第22話帰って来た
「ったく…俺が何故こんな目に合わないといけないのだろうか?」
姉の性格ヤバくね?いつか貞操奪われそうだよ。でも…皆言うんだよな…おかしいのは俺だって…男性が少ないこの世界では姉や妹と付き合うのも結婚するのも普通だと言っていた。前世の感覚とはホント違うし考えも変えないといけないのかな?
ガチャ!
「さぁ、入って入って…」
「お邪魔します」
「今日は泊まって行くんだよね?」
「うん。宜しくね」
「はい、任されました!それにしても誰も居ないのかな?」
「そうみたいだね。静かだしね。どこかに出掛けられたんじゃない?」
「う~ん…そうかも」
この声、渚とまさか光莉ちゃんなのか?まずい!ドアは開きっぱなし…渚の自室に行くには俺の部屋の前を通るしかない…。詰んだな…。馬鹿姉貴恨むからな!そうこう考えている内に階段を登る音…。
「渚ーっ!来るなぁー!」
「今の声お兄ちゃん!?」
「渚ちゃんのお兄さんの声!?」
「とにかく来るなぁー!俺は椅子に縛られているんだぁー!」
「「椅子にぃ!?誰に縛られたの!?」」
「姉だ!馬鹿姉貴だ!縛られたから文句を言ったら俺をほったらかして出ていきやがったんだ。だから、だから来るんじゃなーい!」
「はぁ~お姉ちゃんが何かやらかしたんだね?」
「…凄いね…渚ちゃんのお姉さん…縛るって…」
「お姉ちゃんもお兄ちゃんを好き過ぎるから…。取り敢えずここで待ってて!私が行ってくるから…」
「うん…待ってるね」
渚が来る。この状況縛られているので自分ではどうにもならない。誰かに助けて貰わないと…。だが、それは俺の威厳と引き換えになってしまう…。股間丸出しの状態…妹に迄見られてしまう…。悲しいかな我が人生…。
「渚ーっ!目を瞑って何とかしてくれー」
「何言ってるのお兄ちゃん?」
「大変な事になるぞ?」
「何が大変なのかまったく分からないし目を瞑ってどうやって助けるのよ?」
─あ~、後何歩かで渚の姿が見えるのが足音と気配で分かる。俺には覚悟を決めるしか道は無かった。
「はい!来たよお兄ちゃん。あ~あ~椅子に縛られて…………(海が…め?)」
─バタン!
「な、なぎさぁ──────っ!!!」
渚が倒れてしまった…。くっ…顔はだらしなく仰向けに倒れ鼻からは血を流している…。美少女が台無しになっている。
「…何?今の音…渚ちゃ~ん大丈夫?」
─声が近付いて来る。光莉ちゃんだ。このままでは渚の二の舞だろう。
「渚ちゃ~ん?どうしちゃったんだろ?」
「光莉ちゃーん!」
「どうしました?渚ちゃん返事が無いんですけど…」
後、数歩で部屋の惨状が見えてしまう!?
「そこで止まってくれ!」
「は、はい」
「よし!光莉ちゃん、君は俺の救世主だ。とにかく俺が今から言う事をそこで聞いてくれないか?」
「わ、分かりました。渚ちゃんのお兄さんの頼みなら!」
姿は見えないが今頃手をぐっと握りポーズをつけている筈だ。
「馬鹿姉貴に椅子に縛られたのは知ってると思う…」
「は、はい」
「それをほどきに来てくれた渚が倒れた…俺の姿を見て…」
「ど…どうして?渚ちゃんは大丈夫なんですか?」
「渚は大丈夫だ…それでなんだが…そこで覚悟を決めて欲しいんだ!」
「ゴクッ…か、覚悟って?」
(渚ちゃんのお兄さん覚悟って?もしかして私が欲しいとか?あわわわわ…どうしよう…。今日下着何履いてたっけ?私汗臭く無いかな?とうとう私も男性の物に?あばばばばばっ…落ち着くのよ光莉。私はアイドル!皆の前で歌って踊って来た筈よ!女は度胸よ!)
