第35話お見舞い
「今日もアタシが豊和の所には行くから！」
「それはズルいと思うよ！皆で行けば良いじゃん！」
「そうだよね深雪ちゃん！」
「アイツが怪我したのはアタシのせいだから治る迄はアタシが行くの！それにこの間アンタ達が騒いだからお見舞いに人数制限掛かったの忘れた訳？１人しか行けないならアタシが行くのが筋でしょ？」
「美麗先輩が毎回抜け駆けして病室でイチャイチャしてるのが悪いと思いますけど…」
「イ、イチャイチャなんてしてないからっ！す、少し位引っ付いたりキ…キスする位構わないでしょ？アタシのせいで怪我してるんだから！」
「アタシのせいで怪我してると言えば全てまかり通るとは思って無いわよね美麗？しかも何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も豊和とキスばかりしているデレた美麗が見ていたく無いだけよ！」
「うっ！？」
「はぁ～、思ってた訳ね。気付かれていないとでも思っていたのかしら…」
「と、ところで深雪に遥、光莉に真冬はこうしてリビングに居るけど他の皆は？」
「用事等で他の皆は出掛けてるわよ。他の事話して誤魔化そうとしても無駄よ？」
「そ、そういえばさぁ…」
「まだ粘るんですか？私達は誤魔化されませんからね！自分だけ先輩とイチャイチャして…」
「分かってるわよ！その話は後にして…」
「はぁ～、早く言いなさい」
「そうだよ、美麗ちゃん」
「何かな美麗先輩？」
「ずっと聞きそびれていたんだけど豊和がアタシを助けに来てくれた時…豊和に護衛は付いて居なかった訳？」
「いえ、あの時は私が言った通り先輩には愛美先輩からの指示で茜先輩が護衛として付いてました」
「そうね」
「そうなの？じゃあ豊和はあの茜を振りきってアタシの元へ来た訳ぇ？」
「茜ちゃんが言うには目の前から消えたらしいよ…」
「はっ！？消え…た？」
「うん。服に縫い付けていたGPSが無ければ場所が分からなかったと言ってたよ」
「そう…なのね」
「推測だけど…私を助ける時に声が聴こえたと豊和君が言ってたけど不思議な力が働いていると思うのが妥当…ね」
「真冬先輩の言う通りだと思います。誓約も関係しているのでしょう！」
「話は分かったわ。だからこそ…」
「「「「だからこそ…？」」」」
「アタシが今日も行ってくるわ、また後でね！」
─アタシはもうダッシュで病院へと向かう。唯や茜には流石に速さでは負けるけど真冬達なら隙を見て駆け出したら負けはしない！
「あっ！？先輩ぃ！？」
「待ちなさい美麗ぃ！」
「それはズルいよぉ！」
「私も行きたかったのにぃぃ！」
「あ～あ…行っちゃった！」
「もぉ～、こういう時は早いわね美麗は…」
「美麗ちゃんが元気になったのは嬉しいけどズルいよぉ！」
「まぁしょうがないか」
＊＊＊＊＊＊
病院へと着いたアタシは真っ直ぐに豊和の病室へ。今日もいっぱいイチャイチャする…してみせるわ！そんな事を考えながら足を運ぶと、豊和は居ない。今は夕方。トイレかなと思いながらベッド横のパイプ椅子に座りながら豊和を待つ。う～早くイチャイチャしたい。触れたい。と、豊和だってそう思ってくれてるわよね？
「それにしても遅いわね。検査かしら？」
怪我は順調に治っていると聞いている。あれから三週間近く経った。もうすぐ退院とも聞いている。ホントの意味で身も心も結ばれるのが待ち遠しい…。丁度看護婦の人がここへと訪れた。
「あら、こんにちは。今日も松山さんのお見舞いですか？」
「はい」
「良いわね。仲が良くて！」
「そ、そそそんな事無いですよ」
「ふふっ、若いってホントに良いわね」
「うっ/////」
「ところで松山さんは？」
「？…検査では無いんですか？」
「検査とかは入ってないわよ」
「えっ！？」
「トイレかしら？」
「いえ、もう一時間は戻っていません！アタシは検査と思って…」
「落ち着いて、他のナースにも話して病院の中を捜してみるから！」
「…アタシも捜してみます！」
「お願いね！」
その日豊和がアタシ達の前から姿を消した。
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