第11話
曹操は続ける。
「それに、お前には奥方が居るであろう。妻を残して先に死ぬわけにもいかないのではないか?」
「まあ、確かにそれは言えるが。」
「それに、奉先は、例えどんな状況であっても、私を殺すことは出来ない。」
「どういうことだ?」
「それは、お前が『漢の忠臣』であり、『漢の大将軍』であるからだ。」
「漢の忠臣か。曹操殿は、漢の忠臣が嫌いなのかと思っていたが。」
呂布は苦笑しながら答える。
「漢の忠臣など、今の世においては、無用の長物でしか無い。漢王朝は滅び、その象徴たる皇帝の血筋を引く者は、この世に居ないのだからな。漢の忠臣が今必要とされているとすれば、それは、漢の再興を願う者達の為だけだ。」
曹操はきっぱりと切り捨てる。
「漢の忠臣とは、そういうものだ。たとえその者が、国を滅ぼそうとしていても、その者自身は、決して悪ではない。むしろ、その者の正義は正しいのだ。その者を裁くことが出来るのは、その者を裁くことしか出来ない強者のみ。」
「つまり、曹操殿は、俺が貴方より強いと?」
呂布は笑いながら聞く。
「少なくとも、私より強いことは間違いないだろう。私は、天下統一を目指しているが、その前に倒さねばならぬ相手がいる。その相手が、お前なのだ。」
曹操は真剣な表情で言う。
「天下統一の為には、私とお前のどちらかが倒れる必要がある。ならば、私としては、お前に倒れて欲しいと思う。しかし、奉先がそれを望まないと言うのであれば、私はそれを尊重するつもりだ。」
曹操の言葉に呂布は少し驚く。
「曹操殿がそこまで考えていたとは思わなかった。曹操殿は、もっと単純に物事を考える方だとばかり思っていたが。」
呂布は感心したように言う。
という感じに少し脚色してみたがどうだろうか?
いや、本当にこんなやりとりがあったのか分からないけどね。
しかし、何にしても曹操は呂布をかなり評価していたみたいだし、呂布も曹操を信頼しているように思える。
呂布の人柄の良さが伝わってくるようだ。
呂布と言えば、正史では赤兎馬に乗って戦場を駆け巡ったとか言われているが、演義では何故か乗ってないし、赤兎馬を乗り回したのは呂布でなく夏侯惇という事になっている。
ここで少し脚色いれて話を作ってみよう。勝手に脚色
「呂布将軍!呂布将軍のご到着!」
呂布は徐州城に到着した。
呂布を出迎えたのは、呂布の妻である呂姫と、劉備の奥方の呂美那であった。
呂布は二人と挨拶を交わすと、劉備の元へ案内される。
呂布は劉備に会うと、まずは礼を述べる。
「劉備殿、お久しぶりです。」
「呂布将軍こそ、息災で何よりでございます。」
「劉備殿も、益州で独立を果たしたと聞きましたぞ。」
「はい。これも全て、呂布将軍のおかげです。」
「そんな事はありません。劉備殿の人徳があってのことでしょう。」
「いえ、私一人では、ここまで来ることが出来ませんでしたよ。」
二人は笑顔で語り合う。
「ところで、呂布将軍。一つお願いがあるのですが。」
「なんでしょうか?」
「実は、私の義弟の一人に関羽というのがおりまして、呂布将軍にぜひ会わせたいと思い連れてきたのですよ。」
「ほう、関羽ですか。それは楽しみですね。」
呂布は嬉しそうに言う。
「呂布将軍。こちらへ。」
「ああ、分かった。」
呂布は呂姫に促されて、部屋を出て行く。
「呂布将軍。実は、もう一つ頼みたいことがあるんです。」
と、呂布と入れ違いになるように、劉備が部屋に入ってくる。
「ん?何かな?」
「実は、呂布将軍には、私の義父である陶謙殿を助けていただいた恩があります。そこで、今度は私が呂布将軍を助ける番だと思います。どうかこの申し出をお受けくださいませんか。」
「それは有難い申し出だが・・・。俺は別に何もしていないのだが。」
「いいえ、私達夫婦にとって、あなたは命の恩人であります。私達はあなたのために出来る限りのことをさせていただきたいと存じております。私達の力が必要になったら、いつでも声をかけて下さい。」
「・・・。」
呂布は何も言わずに黙ってしまう。
「呂布将軍?」
「・・・。」
「あの、どうしましたか?」
「・・・。」
「もしかして、迷惑でしたか?」
「・・・。」
「もし、そうでしたら、無理にとは言いません。」
「・・・。」
「すみません。余計なお世話だったかもしれませんね。」
「・・・。」
「失礼します。」
劉備は呂布の前から去っていく。
「・・・。」
「呂布将軍。」
呂布は呼ばれて振り返ると、そこには呂姫がいた。
「奥方様。いかがなされましたか?」
「いえ、その、劉備さんから、あなたの事を色々聞かされたので気になって見に来ただけです。」
「そうですか。」
「その、呂布将軍は、劉備さんの事が嫌いなのですか?」
「嫌いと言う訳ではありませんが、ただ、俺には妻がいるので、あまりそういう関係になるわけにもいかないので。」
「でも、劉備さんはきっと呂布将軍の事が好きです。」
「そうかなぁ。そうは思えないんだけどなあ。」
「分かりませんか?私も女だから分かるんですよ。」
「そうなのか?」
「はい。だから、その、もしも劉備さんが呂布将軍を好きだと言うのなら、私も応援しようと思っているんです。私だって、呂布将軍の事が好きなんだもん。」
という感じに脚色してしまいました。すみません。
こんな感じなのかは不明です。
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