったンです。(沙紀に)そうだよな」
沙紀は、激しく顔を上下に振った。
「なんだ。そうなの。ブラジルか。ブタジルなんて、いわれたことがなかったから、おかしいとは思ったのだけれど。なら、いいわ。このコーヒー代、飲んでいないから、払わなくてもいいわよね」
「勿論でございます。奥さま」
「では、ガソリンと洗車代だけ、お支払いするわね」
「事務所にご用意しています。どうぞ」
「それはいいけど、あなた、さっきから、『奥さま』って呼んでいるけど、私のこと、知っているの?」
「勿論でございます。奥さまは、『立石商事』の社長、旦那さまは、『立石興業』の社長とうかがっております」
「あのハゲが言ったのね。夫とは、この3年、行き来はないけど、妻には変わりないものね」
婦人は機嫌を直したらしく、支払いをすませると、ベンツを運転して去った。
立石興業は、暴力団のイキがかかった興信所だ。暴走族あがりのチンピラを使って、中小の会社社長の恥部を探り、紳士録に掲載すると言っては法外な広告料をとっているとの噂がある。
その日の夕刻。社長の横倉がいつも通り、国産の中古車でやってきた。
横倉は太市を呼びつけ、
「太市、明日から1週間、閉店セールをやる。在庫品は全部、半額だ!」
寝耳に水の話。太市はびっくりして、横倉に詰め寄る。
「待ってください。閉店って、このスタンド、なくなるンですか」
アキは早番だったため、すでにいない。
「地下のタンクを補修する金が出来ないンだ。このスタンドはセール後に閉める」
「ということは、ぼくはクビですか?」
「何か仕事を考えるから、それまで、ほかでバイトでもしていてくれや」
「アキちゃんも、ですか?」
「アキか。彼女にはやってもらうことがある。残務整理だな」
「喫茶コーナーはどうするンですか」
「あれは、お客がついているから、しばらく営業する」
「ぼくだけが貧乏クジを引かされる、ってことですか」
「そう言うな。だれかが犠牲になるンだ。いま辛抱しておけば、いずれ、おまえにもいいことがある。順繰りだ」
「なにが順繰りですか。あのブタジル、いえ、立石興業から金を借りればいいじゃないですか」
「あそこは利息が高い。闇金なみだ」
「社長相手なら、無利息融資をしてくれるのじゃないンですか」
「それは、うまくいっているときの話だ」
「若い娘に手を出したからでしょ」
「太市、余計なことはいうな!」
横倉が突然、声を荒げる。
「噂をすれば、カゲ。彼女、来ましたよ」
真っ赤なヘルメットを被った娘が原付バイクのエンジン音を響かせてやってきた。
ライダーの娘は、横倉に近寄る。
「最近、ちっとも顔を見せないじゃない。ママが心配しているわよ。ハイ……」
と言って、右の手の平を横倉の目の前に突き出す。
横倉は苦い顔をして、財布から万札2枚を出して、その手の平に乗せた。
横倉は不思議そうに見ている太市に、
「娘の麻里依だ」
「お嬢さんだったンですか。ぼくはてっきり……」
「てっきり、なんだ?」
「なんでもありません」
じゃ、社長の愛人ってのは?……太市の思考は混乱する。
「あなた、最近、雇われたひとね」
麻里依が太市に話しかける。
「まだ勤めて1ヵ月です」
「知らなくて当然よね。このガソリンスタンドにはいろいろナゾがあるの」
「ナゾですか?」
「麻里依!」
横倉が突然、強い口調で割り込んだ。
その夜。
太市が自宅アパートのベッドで缶ビールを片手にテレビを見ていると、だれかがドアをノックする。
時計を見ると、午後10時半過ぎ。こんな時刻にドアをノックしてやってくる知り合いはいない。もっとも、彼女なら合いカギを持っているから、黙って入ってきてもおかしくない。
太市が無視していると、押し殺すような声で、
「太市、開けなさい」
あの声は……。太一は慌ててドアを開ける。
「遅いじゃない」
と言って、アキが入ってきた。
「どうしたンですか。アキさん」
アキは酔っているようす。足下がおぼつかない。
「あがるわよ」
アキは面倒そうに靴を脱ぐと、太市を先に行かせて、玄関からすぐのキッチンを進む。
「狭いわね。こんなところでよく生きているわ。でも、意外にきれいにしているじゃない。あーァ、くたびれた」
アキはそう言って、太一が腰掛けいたベッドに倒れ、そのまま目を閉じた。
胸の谷間が深く切れこんだ大胆なワンピースを着ている。いつもジャケットとズボンのユニホーム姿しか見ていない太市には、新鮮に映る。
20分ほどして、アキはいきなり起きあがると、DVDを観ている太市の背中をドンと叩く。
「オイ、太市」
まだ、酔いは醒めていないのか。乱暴な口調だ。
