第14話
しかし、この時にはすでに荊州を守っていたのは、あの関羽の兄であり、武神と称されるほどの豪傑である関平こと、関羽の息子張飛だった。
その武勇は父親譲りであり、その武勇をもってすれば曹操軍など恐るに足らずと言ったところだった。
実際に戦ってみても、その強さは圧倒的であり、呂布や曹操であっても苦戦は免れなかった。
しかし、関羽がいなかった事もあり、曹操軍は勝利する。
これにより、荊州は曹操の手中に収まった。
荊州を手に入れた曹操軍は、そこからさらに北へ上がり、北海という地にある劉表の城を包囲した。
「さすがは呂布将軍。見事な采配だ」
包囲している間、呂布は陳宮や曹操から賞賛された。
「いやいや、俺はただ曹操殿に言われた通りにしただけです」
呂布は謙遜するが、陳宮は首を振っていた。
「とんでもない。呂布将軍の手腕があってこそですよ。私は呂布将軍に心服しましたよ」
陳宮は笑顔で言うが、呂布は苦笑するしかなかった。
「それに比べて……」
曹操は呂布が褒められているのを見て、面白くなさそうな顔をしている。
「どうしたんですか? 殿」
「ふん、あんな奴のどこがいいのかと思ってな」
「殿も十分すごいと思いますけどね」
「おだてても何も出んぞ?」
「いえ、本音です」
「……お前は本当に変わった男だよ」
曹操の言葉に、呂布は笑うしかない。
「まあ、そんな事は良い。それよりも、これからの事を考えねばならん」
「荊州の攻略ですか?」
「ああ。劉表は大したことは無いだろうが、問題は息子の方だ。あれは厄介だからな」
「息子と言うと、劉備とか言う人物ですね」
「そうだ。あやつは関羽の忘れ形見。父に劣らぬ剛勇の持ち主だと聞く」
「それほどの人物なんですか?」
「うむ。それに、あいつには兵を動かす才がある。兵を動かせる将は貴重だ」
とまあこんな感じに脚色してみましたが如何だったでしょうか
変でしたかね?
まあ、いいでしょう
そこでわたしの思ったことを書いてみるとですね『この世界はやはり』の感想としては まず、呂布が主人公ではないという事が、私にとっては一番の驚きでした。
だって、主人公の呂布奉先と言えば、董卓にさえ恐れられた武将でしょ。
それが何で劉備なんかと一緒に行動してるんだろう、と。
あと、この世界の呂布は、正史よりもかなり若いみたいで、しかも結構好青年だったりするんですよね。
で、その呂布と劉備の会話がまた面白い。
「この世で信用できるものは何かわかるかい?」
「人かなぁ」
「そう、人と金と女だ」
「えー、嘘だろぉ」
みたいな、三国志では見られないほのぼのとしたやりとりが繰り広げられています。
こういう雰囲気は嫌いじゃないのですがやはり
史実に基づいた系列のがしっくりくると言いましょうか。
呂布はもっとこう、血も涙もない冷徹な人間であって欲しい。
でも、劉備と呂布の会話を見ていると、ちょっと羨ましく思ってしまうのも事実。
もし私が歴史を変えても、呂布のように劉備と親しくなりたいと思うのだろうか。
それはそれで面白そうだけど、多分違うような気がする。
きっと私は、この二人のような関係を築くことは基本ないのではと思うのです。
ちょっとひねくれた感じではありますが……。
三国志といえば
もう1人の豪傑である『孫策伯符』についても書いていこうと思います。
『孫策伯符』
三国志演義の中で、群雄割拠する呉を統一して三国一の名族である袁術をも破り、天下に覇を唱えた名君である。
だが、その最後はあまりにも呆気ないものであった。
孫堅文台の死後、後を継いだ長男の孫策は、父の仇を討つべく袁術の元へ攻め込む。
しかし、袁術は孫策の勢いを封じるべく、『黄巾の乱』の時に協力を約束したはずの劉備に対し、手切れの使者を送る。
袁術から手切を言い渡された劉備は激怒して、袁術の居城に攻め入る。