「言いにくいんだが…」
「お兄さん大丈夫です!何でも言って下さい!私…覚悟は出来ましたから/////あっ…その代わりになんですけど?」
「んっ?何でも言ってくれ!」
「…は、はい!わ、私、来年は渚ちゃんと一緒にときめいて高校に入学するつもりなんですけど…渚ちゃんのお兄さんの後輩になるんです…」
(ゴクッ…だ、男性から何でもって言われちゃったよぉー!凄い事だよコレは!)
「うん、そうなんだね?嬉しいよ!光莉ちゃんと同じ高校になるなんて…」
「本当ですか?私も凄く嬉しいです。だ、だからですね…え~と、いつまでも渚ちゃんのお兄さんって言うよりも、先輩って…呼びたいなぁ~なんて…」
「それ位構わないよ!」
「やったー!それでは先輩!何でも言って下さい!今の私は無敵ですよ!」
(男性に先輩呼びなんて、もはや伝説だよぉ)
「実は…下半身丸出しで縛られてるんだ!」
「………えっ?」
「部屋に入って来たら分かるんだが…渚は俺の下半身を見て…そして倒れた…」
「………え~と?」
「もし…もし助けてくれるのなら覚悟してから助けてくれ」
「…じょ、状況はわ…分かりました!任せて下さい!一応授業でな、習いましたから!」
(かかかかか下半身丸出しって…男性器が見えてるって事だよね!?あわわわわ…先輩の先輩!?あわわわわ…は、鼻血が…ティッシュティッシュ!……よし、カッコ悪いけど…じゅ…準備は出来た!覚悟も出来た!)
「ひ、光莉行きま~す!!!」
光莉ちゃんが入って来た。光莉ちゃんはうつ向きながら近付いて来る。
「な、渚ちゃん!?」
─渚に駆け寄る光莉ちゃん。こちらからは顔が見えた。そこで1つ気になる事が…。鼻にティッシュを詰めているが詰めたティッシュは最早真っ赤に染まっている…。大丈夫か?
「…幸せそうに気絶しているだけみたい…と、とにかく良かった!でででででは、先輩行きます!」
「耐えてくれよ光莉ちゃん!君が…君だけが頼りなんだ!」
「任されました先輩!!!」
そして…光莉ちゃんが俺を視界に捉えた!
「ふぁあああーっ!?!?!?」
ガクッー!光莉ちゃんが勢いよく膝をつく。
「光莉ちゃーん!?」
「だだだだだだ大丈夫です…せんぱ…い!私は…私はアイドルですか…ら…」
(…何アレは?…授業で習ったものと写真とも全然違う……授業で習った物がクサガメなら先輩の先輩は世界最大のオサガメだよ(汗)アイドルをしていなかったら絶えられなかった…)
「光莉ちゃん…(泣)」
「先輩…私が…先輩を助けますからっ!」
「流石光莉ちゃん!流石アイドルの中のアイドル!」
足に力を込め懸命に立ち上がる!私は光莉!スポットライトという先輩に照らされ輝けるアイドルになるの!先輩今行くからっ!後少し、後少し…
カクン!?
「きゃっ…!?」
「光莉ちゃん!?おっふ…」
フニョン!
イタタ…足が急にカクンっと力が抜けてしまいその勢いで先輩の膝に左手は咄嗟に添えてしまったものの何とか先輩の元に辿り着けた。待ってて、先輩!もうすぐですから!
そういえば右手に柔らかい感触。握握してみるとフニョンフニョン。何だろうこの感じ?
そして…握っている物に視線を向けると…
私の意識はここで途切れてしまった。
この時俺も光莉ちゃんが体勢を崩し突っ込んで来た時に光莉ちゃんの右手が俺の大事な所に直撃。その衝撃で気絶していたのだ。その後、母さんが帰って来る迄光莉ちゃんの右手は俺の物を握ったまま。渚も倒れたまま。俺も気絶したままだった。漸く助かったものの母さんに迄見られて
「アンタも立派になったわね/////」
─と言われたのはかなり堪えた…。現況を作り出した姉は友達の家に泊まって今日の事を愚痴ってると母から聞いた。姉貴許すまじ!
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