第20話病室にて

「お姉ちゃん?」


「どうしたの渓?」


「何で私達病院で点滴に繋がれてるの?病院よね、ここ?」


「そうね…この部屋の様子…窓から見える景色…間違い無く病院ね…」


「どうしてここにいるんだっけ?」


「それが頭の中にモヤが掛かったみたいに何が起こったのか思い出せないんだよね…」

「お姉ちゃんも?不思議と私も同じなんだよねぇ~」

「渓もなの?私達どうしちゃったんだろ?」

「分かんない…。今日の記憶事態曖昧なんだよねぇ~」

「そうだよね?でも、煎餅食べてたよね今日?」

「嗚呼…渋めのお茶と煎餅…確かにそんな記憶があるよお姉ちゃん!」

「でしょ!まぁ、取り敢えず点滴に繋がれてるし、少しフラフラする気がするからゆっくり休んでから考えましょう?」

「そうだね、お姉ちゃん。私も何か血が足りない気がして…」


─コンコン


「誰か来たよお姉ちゃん?」

「あっ…開いてるのでどうぞ?」


「失礼します、豊和です。見舞いに来ましたけど宜しかったですか?」


「「豊和君!?そんな…私の為に来てくれるなんて…」」

「そりゃあ、警護して貰ってるのでそれ位は当たり前ですよ」


「「何て良い男なの…はっ…もしかしてコレッってプロポーズ!?!?」」


「そんな訳ね~し」

「それは違うでゴザルよ?」


「「…何でアンタ達がここに??」」


「そっちが入院したから豊和っちの護衛にあ~し達が代わりに派遣されたんだしょっ?」

「そうでゴザルよ」

「くっ…豊和君の護衛の座を一時ひとときでも明け渡すなんて…しかも真実は何で豊和君のブレザー着てるのよ!」

「確かに…どういう事!?」

「チッ…聞くなし…」

「世の中聞かない方が良い事もあるでゴザルよ…」

「てめぇが言うなし!あ~しは胸全部見られたし!」

「男性に見られるなんて最上の御褒美でゴザルよ!!!」

「胸見せるなんてセクハラじゃない!何してんのアンタ達は!」

「そうだよ!私達はこうして何故か点滴に繋がれてるというのに…」


「「ホント…一体私達に何が…??」」


「んっ?幼子っち達は何も憶えて無いのでゴザルか?」

「学校で倒れたって聞いたし~」


んっ?コレッって思い出させたらマズくね?


「まぁ、良いから良いから!茜先輩も愛もその辺で!リトルシスターズの2人はゆっくり休めば治ると思いますし!」


「プッ…リトルシスターズってうける~」

「プププ…笑ってはいけないでゴザルが確かに的を得ているでゴザルな~」

「「にゃにを~!!((怒))私達だってまだ大きくなる希望は捨てて無いんだから!!」」

「いやいや、無理っしょっ!胸も打ち止めだし…みたいな」

「「私達だって巨乳に…んっ?巨乳…」」

「どうかしたでゴザルか?」

「巨乳って巨大の事?」

「確かにお姉ちゃん…巨大、巨大、きょ…」


2人の視線が俺の股間へと…そして…


「「こ─────ン!!((ブバッ))!!」」


大量の血を鼻から吹き出したのだ…。


「だ、誰か看護婦さん呼んでー!」

「拙者が呼んで来るでゴザル!!」

「何で…鼻血出たし…??」


 一命は取り留めたものの血が回復する迄入院を余儀なくされた2人であった。因みに俺は暫くお見舞いに行くのは禁止された。2人に命の危険がある為だそうだ。そしてこの後、事情を知った茜先輩と愛の視線が時折俺の股間に注がれる事になるのはいうまでも無い。それにしてもリトルシスターズめぇ~!あんだけ私達をパートナーに立候補させてと、言ってた癖にここまで耐性が無かったとは…。パートナーに選んでいたら恐ろしい事になってたわ!そして見舞いになんて行かなければ良かったと本気で思ったよ、チクショ───!!!

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