劉備の怒りは凄まじく、手勢わずか数十騎を率いて城を強襲し、瞬く間に陥落させたと言う。
劉備の突然の行動に驚いたのは、もちろん孫策も同じであり、彼は劉備と共に戦う事もあるにはあるが『孫子』の教えに従って、その真意を問う。
すると、劉備は「孫子は兵を用うるの道を知り、孫武は戦いを求むるを知る」と言って、その答えを返した。
その言葉を聞いた孫策は、劉備の真の目的を理解し、共に袁紹と戦う事を決める。
そして、二人は共に曹操軍と戦い、これを撃退する事に成功する。
その後は曹操に降る。孫策は曹操に、
「今度こそ漢王朝復興のために尽力いたします」
と言ったのだが、曹操は笑って許さなかった。
「お前は私に降ったのではなく、私の義兄弟である劉備殿に下ったのだ。お前は私ではなく、劉備殿に忠誠を誓いなさい」
と、言った。
劉備に心酔していた孫策は、劉備への忠誠を示すため、彼のために戦った。
しかし、その劉備が死に、さらに曹操にも裏切られたため、孫策はついに曹操に対して牙を向ける事になる。
曹操はこの時、荊州を攻め取る準備をしていた。
荊州を手に入れれば、曹操は北方の守りを手に入れる事が出来る。
それだけでなく、河北の劉表や荊州の劉表と同盟を結ぶ事も出来るので、曹操にとって荊州は喉から手がでるほど欲しかった場所であった。
曹操は荊州攻略のため、呂布や劉備に助力を求めた。
しかし、これに難色を示したのが孫策である。
曹操は、徐州から呂布を連れてきた時、呂布に荊州攻略の手伝いを要請している。
呂布はそれを断っているが、劉備は呂布からの要請を受け入れていた。
これは、劉備が呂布に借りがあるからだ。
劉備は曹操に、呂布からの援助要請を受けるよう頼んでいた。
それを呂布に断られた劉備は、呂布に借りを作るのは良くないと思い、呂布の申し出を断った。
呂布は、自分の意思で劉備に援助を要請した訳ではない。
にも関わらず、呂布が劉備に援助を求めなかった事で、劉備は呂布に貸しを作ってしまったと思っている。
劉備は、その事を恩に感じているのだろう。
孫策が反対している以上、援軍を出す事は出来ない。
呂布は困っていた。
そこに現れたのが、劉備の妻の弟に当たる関羽だった。
関羽は劉備が困っていると聞き、すぐに駆けつけた。
関羽には兵が無い。
関羽は自分の妻の実家に助けを求めたが、すでに関羽に付き従う者は一人もいなかった。
関羽は呂布の元を訪れ、助けて欲しいと頼む。
呂布は関羽と劉備に恩を売る好機だと思い、関羽に加勢する事にした。
こうして呂布は関羽と共に荊州へ入り、孫策と戦った。
劉備は呂布の援軍が来た事に喜んだものの、関羽は呂布を見て複雑な気持ちだった。
関羽は呂布が嫌いだった。
呂布は関羽の義父を殺した張本人である。
その呂布に、どうして義兄が力を貸すのか理解できなかった。
それでも、呂布は関羽にとっては命の恩人であり、その呂布を助けるというのなら、自分もまた呂布の力になるべきであろうと思った。
だが、劉備と関羽の思いとは裏腹に、孫策軍は強く、呂布と関羽は撤退を余儀なくされる。
呂布は何とか逃げ延びたものの、関羽は捕らえられてしまう。
劉備と呂布は関羽を助けようと奮闘するが、孫策軍の包囲を突破する事が出来ず、関羽は囚われの身となってしまう。
呂布は関羽を救うため、単身で孫策軍に戦いを挑む。
孫策軍の中でも猛将として名を馳せている『周瑜公覆』と一騎討ちを演じる事になった呂布だが、激闘の末に敗れ、捕えられる。
捕らえられた呂布は、孫策の前に引き出される。
呂布は孫策に対し、関羽を返して欲しいと願い出るが、孫策は首を横に振る。
「あの男は私の客人だ。勝手に連れ出したお前が悪い」
そう言って、孫策は呂布を斬殺しようとした。
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