番外編 イチャイチャする二人
番外編 二人がいちゃいちゃするだけの話#1
「千鶴さん! お出かけ楽しみですねっ!」
「そうだねぇ」
私たちはパジャマや私服、食器なんかを買うために、少し遠出する準備をしていた。徒歩で駅まで向かって、そこから電車で大きなアウトレットモールへと向かう計画だ。
桜さんはわくわくした気持ちを隠さず、嬉しそうにしていた。
それぞれ身支度をしてから玄関へ向かう。
「日焼け止めは塗りましたか?」
「塗りました」
「ハンカチは持ちましたか?」
「もちました」
「お財布も持ちましたね?」
「もちました」
すると桜さんは「よしよし」と頭を撫でてくれた。すっかり桜さんは私のお嫁さんだ。というよりは私のお母さん? まぁどんな桜さんでも私は大好きだけどね!
「行きましょうか。千鶴さん!」
「うん!」
私たちはもちろん恋人つなぎをして、玄関を出ていく。
家の庭には自転車や自動車が置いてあるけれど、それは使わない。今日は徒歩だから、たくさんたくさん桜さんの横顔をみつめることができる。私が横目で桜さんをみつめていると、ふと目が合った。
「本当に私のことが好きなんですね」
「うん。大好きだよ!」
すると桜さんはほのかに頬を赤らめた。
「千鶴さんって愛情表現が真っすぐですよね。ちょっと恥ずかしいです」
「桜さんは私のこと、好きじゃない?」
私は目をうるませながら問いかける。すると桜さんはぎゅっと私の手を握り締めてささやいた。
「……大好きに決まってます」
私はニコニコして桜さんをみつめた。そしてぎゅーっと抱きしめる。すると桜さんはまんざらでもなさそうな表情で抱きしめ返してくれる。本当に幸せだなって思った。
それから私たちは駅に向かった。二人分の切符を買って、駅のホームへと向かう。電車がやってくると私たちは二人一緒に席に座った。もちろん周りからも桜さんはみえているから、誰も桜さんの上に座ろうとしない。
桜さんは私の手をぎゅっと握りしめてくれる。ニコニコしていると、誰かが咳払いする声が聞こえてきた。気が付くとみんなの視線が私たちに集中していて、ちょっと気まずくなる。
姿だけみると、私は大人で桜さんは中学生だもんね。桜さんは実際にはもう大学生なわけだけれど、でももしかしてこのままいくと事案だとか言われてしまうのだろうか? というか今でも既にまずい?
そんな私の危機感とは裏腹に、桜さんはニコニコ笑顔で私の手を握ってくれる。こんな純粋な笑顔を向けられたら、拒めるはずがない。私は周りからの視線を頑張って無視しながら、電車に揺られた。
まぁでも、これはこれでいいかも。桜さんは私のものです! ってみんなに自慢できてるみたいでむしろ好きだ。こんなに可愛い彼女、自慢しないほうがもったいないもんね。
電車を降りた後でそのことを話すと、桜さんは顔を真っ赤にした。
「もう。本当に千鶴さんはロリコンさんなんですから……」
恋人つなぎした手をぎゅっと握りしめて、私に寄りかかってくれる。そしてすりすりと私の体に頬ずりをしていた。ほんと可愛すぎるでしょ……。
私は胸がキュンキュンするのを感じながら、アウトレットモールに向かった。
アウトレットモールにはたくさんの店がある。洋服から家電から食料品まで何でもそろっている。しかも普通の店では見られない珍しい商品も多いのだ。例えば食料品ならアメリカンサイズのポテトチップスなど。
私たちはそんな見慣れない商品を鑑賞しながら、洋服を売っている店までやって来た。
「まずはパジャマですね! 千鶴さんに似合いそうなのを一緒に探しましょう!」
「それなら私も桜さんに似合うの探すね?」
そうして私たちは何着かのパジャマを手に、試着室の前までやってきていた。でもその頃になるとさっきからずっと桜さんが可愛いせいで、キスしたい衝動がこみあげてきていた。
「……二人で試着室に入らない?」
欲望に負けて、桜さんにそうささやく。すると桜さんはじとーっとした目で私をみつめてきた。
