第13話生徒会長の私に任せなさい

「お、おはようございます。真冬先輩」


「なるほど…ね。その反応、今日のテストのパートナーに私を選んでと誰かに言われたからかしら?」


「す、鋭いですね…」


「簡単な推理だと思うけど?」


「まぁ、テストの事は今朝直弘から聞きましてどうすればいいのか考えてるところです」


「ふ~ん。それなら生徒会長の私に任せてみない?私は貴方の事が好きだし何より貴方に尽くすわよ!」


 そう言ってウインクすると真冬先輩はトテトテと近付いて来て俺の右腕にしがみつく。プニュンと弾力ある柔らかい感触が腕に伝わって来る。ヤバいな。昨日の件もあって血が駆け巡るのが早い。


「真冬先輩、あの…ですね。腕に…その…当たってまして…」

「うん、当ててるんだよ/////」

「て、照れる位ならしないで下さいよ!」

「た、だって…貴方には私を選んで欲しいから/////」


(素数…いや…こういう時は直弘だ!直弘が裸で俺に迫って来ている……。ふぅ~…よし!落ち着いた!)


「ちょっと!アタシの前でイチャイチャし過ぎよアンタ達!」

「美麗様の言う通りですわ。真冬様。そろそろ豊和様から離れて下さいまし…」

「…おはよう美麗、愛美。昨日は楽しかったわね?」

「それはそうですわね。あんなに楽しかったのは初めてですわ」

「アタシもあんなに楽しかったのは初めて…ふん、まぁまぁ楽しかっただけよ!」

「あんまりツンツンしてると嫌われるわよ美麗?」

「真冬様の仰る通りだと思いますわ」

「し、仕方無いじゃない!ア、アタシはこんな感じなんだから…って、真冬!アンタ、いい加減にアタシの豊和から離れなさいよ!」


「「「アタシの(ですか)?」」」


「ち、違っ…今のは違くて…その…アレ、そう!アレよ!昨日アタシは告白したんだから真冬ばかりそう引っ付くのは良くないと思うだけよ!」

「じゃあ、美麗も引っ付けば良いじゃない?」

「ば、ばかぁ/////そんな恥ずかしい事…」

「あら~、じゃあ美麗は豊和君の今日のテストパートナーには興味無いのかしら?」

「そ、それは…」

「それは?」


「アタシが豊和のは抜いてあげるんだからぁ─────────っ!!!」


「大声で何叫んでるんですか美麗先輩はぁぁ!?」

「う~う~だ、だって…」

「美麗様は素直じゃありませんねぇ~」

「あの~愛美先輩?」

「どうかしましたか豊和様?」


 いつの間にか愛美先輩は俺の左腕にソッとしがみついていた。


「あーっ!離れなさいよ愛美!」

「クスクス…出遅れた美麗様が悪いのではありませんか?」

「くっ…こうなったら…」


「「「えっ?」」」


 次の瞬間美麗先輩が正面から抱き着いてきたのだ。


「ア…アアアアアタシだって…ヤル時はやるんだから!」

「美麗先輩!恥ずかしいなら早く離れて」

(正面からのハグは反則だろ…)


「美麗、正面からのハグは反則よ!横暴よ!」


「そうですわよ!はしたないですわ!」


「フフン!負け犬の遠吠えって奴ね!」


「美麗先輩…お願いですから!動かないでと2人を煽らないで!」


 これ以上美麗先輩に力一杯体を押し付けられた状態で抱き着かれるのはマジやば…!そんな時俺の前に救世主が現れた。


「ホラホラ…先輩方。豊和君が困っているじゃないか?離れた離れた…そして豊和君に謝らないと…」


「…確かに。生徒会長としてあるまじき失態ね。ごめんなさい豊和君」


「わたくしもはしたない事を致しました。申し訳御座いません豊和様」


「わ、悪かったわね豊和。でも、アタシを選んで欲しかったん…だもん」


「とにかく皆パートナーの件で過敏になりすぎだよ?豊和君が選ぶ事さ。ボク達は彼に告白しているんだし、12回もテストはあるんだから焦らない事だよ!それじゃあ皆また後でね。豊和君、教室に向かうとしよう!」


「ああ、それじゃあ先輩方、また…」


 こうして何とか唯のお陰でテントを張る失態を犯さなかった俺は唯と共に談笑しながら教室へ。唯にはホント感謝だな。教室に入り席に着くとクラスの女子達の視線は俺に向かっている。チラチラと何分かおきに俺を気にする子も何人か目に入る。私を選んでくれないかなとの思いが視線には含まれているのが分かる。ホント男性との出会いが無い世界なんだなここは…。そうこうしている内にクラスメイトは全員登校。チャイムが鳴り先生がやって来る。担任の先生はどんな人なのだろうか?教室のドアが開く…。

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