第9話解放
「太陽よ!私は帰って来たっ!」
一週間の監禁生活を終えた俺。薄暗い部屋から出て見る眩しい太陽の光。雲1つ無い青空のもと俺は心からの叫びを口にする。
「…お兄ちゃん急にうるさい!」
「渚よ…。お前には分かるまい。俺は薄暗い部屋の中ずっと2人に監禁されていたんだぞ。最初は何事かと思っていたんだから…」
「別に良いじゃん。監禁位。私はお兄ちゃんと漸く結ばれたし♡また今度お兄ちゃんを監禁したいなとも思うし♡」
「普通はそういう問題じゃ無いからな!犯罪だからな?」
「滅多に体験出来ない出来事だから気にしないでお兄ちゃん!」
「…俺の言葉通じているか?」
「どうでも良いから早く皆の所に帰るよ!」
「…ぁ…ああ」
まぁ…この一週間内容が濃い事の連続だった。色々あったが美少女に監禁という小説や漫画だけの様な体験を味わうとは思わなかったけども。俺もこの世界に来て普通じゃ無くなったのだろう。ホントならトラウマだろ?こんな関係にならないだろ?
…なのに俺を監禁した2人と恋愛関係に至ったのだから俺も普通では無い。自分で思って悲しいけど…。
******
屋敷に帰ると皆泣きじゃくって大変だった。皆にはちゃんとホントの事を言ったんだけど誘拐した相手とそんな関係になったと知ると怒られたのは言うまでも無い。結局1人1人とハグしてキスをする事でとりあえず許しを得る事が出来た。今は…。目の前には何人もの美少女達。ホント皆俺なんかのどこが良いんだろうな?
テレビでも報道された俺の行方不明事件は俺が知人の家に居るのに連絡不足と勘違いという事でゴリ押しする事、愛美に動いて貰った事で取り敢えずは事なきを得た。金持ちの力は凄いな…。余談だが茶道グループと中村グループは提携を結んだ。もう1つの余談として渚は母さんにこっぴどく怒られたのは言うまでも無い…。母さんには1部だけしか言っていない。渚だけに監禁された事にした。
─そしてその日の昼過ぎ茜先輩と向かった先は言わずもがな2人の所。本当の事を言ったのはこの2人。直弘と麻季だ。2人は一生懸命俺を捜してくれていたそうだ。寝るまも惜しんで。本当に2人共俺には勿体無い位の心友だ。
「…そうか。色々突っ込みたいところだけどとにかく無事で良かった。行方不明と聞いて気が気では無かったぞ豊和?」
「本当に心配掛けた。捜してくれて本当にありがとう。最近は直弘に礼ばかり言ってるな俺は。何かあったら直弘も言ってくれよ?」
「良いんだ。豊和は俺の心友だからな!」
「ホント!豊和君が無事で何よりだよ!」
「麻季もホントありがとう!」
「構わないよ!それにしても豊和君はどこに向かってるの?聞くだけでも凄いと感じるし疑問ばかりなんだけど…。誘拐、監禁した子とそんな風にそんな関係に普通なる?」
「いや…ならないだろ」
「あっ!自覚あるんだ?」
「当たり前だろ?」
「それにしても本当に豊和の周りには色々な女の子が集まるな。監禁するヤンデレの女の子…か…」
「何だ?直弘もされたくなったのか?麻季にしてもらえば?新しい扉が開けるかもしれないぞ!」
「開きたくないし!嫌だよ!ヤンデレコェーよ!俺は自由だぁー!」
「そうなんだ…。直弘は私には監禁されたくないし、自由が欲しいんだね?」
「ちがっ、違うぞ麻季!俺には麻季だけで充分だし少しだけヤンデレに興味があるってだけで…」
「「興味あるんかーい!!」」
「よく小説でも定番のシチュエーションだろ?美少女にそんな風にされたらって少し思っただけで…」
「直弘…なんかどんどん墓穴掘ってねぇ?」
「直弘…美少女って?」
「いやいや…麻季の事。麻季の事だから…」
「ハハッ!相変わらず2人仲良くて見てて安心するよ!」
「そうか?」「そう?」
「麻季、今度直弘を監禁、調教してやってくれな?」
「分かった!やってみるよ!」
「豊和、変な事言うなよ!」
「…そう言いながら麻季にならされたいんだろ?」
「…麻季になら少しな」
「…変態」
「「男は皆変態だぞ??」」
「変な所で2人ともハモらないでよね!」
その後も暫く談笑。夕方近く迄3人話して笑いあってそして別れた。その間茜先輩は離れた所から見守ってくれて話には入って来なかった。気を聞かせてくれてたのだろう。帰り道はそんな気を使う茜先輩の手を取り仲良く2人屋敷へと戻って行った。普段下ネタを所々入れてくる先輩とは思えない程照れていた茜先輩であった。
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