第25話総理大臣!?
『え~皆さんおはようございます。内閣総理大臣の
─放送が始まった。テレビにはおばさんと言ったら失礼にあたってしまうが高齢の女性。年齢は五十代位だろうか?厳格な顔付きだ。
この人がこの国の内閣総理大臣か。リモート授業でも習った覚えがあるがすっかり俺は忘れていた。
『…本日は政府内に置いて緊急に協議、可決された案件について国民の皆さんにご理解、ご協力を賜る事をこの放送を通じてお願い申し上げたいと思います…。そして、その案件とは男性の保護法、及び男性のランクについてのお話になります…』
会見場がざわついているのがテレビ越しでも分かる。そんなに騒ぐ事なのか?
「…豊和…不思議そうだけど男性の保護法や男性のランクについては政府発足以来、今迄変わった事が無い案件なのよ…」
「そうなのか、母さん?」
「ええ、しかも国民の意見は聞かずにそれが既に可決されたという事も前代未聞ね…」
テレビの方に動きが。
『それでは…男性管理大臣の
『ちょっと待って下さい!国民の意見は聞かずに、しかももうその案件は可決したとそう仰るのですか?』
─会見場にいる女性記者の1人が声をあげた。
『男性管理大臣の祭吹雪です。その質問はもっともだと思います。しかしながらこれはそれだけの事だとご理解下さい…』
若い。画面には薄紫の髪色をした外はね耳掛けボブの可愛い女性。男性管理大臣というのがあるだけでも驚きだがこの女性の見た目は俺と同じ歳位だぞ?しかも内閣総理大臣と同じ名字…。
「…豊和、政府や政治の事を後で勉強しておきなさい。現在の男性管理大臣は内閣総理大臣の孫娘よ。歳はあんたと同じ。でも頭が非常に優れているみたいよ。外国の高校や大学もあっという間に飛び級等で卒業。卒業後、直ぐに政治へと足を踏み入れた女性よ…」
「へ~」
(あんな若い歳で政治に携わるとは…。素直に凄い女性だなと思う…)
『まず始めに、今日現在、世界で存命されてる男性のランクは最高でCランクが少数、Dランクも少数、Eランクが大多数です。ここ迄は宜しいですか?』
会見場に居る女性記者達が首を縦に少し振り頷いているのが分かる。
『この…現在ランク付けされてる男性は全てEランクとなる事がまず決定した事が1つ…』
─ザワザワザワザワザワザワザワザワ…
会見場が大きくざわつき…
『それは存命する男性からの反発、男性を家族に持つ者達からの反発、あるいは反対デモ等あらゆる事が起こる切っ掛けを作ってしまうのでは無いですか?』
─それはその場に居る、あるいはテレビを見ている誰もが思った事を代弁した言葉だったのかも知れない。現に会見場の女性記者達、俺の側にいる家族や光莉ちゃんはその言葉に頷いていた。争いなんて結局は何も生み出さないからな。しかしそれに対して祭男性管理大臣が発した言葉でまた流れが変わる。
『では、貴女は今、存命の男性をどう思いますか?』
『…どうとは?』
『そのままの意味です。男性だからといって女性に対して横暴。暴力的。そして、女性に対しての性欲…。調査した所によると存命の殆どの男性が家族持ちではありますが年に一回あるか無いかの夫婦生活。肉体関係がほぼ無い事が調べで分かっています…まぁ、一年に一回の精子提出は義務なので出されていますがほぼ使い物になりません…』
『それは確かにそうですが…』
『次にこの写真を見て下さい…』
会見場にあるモニター。そこに一枚の写真が写し出される。
「ぶうっー!げほっ…モロ男性器じゃねぇーか!こんなの映したら駄目だろうーっ!」
写真を見た俺の突っ込みが炸裂!しかし、母さん、渚、光莉ちゃんは真面目にテレビのその映像を見ている。
「静かにしなさい豊和!女性は皆、保険体育の授業で男性について写真、又は映像で習うのよ?」
「そうだよ、お兄ちゃん!でもこれは…」
「うん。この写真の男性器は先輩のにはとても敵わないけど、それでも授業で見た男性器の何倍も大きいんだよ?」
「…女性は偉大なんだな…。俺はしみじみ…そう思うよ…」
(まぁ、新しい生命を育む為に大事な事だし、男性が少ないからこそ余計に知って置かないといけないって事だもんな…)
『なな何ですかコレっ…この写真は合成では無いのですか?』
『合成ではありません。信じられないのも理解出来ます。しかし、これは本当の事なのです。我々政府は男性の基準を見直した上で彼のランクをAランクにする事を閣議決定致しました…』
『た、確かに。これだけでも歴史が変わる事だと私自身思いました。しかし、基準の見直しとは具体的には?』
『そうですね。まず先程も言った通り存命する彼以外の男性はEランクになると言いましたがより具体的に決まった事をここに発表します。今迄男性の方はランクが高い程生活の保証がより良い生活をしていた事はご存知ですよね?またその生活の保証に使われるのは女性の方々が納めた税金だという事も勿論ご存知ですよね?』
『そうですね。主に私達女性が働いてお金を稼ぎ税金も払っている。男性はランクに応じて精子の提出は多くなるものの住む場所も生活費も与えられる。私達の払った税金からコレが賄われている。これは今迄は世界共通の事柄、常識でしたよね?』
『その通りです。今迄はそれが常識でした。男性としての役目を果たしても果たさずとしてもです。少し話は逸れてしまいますが先日青年男性による事件もありました。この青年は性欲だけは強かったのですが女性の扱いという点においては最低でした事はご存知だと思います…』
『『『『『確かに…』』』』』
『そして、公にはなっていませんが女性を襲った青年を捕まえたのは女性ではありません。男性です…。しかも自分の身を顧みず女性を助けたのです…』
『『『『『男性がそんな事を…』』』』』
『も、もしかしてその男性がAランク…?』
『いえ、それは違います。ただ私達が一生懸命働いたお金を使われるのはそんな素敵な男性にとは思いませんか?男性に巡り会えず人口授精をする時、そんな素敵な男性のを貰いたいそうは思いませんか?』
『『『『『女性ならそれは大臣の仰る通りだと思います!!!!!』』』』』
『だからこその基準見直しなのです。法改正なのです。だからこそ少しでも財源を賄う為にEランクの男性は短時間でも働きに出て貰う事。そして、夫婦生活の活性化を義務付けます…』
『『『『『理解しました!』』』』』
『勿論、夫婦生活、ひいては愛し合って女性が妊娠すればその人数に応じてランクは上げて行く事にします…勿論ランクに応じて保証される生活は上がっていきます…』
『『『『『それは良い案だと思われます
!!!!!』』』』』
『そして今回Aランクに認定された男性。あの男性器を持つ男性は先日ときめいて高校に入学、精力テストを受けたこの青年。根来直弘君です!』
モニターには笑顔の直弘の写真。うん…とても良い笑顔だ。
「な、なな…何じゃこりゃ────ぁ!」
─窓が開いてるので直弘の声が良く聞こえる。くっ…良かったな、直弘!Aランクだってよ?気持ちは分かるが最早どうにもなるまいて。今もテレビ画面には大きく直弘の写真と多分……いや、直弘の男性器の写真。
「…強く生きてくれ…直弘…」
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