太市は面倒そうに、振りかえりもせずに、
「なんだ?」
「あなた、女がベッドに寝ているのに、平気なの。どうして、何もしないの!」
太市は、想定外の問いだったため、答えを用意していなかった。本当のことを言えば、きっと暴れるに違いない。
「アキさん、きょうはオカシイですね。ぼくのアパートがどうしてわかったのですか?」
アキは、太市が矛先を変えた意図に気づかず、
「わたし、あのスタンドに何年いると思ってンの。5年よ、5年。5年もいたら、大抵のことはわかるわ。この業界で5年も同じ所にいたら……」
太市はアキのことばを遮り、
「ぼくの履歴書を見たンですね」
「ゥグッ……。見たわ。大学を出て都庁の職員になったのに、2年で退職してわね。どうして?」
「失恋です。そんなことより、従業員の履歴書は、カギの掛かった事務所のキャビネットに保管してあります。そのカギを持っているのは、社長だけ……」
太市は、アキの目が赤くなっているのに気がついた。涙が溜まっている。
「そうよ。あのハゲとわたしは一心同体だったンよ。それなのに、今夜、ホテルのサパークラブでチークを踊りながら、あのハゲはわたしをふったンよ。娘に言われたから、って。それだけの理由で。3年も、この若い体を楽しんできて、よッ! 許せる、こんなことッ!」
太市は、いままでアキを恋愛の対象として見て来なかったことを自分でも不思議に感じていたが、いまその理由がわかった。彼女はお金を持っていない太市を見下げ、軽蔑していた。
アキにとって、男の価値は金なのだ。金力のない男は、男ではない。太市は無意識のうちに、アキのそんな性格を感じ取り、敬遠していたことになる。
しかし、いまアキの感情は変わり始めた。やさしく、太市を受け入れようとしている。
「アキさん。社長はスタンドを閉店すると言っています。消防法の改正で、地下タンクの改修工事費がかさむとかで。ご存知ですか?」
「ウソよ。大ウソ。いまのスタンドの土地を欲しいって人が現れたから、あそこを売って、別の土地に賃貸マンションを建てるの。いまの場所は角地で広いから、高値で売れる、って前から言っていたわ」
「じゃ、どうしてぼくだけやめさせようとするのか……」
アキは太市のつぶやきを耳にすると、
「若いあなたに嫉妬しているに決まっているじゃない。あなたはハゲていないし、若いわたしを、口説くことだって大威張りでできる」
太市は「わかりました」と言った後、急に蒸し暑さを感じながら、アキを見つめた。
「アキさんは、どうしたンですか。こんな時刻に、ここにきた理由はまだ話していないですよ」
アキは太市の視線を受け流し、
「だから、言ったでしょ。ハゲにふられて、自分がいやになったの」
「社長はアキさんをふってどうしようというンですか」
「あの高利貸しとヨリを戻す、ってこと。それくらいわからない?」
アキは思い出したように煙草を取り出して火をつけ、天井に向かって青い煙を一筋吐いた。
「あのブタジルとですか」
「社長は肉ポチャが好みなの」
「そういえば、アキさんも、どちらかと言えば、ぽっちゃりタイプですね。でも、ブタジルには、アキさんのような谷間もクビレもない……」
「太市……」
アキは太市に体を寄せる。
太市はアキの動きを無視して話す。
「社長はどうして、アキさんでなくて、ブタジルがいいのか……」
アキは、太市の手を掴み、引き寄せる。
「太市、わたしを口説いてンの?」
太市は、アキの胸のふくらみを二の腕に感じている。
「社長には奥さんがいる。ブタジルにも夫がいる。しかし、どちらも別居状態が長く続いている。ダブル不倫なのに。どちらも遊びなンでしょうか。アキさん、アキさん!……」
太市は、上半身を密着させてくるアキの両肩を掴み、引き離す。
「まずいです。一時的な感情で、従業員どうしが……」
そのとき、幸か不幸か、ドアのノック音。
太市、時計を見て青くなった。
「シマッタ、忘れていた! アキさん。クローゼットの中に隠れてください。お願い」
太市は、いやがるアキを小さなクローゼットの中に押し込ンだ。
ドアを開けると、沙紀が鼻をくんくんさせながら立っている。
「どうしたの。内カギなンか、掛けたりして。入れないじゃないの。それとも、都合の悪いことでもあるの……」
そうか。アキさんが入るとき、こっそり内カギを掛けたンだ。それが幸いしたのだろうが、ここをどう乗りきるか。
太市が思案しているとも知らず、沙紀は太市の部屋に来るまでの顛末を語った。それによると、横倉はホテルのクラブでアキと別れた後、約束通り、沙紀が待つ高級焼肉店に現れた。