「えっちなこと考えてますよね?」
「か、考えてないよ」
「……まぁ千鶴さんにならいいんですけど」
なんてぼそりと告げながら桜さんは試着室の中へと私を引き込み、カーテンを閉めた。
試着室は狭いから当然、距離が近くなる。息遣いまで分かるほどの距離で見つめ合っていると、桜さんは小さく微笑んでから目を閉じた。私は軽く触れあうだけのキスを、桜さんに落とす。
「……やっぱりこういうことが目的でしたか。えっちですね。千鶴さんは」
「さ、桜さんが目を閉じるからでしょっ! えっちなのは桜さんだよ……」
そこで言葉は止まり、私たちはまた見つめ合う。お互いにどちらからというわけでもなく、唇を重ねた。何度も、何度も。お互いの好きをぶつけあうように、触れ合わせる。
「好きです。千鶴さん」
「……私も好きだよっ」
そんなことをしていると、女性の声がカーテンの向こうから聞こえてきた。私たちは慌ててキスをやめて、視線を逸らす。お互いの荒い息が恥ずかしくて、顔がますます熱くなってしまう。
「つづきは、家に帰ってからにしましょうね?」
「つ、つづき?」
私はごくりとつばを飲む。家に帰ったら、私たちは一体何をするのだろう……。
「もう。本当に千鶴さんはえっちなんですから」
桜さんがジト目で私をみつめてくる。
「ほら、そのスケスケのパジャマ。明らかに普段着用じゃないですよね? それを私に着せるつもりなんでしょう……?」
私が手にしているのは、薄い素材でできたスケスケのネグリジェ。下着や肌もなにも隠せないつくり。恥ずかしいところも全て簡単に透けてしまうだろう。
「……着せて何をするつもりなんですか?」
「そ、それは……」
「やっぱり私と、そういうことしたいんですか……?」
恥ずかしそうにする桜さん。でもちょっと思い違いをしているみたいだ。いつかまた桜さんとえっちなことをするとき、私が着る用の服として持ってきただけなんだけど……。お腹の痕がひどいから、少しでも魅力的に見せたいのだ。
流石に桜さんにこんな服着せられないよ……。
「正直に言うと、したいよ?」
桜さんは顔を赤くしているけれど、表情はにやにやとしていて嬉しそうだ。
「でもこの服は桜さんのじゃなくて私のだから」
「えっ!? ち、千鶴さんがこれを着て私と……?」
「う、うん……」
やばい。顔が焼けてしまいそうなほど熱い。桜さんと目を合わせられない。どんな風に思われただろう。……やっぱり変態だって思われたかな。びくびくしていると桜さんは小さな声で「今、着てみせてください」とつぶやいた。
「みたいです。千鶴さんのえっちな姿……」
息が荒い。とても荒い。桜さん、すごく興奮してる……。そんなに私のえっちな姿みたいんだ。ふ、ふーん。嬉しいような恥ずかしいような……。
私は桜さんに背中を向けて、するりと服を脱ぐ。そしてあのすけすけのネグリジェを身に纏う。なんだかすうすうしてて落ち着かない。それに……。鏡に映る私はやっぱり下着とか肌とかが透けていて、想像していたよりもずっといやらしくみえて……。
「や、やっぱりだめ!」
私が慌てて脱ごうとすると、桜さんがそれを制止してくる。
「ちゃんと見せてください。桜さんのえっちな姿……」
必死な表情をしていた。そこまで懇願されたら仕方ない。私は体を庇いながら、桜さんの方を向く。すると桜さんは息をのんでいた。
「……今すぐ襲いたいです」
「えっ!?」
「あっ」
桜さんはあわあわと慌てている様子だった。もしかして、無意識につぶやいちゃった? 今すぐ襲いたいって。へぇ。そ、そっか。そうなんだ……。私のこと、そんなに襲いたいんだ……。
「い、今のは忘れてくださいっ!」
桜さんは両手で顔を隠してしまっていた。私はそんな桜さんを抱きしめて、甘い声で耳元でささやいた。
「もう少しだけ大人になってから襲ってね」
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