第58話直弘から

 順風満帆と言って良い程1日1日を過ごしていく。日々女性陣に振り回され連れ回されたりイチャイチャしたり…。


 そんなある日。直弘から突然紹介したい人が居ると言われた。紹介って誰を?神社のお爺さんみたいな人かな?そんな風に思っていたのだけれど…


「待ったか?」


「いや…さっき来た所。ほらっ!あそこに俺の護衛が居るだろう?」


「お~ホントだ…。ツインズのお二人さんもいるな」


「それで…もしかして、そっちの女性か?」


「ああ…そうだ。彼女は…」


「そこからは自分で説明するよ」


「うん。分かった」


「やあ、久しぶり」


 久しぶり?どこかで会ったか?どことなく見覚えがある様な…。


「!?…もしかして空港で?」


「…うん…それもあるね…。ただ…ようやく君に会えたって言わせて?」


「え~と…うん」


「君がどう過ごしているのかは分かっていたよ。幸せそうで何より」


「え~と…ありがとう」


「ただ…」


「ただ?」


「そこに僕が…いや、私が居ないのが気に喰わない!」


「ええっ!?」


「くくっ…」


「直弘笑い事じゃねぇよ」


「その通りだよ!豊和の言う通りだ」


「…そういうなって…したんだこら…こうして笑い合えるのは良いことだろう?」


「苦労?」

「…それは確かに」

「直弘の言った事分かるの?」

「…うん」

「まあ、豊和には分からなくていいんだよ!」

「…そうだね」


「2人共、俺を仲間外れにするなよな?」


「じゃあ、そろそろ俺は帰るわ」


「はっ?」


「はっ?ってなんだよ。言っただろ?紹介したい人が居るって」

「いや、それは分かってるけど、お前が帰ってどうするんだよ?」

「ありがとうね?」

「うぉい!?直弘を帰すのかよ?」

「そりゃあね!私は君に会いに来たんだから」

「というわけでじゃあな」


 直弘が足早にその場を去っていく。


「…そう言えばまだ…名前さえ聞いてないんだけど?」


迎射むかい。下の名前は当ててみて」


「そんなの分かる訳…」


 何となく…そう、何となく頭に名前が…


「…み…ほ?」


「っ!?…………当たりだよ…。三穂みほ…だよ?」


「…なんで…泣いてるんだよ」


「…そっちだって」


俺も泣いてる?彼女はすぐさま涙を拭うと…


「…こんな日に泣いてるなんて勿体ないよね?行くよ豊和!今日は1日付き合って貰うからね!」


「…ああ」


 そして1日中連れ回された俺だった…。


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