「社長がわたしを呼び出したのは、わたしにアキちゃんの代わりをやれ、ってことだった」
「あのハゲ、沙紀ちゃんにまで手を出そうって!」
「どこまでかわからないけど、表向きは家事をやって欲しい、って。掃除に洗濯ね。いままではアキちゃんにやってもらっていたけど、社長が言うのには、『アキには男が出来たらしく、最近、週2回の約束をよくすっぽかす』って」
「アキさんは、週に2度、勤務後、社長のマンションに行って家事をしていたのか。それで沙紀ちゃんはどう返事したの?」
「わたし、昼間のブタジルのことを言ったの。『社長は立石商事の社長と、どんな関係なンですか。わたし、ああいう女性と社長の間に挟まれて、とばっちりを食うのは真っ平ですから』って。そうしたら……」
「そうしたら?」
「そうしたら、『あの女は金を持っているンだ。だれにも内緒だが、いまのスタンドを土地ごと売って、ほかの土地に、1階に喫茶店がある7階建てマンションを建てる。しかし、その金が足りない。あの女から金を借りるためには、形だけでも関係を続けなけりゃならん。あの女とは、金だけの関係だ』って、言ったの」
「社長は、油を売るのがいやになって、家賃収入で食っていきたくなったンだろうな」
「太市、で、ね……」
沙紀が太市の反応を探るように見つめる。
「なに?」
「社長はそのマンションの1階にできる喫茶店をわたしに任せる、って」
「でも、沙紀ちゃんはそんな話をウケるわけないよね」
「そうだけど、わたし、考えたの。いまの給油所に勤めだしたのは、2年前。繁華街の喫茶店にいたとき、そこにお客でやって来た社長に、スタンドの事務所の中に、喫茶コーナーをつくるが、そこで働いてみないかと誘われたからでしょ。喫茶店を持つのはわたしの夢だったし、社長の話に乗っかれば、夢に一歩も二歩も近付く。太一とは親しくなって、まだ2週間ほどだし、合鍵をもらっているけど、この際……」
「この際、なんだ。沙紀ちゃん、大事なことを忘れていないか。あのハゲの好みは、ぽっちゃりタイプ、丸ぽちゃだよ。沙紀ちゃんはどう見ても、スリム。モデルにしたいくらい長身で、スタイルがいいけど、痩せていて、ハゲの好みじゃない。だから、すぐに捨てられるよ」
「ぽっちゃりになればいいンでしょ。痩せるのは難しいけれど、太るのは簡単」
「沙紀ちゃん、マジで言ってるのか!」
太市、顔を真っ赤にして怒った。周囲のことを完全に忘れている。
「もうマンションの工事は始まっている、ッてよ。太市、だから、今夜はお別れを言いに来たの。じゃね」
沙紀は半畳にも満たない狭い靴脱ぎに立ったまま、太市に右手を上げ、招き猫のポーズを作ったが、そのとき靴脱ぎに見なれないヒールを見つけた。
「なに、これ? 太市、だれか、来ているの?」
沙紀の声が急にトゲトゲしさを帯びる。
「い、いや、だれも。その靴は……」
太市は上手にウソがつけない。
「わかった。アキでしょ!」
沙紀はガラリッと態度を変え、上がり込む。
「沙紀ちゃん、待てよ。別れるンだろ、ぼくたち……」
太市はオロオロして、沙紀の後ろについていく。
すると、アキがいつの間にかクローゼットから出て、ベッドに腰掛けている。
「アキ、どういうこと。太市はわたしのカレよ。あんたはハゲが好物でしょう」
「ハゲはブタジルに戻るの。あんたもハゲで一旗あげたいのでしょうけど、ハゲを甘く見ていたら、痛い目に遭うわよ」
「大きなお世話。わたしはハゲを利用するだけ。太市を手放すつもりはないンだから……」
太市は頭が混乱して目を白黒させる。
「沙紀ちゃん、ぼくと別れるンじゃなかったのか?」
「表向きはそうしないと、ハゲは騙せないでしょ。太市、それくらい、わかりなさいヨ!」
「じゃ、ぽっちゃり宣言は? どんどん食べて、ぽっちゃりタイプになるっていうのは?」
「わたしをブタジルにしようって言うの。わたしは、あんなボテ腹は大嫌い。アキのようになったら、おんなは卒業ね」
「沙紀ィ! わたしがボテ腹だってェ!? あんたはなにヨ! 表も裏もわからない、畑に突っ立っていて、カラスに糞を引っ掛けられる、痩せぎすカカシじゃない!」
「カカシですって。太市、あんた、わたしとこのボテ腹のどっちをとるの。早く選びなさい。結果次第では……」
「待ってください。ボテ腹と、カカシの2択ですか?」
太市、思案すると、
「2人とも、ここから出ていってください。ぼくは、ブタジルも加え、3択で考えてみます」
(了)
3択 あべせい @abesei
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