第3話主人公?

 学校へと着いた俺はクラス表を確認。直弘、麻季、幸子、深雪とは同じクラスみたいだ。深雪と幸子は物凄く喜んでいるな。2人仲良くて何よりだ。あんまりハシャギ過ぎないでくれ。スカートの中見えてるから。…白と黒…か。慌てて2人共スカートを手で押さえて顔を赤く染めながら、


「…見た?」

「見え…た?」


と言ってくるが、俺は紳士!だからこそ敢えて澄ました顔でこう言うのだ。


「何が?」…と。


「…豊和になら…別に見られても…」

「豊ちゃん…ホントに見えなかったのかな?」


 何か言ってる様だが既に俺は別の事を考えていた。そういえばここはゲームの世界だよな?と。気に掛かった事は直ぐに確認するに限る!ヒロインの名前を探してみる事に…。


(…あった。中野遥に今野唯。2人共ゲームのヒロインだった筈…。やっぱりここはゲームの世界で間違い無いんだよな?)


「「どうかしたの豊和(豊ちゃん)??」」


「…いや、何でも無い。同じクラスで何よりだ…」


「「「「「あの男の人凄くカッコいいけどあの人も女性連れてるぅ!!!!!」」」」」


 騒いでる女子達の方に視線を向けて見ると男女の姿。女子には見覚えが…。間違い無い、ヒロインの1人、中野遥。という事は隣の男性は主人公?


「ねぇ、隆弘君?」

「どうした遥?」

「隆弘君注目されてるみたいだよ!」

「嗚呼、男が少ないからだろ。しかも今年は俺の他にも2人男が入学するらしいじゃん」

「あ~、それでなんだね」

「ほらっ、あそこにいるのがその内の1人じゃねぇ!」

「えっ、何処何処どこどこ?」


─あっ、馬鹿だな主人公アイツ。お前が指差す人は女性だよ。しかもヒロインの1人、今野唯だろぅが!何やってんだ主人公!スカートも履いてるだろー!


「……ボクは女だよ!」


「あっ…悪い」

「隆弘君ちゃんと謝りなよ」

「わ、分かってるって。ご、ごめんな…え~と…」


「構わない。いつもの事だから」


「ホント悪かった…」

「隆弘君がゴメンね。え~と…」

「唯…今野唯」

「私は中野遥。遥って呼んでね、これから宜しくね!」

「唯で良い。こちらこそ宜しく!」


 まさかヒロイン達が挨拶を交わす所を目にする事が出来るとは…。何だか感慨深いな。


「ねぇ、豊ちゃん…」

「んっ、どうした幸子?」

「あの2人をジッ~見てるけどああいう娘がタイプなの?」

「違うから、確かに可愛いけどそうではなくてだな…」

「じゃあ何で見惚れてたの豊和?」

「見惚れてねぇから!とにかく教室に行くぞ!」

「「待って!まだ話が途中…「待たない!」くっ!後でしっかり話し合うからね!!」」


 俺は教室へと向かい走り出した。よい子は廊下等走ってはいけないぞ。テヘペロッ!




「何だ!アイツが男の1人か?って俺達も急がないと不味くね!?」


「あの人…」

「彼は…」

「2人共どうした?俺達も教室に入らないと!」


「…うん」

「…もしかして遥も何か気になるのかい?」

「…え~と…唯もなの?」

「なんとなく…ね」

「…私も」

(何なんだろう…この感じ…)


「お~い!2人共何喋ってるんだ!行くぞ」


「うん…」

「嗚呼…」





******


「直弘!よくも俺を置いて先に学校へ行くなんて…」

「仕方無いだろ?麻季がどうしても今日は一緒に登校したいと言うんだから」

「親友より彼女を取るのか…」

「馬鹿野郎。そんな事はないだろ?」

「冗談冗談!」

「ったく!冗談でもそういう事言うなよな」

「悪い」


 親友とチャイムが鳴る時間迄教室の隅で話して時間を潰す。辺りを見渡すとどうやら麻季達も女性同士集まり話し込んでいるみたいだ。まぁ、教室には直弘と俺以外皆女子だしな。何を言ってるかは分からんが…。それにしても主人公は何処に行った?教室に来たと思ったら何処かに行きやがった。恋愛話でも少し聞きたかったんだが…。


「ねぇ、このクラス最高じゃね?」

「だよね…私あのやり取り見てたら鼻血出た…」

「あれ…伝説の男の友情って奴よね?」

「マジ萌え♡」

「直弘は私の彼氏だからね!」

「出た…麻季の独占欲…。一夫多妻の世の中なのに…」

「麻季ちゃんは根来君にぞっこんだしね」

「「「いいなぁ~。ね、ね、ね、キスとかしたの???」」」

「…うん」

「「「「「ど、ど、どんな感じなの????

?男性の唇と触れあうって…」」」」」

「さ、最高…だよ。唇が触れると幸せを感じるの」

「「「「「キャアアアアー!!」」」」」

「私も直弘君にアタックしようかな…」

「もう少し直弘と2人っきりを楽しまさせてよ!松山君フリーだよ!」

「「「「「「「「「……………………………………マジ??????」」」」」」」」」

「うん」

「何言ってんの麻季ぃ!!!」

「ちょっとぉぉー!!麻季ちゃん?」

「ゴメンネ2人共。直弘を差し出す位なら松山君を差し出すよ、私は!」

「麻季ぃ!豊和のお陰で直弘君と付き合えたのに?」

「そうだよ麻季ちゃん!」

「それとこれとは別!」

「「別じゃない!!」」

「松山君フリーだけど波多野ちゃんと仁田野ちゃんが狙ってるって事かな?」

「あっ、良く分かったね」

「「ちょ、ちょっと麻季ぃ(ちゃん)!!」」

「どうせ分かる事だから言いじゃん!早くしないと松山君獲られるかもね」

「こうなったら…そういえば直弘君いっぱい嫁さん欲しいと言ってたなぁ」

「深雪…な、何を」

「言ってた言ってた」

「幸子迄…」

「因果応報よ」

「そうだよ!」


 3人は知らない。この瞬間話に参加していたクラスの女子一同ターゲットをそれぞれ見定め何度も猛アタックを仕掛けて行く事を。そしていずれかの男性に告白した次の瞬間そういう耐性が無く例外無く気絶してその度保健室に運び込まれる事態になることを、まだ知らない。


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