第4話君は何がしたいの?
「…ねぇ…君は何で今日も居るの?ボクは来なくて良いと言ったよね?」
「直弘だ。もう一週間だぞ?いい加減直弘って呼べよ」
「…ボクの話聞いてる?話が通じて無いんだけど…」
「んな事よりもうすぐ退院だろ?」
「…そうだけど」
「退院したらさ、俺と出掛けようぜ」
「ボクはいいよ。行かない。君1人で遊びに行きなよ…」
「連れないこと言うなよ豊和。俺とお前の仲じゃないか」
「親密になったつもりは無いけどね」
「良いから行こうぜ!」
「じゃあ…「おっ、一緒に行ってくれるか?」…違う。真面目に答えるけどボクは行けないよ。そんな遊びに行くお金も無いし何よりもここの入院費自体どうしようと思っているし…。それに退院しても暮らす場所さえ…」
「それは俺が何とかしてやる。何の心配も豊和はしなくて良い。暮らす場所も俺と暮らそう。その代わりお前の事を聞かせてくれよ」
「…君にそこまでして貰う訳には行かないよ」
「良いから!神様だってお前の事を見守っているし、助けたいと思っているぞ!」
「神なんている訳無いよ…居るのなら何故…いや、何でも無い…」
「なぁ、豊和…」
「…何?」
「とにかく退院したらさ、俺に付き合え!」
「はぁ~分かった。君に1度付き合う事にするよ」
「ホントかぁ!?」
「うん…でもボクと出掛けても君に何も得は無いし損するだけだから…」
「そんな事はねぇよ!俺はお前と一緒に居られるだけで満足だから」
「…君って同性愛者か?」
「馬鹿なのか豊和?」
「ボクの尻を狙ってるとか?」
「狙わねぇよ!それにちゃんと彼女いるからな!」
「ホントに?」
「お前には嘘は言わねぇよ」
「ボクに構うよりその彼女に構わなくて良いのかい?」
「お前も知ってるよ!麻季も俺もお前には感謝しかないからな!」
「麻季?ゴメンね。君と同じでその子の事も憶えていない」
「良いんだよ!俺がお前を忘れないから!」
「…何か重いよ?」
「良いんだよ重くて」
「そろそろ面会時間も終わりだね」
「嗚呼、また明日来るから」
「…分かった」
「何か欲しい物があったら何でも言えよ!」
「…じゃあ、一つだけ良いかな?」
「何だ?遠慮せずに何でも言ってくれ」
「…本当に申し訳ないけど…退院する時…君と出掛ける服だけ良いかな?」
「!?」
「流石にこの病院の服では出掛けられないから…」
「任せろ!お前に似合う服を見繕って来てやるからな!」
「…安いので良いからね。ボクの服なんか…」
「とにかく任せろ!また明日な?」
「…うん」
今の…こっちの世界の豊和の家族はどうなっているんだ?服すら用意して貰えない?住む場所、入院費用も無い。どれだけ辛い目にあってるんだ
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