第28話人柄
『…祭大臣!1つ質問を宜しいでしょうか?』
(記者歴三十年の私の勘が告げている。確かに今迄の男性とは月とスッポン。だがこの男性にはまだ何か色々ある筈…。世界初のSSSランクそれだけでは終わるまい…)
『どうぞ…』
『人柄と先程仰いましたが、確かに男性が女性を助けた事だけでも素晴らしい事だとは思います。しかしそれだけでは早計では無いでしょうか?』
『いやいや、男性が女性を助けたのよね?』
『それだけで充分でしょっ?』
『まぁ、今の世では考えられないけど…』
『皆さんお静かにお願いします。今の質問にお答えします。確かにそれだけでは人柄を判断するのは早計でしょう。もしかしたら気まぐれ、あるいは何かの打算があってそういう事をしたと思われるかも知れません…。しかしながら、彼の人柄を測れる出来事はそれだけでは無いのです…』
『…他にもあるんですか?』
(やはり…私の勘は当たっていたか…。では聞かせて貰おうか。SSSランクの男性の人柄とやらを…)
『そうなのです。では、最近の事からお話致しましょう。彼の男性警護官が2人入院したのですがその事を聞いた彼は直ぐにその入院した男性警護官のお見舞いに行きました…』
『なんと…そんな話、創作でしか見た事や聞いた事が無いわ…』
『男性が女性のお見舞いなんて…』
『その2人が羨ましい…』
『その際、代わりの男性警護官が2人、彼の警護にあたったのですが、ちょっとした事故で1人の男性警護官の胸が露になったのですが彼は嫌悪感を感じる事無く、頬は赤く染まり逆に恥じらっています…』
『…私のも見て欲しい…はぁはぁ…』
『そんな羨ま…ゴホン…けしからん…』
『これがラッキースケベというモノなの…』
『女性に優しいのは勿論の事なのですが、彼を語る上でどうしても外せない話があります。そして、今から話す事が彼の人柄の全てを表していると言えるでしょう。それは、自分で稼いだお金を全て母親に渡しているのです…』
『…はっ?』
『えっ?』
『何て!?』
『今、稼いだと言ったか?』
『男性がお金を稼ぎ、それを母親に渡した…?あり得ない…』
おい、マジか!?その話迄するのかよ…
「…豊和…今の話…どういう事?」
「お兄ちゃん稼いだって?」
「先輩…今の話は?」
「……」
『…この話をするべきか私は非常に迷いました。だって、彼は母親にも内緒でお金を稼ぎそれを全て母親の口座に振り込んでいるのですから…』
『し、しかし彼はどうやって稼いだと言うのです?』
『ま、まさか体を売って…』
『体を売るって…ああっ…想像しただけで鼻血がっ……』
「と、豊和…あ…あなた…」
「お兄ちゃん…そんな事…」
「せせ、先輩がっ……かかかかか…体を…うっ……ティッシュティッシュ…」
「そんな事してないから!売ってないから!俺の体は綺麗だからな!」
『…皆さん落ち着いて下さい!彼は小説で稼いだのです!』
『なるほど…』
『しかし、一体何の為に…』
『彼が書いた小説って何?』
『見てみたい!』
『どんなお話を書くと言うの?』
「お兄ちゃんホントなの?」
「先輩が小説…」
『1つずつ答えます。まず、何の為に?…ですが事の始まりは母を楽にしてあげたいと思った事からだそうです。その時、彼は5歳でした…』
『5歳だと…』
『5歳でそんな事出来るのも凄いけど、その想いがすばらしわ…』
『くっ…何て事だ…涙が溢れてくる…』
『私…泣いた(泣)』
『どれだけ優れているの彼は…』
『彼はまず、小説サイトで小説を書き始めました。ジャンルは恋愛モノです…』
『男性が恋愛モノだと…』
『男性が書いてるだけで飯が五杯はいけそうだわ…』
『ホントそれ…』
「恋愛モノっ!?お兄ちゃんがっ!?恋愛した事もないのに!?」
「…放っておいてくれ渚」
「先輩が恋愛小説を書いてるなんて……素敵過ぎる…アッ……また鼻血が…(つ~)」
「…はい、光莉ちゃんティッシュ!」
「ああ…ありがとうございます/////」
『…そして彼が書いた小説のタイトルは『君に恋した♡』。皆さんご存知ですよね…?』
『あの作者が謎に包まれている大ヒットした話じゃないですか!?』
『書籍にアニメ、映画迄になったあの作品が!?』
『やけに男性の気持ちがリアルに感じたのは本物の男性が書いていたからだったのね…』
「はぁ────っ!?あれがお兄ちゃんの作品!?私、何回も映画館に見に行ったし、本も勿論持って買って持ってるんだけどマジで!?」
「はわわわわわ…私が主演した映画が……せ、先輩の作品だったなんて…」
『…彼はその当時、男性が少ない事を知らず、また彼の母が人工授精で彼を産んだ事も知らず、その結果シングルマザーとして母が3人もの子供を1人で育てている事に何か力になってあげたい、自分に何か出来る事は無いだろうか?…そう思い小説を書き始めたそうなのです…』
『過去一泣いた(ブワッ~!)』
『何て親思いの良い子なの…ううっ…』
『SSSランクになるわけね…』
『感動…』
『涙が止まらないわ…うっ…』
「豊和…うぅっ…ありがとう…ありがとう」
─暫く何も言わずテレビを見ていた母さんに強く抱き締められる。恥ずかしいけど心地良い。
「ぜんば~ぃ…涙がどまりまぜぇん(先輩…涙が止まりません)」
「ううっ…お兄ちゃん…お兄ちゃんがお兄ちゃんで私、私…凄く良かっだっ…」
それにしてもそんな事迄知ってるなんて…まさか、あの人……はぁ~…あの人しか居ないよなぁ?
『そしてそんな素敵な話を私達に教えてくれた人をここでご紹介させて頂きます。彼の叔母にあたる松山美樹子さんです。では松山さん、こちらにどうぞ!』
『は~い!今、ご紹介にあずかった松山美樹子です。豊和の叔母にあたります。きゃ~っ!姉さん!豊和!皆見てるぅー?』
やはり…あの人……叔母さんだったか…
「あ、あの子は…姉の私に黙って…」
「おおお、美樹子叔母さん!?」
「あの人が先輩の叔母さん?」
これ以上何も言わないでくれると良いけど…
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