第13話デート

 唯と身体も心も重ねた翌日、屋敷に戻ると案の定皆ともデートする事に。デートの相手は毎日俺から誘う事になった。だから今日は深雪とデートする事に。学校は大丈夫なのかって?勿論大丈夫。ゲームの世界だけあってテストで成績さえ良ければ通学は好きにしても良いのだ。俺はこう見えて前世の記憶がある。勉強はお手のものだ。とにもかくにもそんなわけで朝から深雪と動物園へと向かう事に。


「楽しみだね、豊和♡」


「ああ、楽しみ!」


「こうしてデートするのは初めてだもんね!先に身体が繋がっちゃったけど♡」

「深雪…恥ずかしいからこんな所で身体が繋がったとか言わないの!」

「豊和も言ってるじゃん!」

「俺は注意しただけ!」

「ふふっ、でもホント豊和と付き合えて良かった。初恋って実らないとか言ったりもするじゃん?私の初恋は実ってくれたから…」

「深雪…」

「だから今日はいっぱい楽しもうね?」

「勿論!」




******


「見て見て、豊和!あのお猿さん、仕草が可愛い!」


「エサ投げてみよう!」


「うん」


「ほいっと。おっ…食べてる」

「私のも食べて!ハイッ……あっ!?駄目ぇ!貴方にあげたんじゃ無いんだからぁー」


「俺がアイツに向かって投げるからその隙に投げて!」

「うん!」



******


「あっ!このぬいぐるみさっきのお猿さんみたいで可愛い!」


「似てる似てる!」


「これ買っちゃおうかなぁ」

「貸して。買ってくるから!」

「いいよ、自分で買うから!」

「良いから良いから!彼氏だからこれくらいはさせてくれ!」

「…ありがとう豊和♡」




******


「すいませ~ん。お願いがあるんですけど、写真撮ってもらってもいいですか?」


「うん。良いよ!じゃあ…そこに並んで!彼氏さん。もう少し彼女に寄り添って…うん!ハイッ!撮るよぉ!はい、チ~ズ!」


『カシャ!』


「「ありがとうございました!!」」


「構わないよ。2人本当にお似合いね!いつまでも仲良くね!」


「「はい!!」」




******


 楽しい時間は過ぎるのが本当に早くあっという間に時刻は夕方。


「本当に今日は楽しかったね豊和♡」

「楽しかったな!」

「また必ず来ようね!」

「それは勿論」

「うん」



「あ~しは嫌だって言ってるっしょ?」

─深雪と話していると耳にそんな声が聞こえた。


「良いから付き合えよ!こんな所で1人なんて寂しいだろ?」

「そうそう!俺ら今暇してっからさぁ~」

「そんな見た目してるんだし遊び慣れとるやろ?」

「一緒にすんなし!」


 声が気になりふと目を向けると…ナンパか?同じ歳位の褐色肌の金髪の子が男3人に絡まれている。顔はここからじゃ見えないけど困っているみたい。


「ゴメン深雪…ここにいて」

「ちょっ…」


─「ほらっ、こっちに来いって!」

「っ!?あーしに触んなっし!」

「良いじゃん。今日は楽しもうよ!」


「ゴメンゴメン!待たせて!」


「何だよ!」


「…ぁっ!?」


「俺の連れに何か用です?」


「チッ、彼氏持ちかい!」

「残念…」

「折角ヤれると思ったのにぃ~」

「次行くぞ!まだ今日は終わってねぇー」

「おう!!」

「行くべ行くべ」


 男達が去るのを見届け、深雪の方にも目をやる。茜先輩と一緒みたいだ。こちらを見てグーサイン!深雪は大丈夫みたいなので助けた子に声を掛ける。


「大丈夫?」


「あ…あ~しは…」

俺の顔を見て表情が変わった?驚き?怖かったのかな?


「怖かった?もう大丈夫だよ。あっ、勿論ナンパじゃないから警戒しないで、ほらっ、あそこに彼女居るからさ!良かったら動物園出るまで一緒に来る?」


「…っと……た」


「んっ?」


「やっと…見つけた…」


「見つけた?」


「豊和…っしょっ?」

「えっ…」


─そう言って彼女は泣き崩れた。

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