第五部

第1話男女比率がおかしい

 俺は松山豊和。十五歳。よくラノベ等である様に転生者だ。だって前世の記憶があるのだから。前世の記憶って言っても全てでは無い。一般常識とかそういう事だけ。前世の自分の事は何も憶えていない。たまにどんな人生を歩んだのかは気になるけど…。


 そんな俺が転生したのは恋愛シュミレーションの『ときめいてフォーエバー』のゲームの世界。の筈なんだけど俺が知ってるゲームとは少し異なる部分が…。それは圧倒的に男性が少ないという事。男性が貴重という事で男性は色々優遇されている。そんな世界だから男性に出逢えなかった女性で子供が欲しい女性は冷凍保存されている精子を提供して貰って子供を産んでいる。俺の母親もそう。


 俺の家族構成は母親、姉、俺、妹の四人家族。有難い事に溺愛されている。少し過剰な気がするが…。いや…かなりかな…。そして男性には何と男性を警護する男性警護官を高校入学時から付ける様に義務付けされている。何でも女性に襲われる事件が多発した為らしい。幼稚園や小学校、中学校はこの世界では女性だけ通う。男性は自宅で国からオンライン授業を受ける。ある程度大きくなるまでの措置だそうだ。


 高校に入学と同時に男性は結婚出来る様になる為、高校は女性が男性と出逢える場所にもなっているらしい。ちなみに一夫多妻制。こんな設定ゲームに無かった気がするけどな。まぁ、そんな世界に転生した訳だけど隣にはちゃんと幼馴染みも居るんだぜ!根来直弘、俺の心友。家が左隣な事もあり小さな頃から一緒に遊んでいる。でも遊ぶ時は必ず家族総出だったり警護の人を呼んだりされてからだけどな。そして右隣とその隣には仁多野幸子と波多野深雪。同じ年の女の子。2人共凄く可愛い女の子だ。幼馴染み皆、今日から同じときめいて高校に通うのだ。


「豊和?準備は出来たのー?」


「準備は出来たよ母さん!」

「もうすぐ男性警護官の方が来るからね」

「うん、分かってる」

「あんまり隙を見せたら駄目だからね」

「分かってるって!」

「アンタはもう少し女性を警戒しなさいよ!何か合ってからでは遅いんだからね!」

「そうだよ!豊和。分かってるの?」

「分かってるってお姉ちゃん」

「お姉ちゃんじゃなくてキャロルって名前で呼ぶように何度も言ってるんだけど?」

「お姉ちゃんを呼び捨ては何となく…」

「キャ・ロ・ル!」

「くっ…キャロル」

「宜しい」

「弟に呼び捨てにされて良いわけ?」

「当たり前でしょ、アンタは私の旦那になるんだから!」

「はい!?」

「良い返事ね。お姉ちゃんは嬉しいぞ!」

「違うわ!何で俺がお姉ちゃんの旦那なんだよ!」

「あら、私だけじゃなく妹の渚もアンタと結婚するのよ!当然でしょ!」

「そうだよ!お兄ちゃん!そんな当たり前の事言わないでよ!」

「えっ!?家族で結婚は出来ないだろ?」

「「「出来るに決まってる(でしょ)」」」


「色々初耳なんだが…しかも高校に行く前なんだけど…」

「我が息子ながら大丈夫かしら?」

「とにかく結婚は決まってるんだからアンタも肝に銘じておいてね!」

「そうそう」


「ま、まぁその話は今度な、今度」

「「絶対逃がさないから!!」」


「はぁ~、幸子ちゃんや深雪ちゃんも苦労しそうね」

「えっ、何で2人の名前が?」

「これだもの…豊和はちゃんと2人事も見てあげるのよ!私は2人共義娘になると思ってるんだから!」

「母さん2人に失礼じゃね?俺の所になんて嫁に来るわけ無いだろ?」


「幸子ちゃんや深雪ちゃんも不憫ね…」


「お兄ちゃん鈍感だから…」


ピンポーン!


「警護官の人かな?」


 母さんが玄関に向かい連れて来たのは2人の女性。っていうか幼女だろ?それとも朝早くから渚の友達か?


「「初めまして!!今日から豊和君の警護に付かせて貰う幼子(未唯)と(渓)です!宜しくね!!」」


「えっ!?」


「その反応…」

「私達これでも立派な警護官なんだからね」


「…あ、嗚呼、宜しくお願いします」


「「ちなみに双子でピチピチの二十歳です!!」」


「マジ?」

「「マジ!!」」


 マジで中学生…下手したら小学生だぞこの2人。幼女体型ってこういう事言うのかな?


「「それじゃあ行きましょうか!!」」


「よ、宜しくお願いします…」

「「「行ってらっしゃ~い!!」」」

「行ってきます」


こうして俺の高校生活が始まっていく。

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