第7話主人公と遥

「良いよね遥ちゃんには隆弘君が居て…」

「遥ちゃんは将来隆弘と結婚するんでしょ?羨ましい」

「良いなぁ隆弘君と幼馴染みなんて…」


 男性が少ないこの世の中で同じ歳の男の子と家がたまたま隣同士というだけなのにそれは決まってるかの様にいつも同じ事ばかり言われた。母は人工受精で妊娠した。男性と出会えなかった為男性との出会いは貴重だよ、隆弘君と幼馴染みなんて良かったね等、母から言われてきた。隆弘君とは同じ歳という事、他に同じ年齢位の子が居ないという事もあり護衛官の人が立ち会いの元、幼い頃は良く毎日の様に遊んではいたんだけど…。


 思春期が近付くに連れて私の胸も少しずつ膨らみ始め女性らしさが増して来ると隆弘君は胸ばかりチラチラ見る様になってくる。思春期の男性は性に興味が出始める事は学校でも習ったし知っているししょうがないとは思っている。だからこそ一緒に遊ぶ事は少なくなっていった。そういう目で好きでも無い人に見られたくなかったのだ。周りは皆、隆弘君を自分のモノにしようとしていたけど私は隆弘君の事を良くて弟以上には見れなかった。


 中学生三年生のある時、私はその時生理痛が酷くて学校を早退。帰り道に隆弘君を見掛けたのだがどうやら女性と口論の最中。早く帰って休みたかった為見られない内に帰ろうと思い歩を進めようとすると耳を疑うような事が聞こえた為身を隠して聞き間違いじゃないかを確かめみたのだ。



「だから何度も言ってるだろ?子供は与えてやっただろ?」


(!?…子供を与えたって何?)


「…そんな…私まだ高校生なんだよ?」


「はぁ、だから?人工受精とかではなく子供を直接お前に作ってやったんだから国からも金は出るだろうしその子供が男ならもっと優遇されるだろ?」


(酷っ…い…。アレが隆弘君…なの)


「隆弘君が私を貰ってくれると思ったから私は…」


「あのさ~もう行ってもいいか?俺に抱かれたい女はいっぱいいるんだぜ?こんな事になるなら避妊すれば良かったよ…」


「隆弘君がしてる事皆に拡散するから…」

「ご勝手にどうぞ!お前の言う事と俺の言う事どっちを信じると思うんだ?それに…俺の後ろの護衛官の女性。俺の女なんだぜ。いくらお前がそんな事してもこっちが否定してくれる。そうなればお前は嘘つきのレッテル貼られるだけでは済まないぞ!それに俺はこう言うしな!愛していたから抱いた。でも反りが会わずに別れたってな」


「…ぅっ……グスッ………」


「チッ…それにお前も良い思い出来ただろ?男に会えない女はそういう事も出来ないんだから」


 その後直ぐに女性は泣きながら走り去った。隆弘君もその後直ぐにその場を去る。元々お腹が痛かった上に泣いて立ち去った彼女の事を思うと頭や心迄痛む。彼の余りの行動に怒りが沸くもののどうする事も出来ない。それだけ男性は優遇されているのだ。仮に彼女が行動を起こしても彼の言った通りになる可能性が高い。世の中には男性に出会いたくても出会えない女性が多すぎるからだ。他の女性からしたら男性に抱かれるだけでも羨ましがられる事だろう。色々考えていると、


「よぉ~遥!こんな時間に珍しいな?まだ女性は学校の時間だろ?」


「んっ…ちょっと、早退しちゃって…」

(さっきとは口調が違いすぎて…それに後ろの護衛官の人も何を考えているの?やっぱり隆弘君に言われたまま動くのだろうか?)



「何かあったのか?大丈夫なのか?」


「ううん…お腹が痛いだけだから…寝てれば治るから」


「俺が看病しようか?久しく遥の部屋にも上がって無いしな…」

「ホント大丈夫だから。言いにくかったんだけど…今日女の子の日が…酷くて…」

(いや…隆弘君が怖い…家になんてあげたくない…)


「うん…嗚呼、生理か?」


「…うん」


「じゃあ、

…」


「…ごめんね」

(出来ない、アレって…まさか…)


「いつでも連絡くれな?直ぐ来るから!」


「んっ……ありがとぅ」




─この日から私は彼を警戒する様になった。一ヶ月の内に一週間ちょっとは女の子の日を理由に彼の誘いを断り、それ以外も出来るだけ1人にならない状況を作った。彼の前では普通の幼馴染みを演じて身を守る事にした。幸い彼には次々と女の子が寄って来てたのも私には幸運だった。




******


そんな風に日々が過ぎていき私達は高校へと入学。入学式の朝隆弘君が迎えに来た。一緒に登校したかったと笑う。私も作り笑いで応えるしかない。ビクビクしながらも仲が良い幼馴染みを演じながら高校へ。


 このまま代わり映えしない嫌な毎日を送るしかない。いつか…そう遠くない未来に彼に抱かれるしかないのかと思っていた。アーチが掛かった校門を潜り抜けると早速騒ぎになっている。男性が居るからだ。隆弘君によると何と他に2人も男性が居るらしい。隆弘君も他の男性が気になるのか辺りを見渡している。私も見渡してみると隆弘君が指を指す。その人は女性だよ?かなりイケメンに見えるけどね。


 そんな中こちらを見る男性の視線がやけに気になった。不思議と嫌な視線ではなかった。知り合ったばかりの唯もどうやら同じ感じらしい。何なんだろう胸がモヤモヤするような感じ。そんな風に感じていると隆弘君に急かされ私達は教室に。隆弘君は姿。気になる女の子がいたのだろう。最近は私の前でも構わず女性を引っ掛ける様になっていた。


 私は彼が凄く気になる。彼をずっと目で追うようになっていた。後から気付いたが最初から私は彼に惹かれて一目惚れしていたのだと今は思う。私と同じ様に幼馴染みが居るみたい。彼女達が彼に惚れてるのは直ぐに分かった。どうやら男女の関係にはなっていないみたい。あれだけ好意が丸分かりなのに彼は鈍いんだなぁと笑ってしまった。純粋に思えた。そこからは私が私じゃ無いように行動、積極的になり告白迄しちゃった/////しかも彼に告白したのは私を合わせて7人。しかもしかも皆良い女性。性格迄凄く合う。女子会も凄く楽しかった。そしてその帰り道彼が…、隆弘君が私を待っていた。あの彼女を振った公園で…。




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