第5話心友と
はぁ~、渚のせいで朝から疲れたけど直弘から電話があり呼ばれたので小学生の時遊んでいた公園で落ち合う事に。着替えは気が進まなかったが渚に頼んだ。兄を見て、はぁはぁ息を荒くするのは止めてくれ。思い返しながら歩いていると目的の公園が見えた。おっ、いたいた、ベンチに腰掛けて2人いちゃついていやがる…。麻季もいるのか。
「よぉー」
「おっはー」
「うぃ~す。何だ、直弘だけじゃ無いのか?」
「何よ!私が居たらいけない訳?」
「一言もそんな事は言って無いけどな?」
「だったら、直弘だけとか言わないの!」
「ヘイヘイ、悪かったな麻季」
「分かれば良いのよ豊和君」
「直弘、お前の彼女が理不尽な様な気がするぞ?」
「そこで俺に振るのかよ…麻季に俺が何か言える訳無いのは知ってるだろ?昨日なんかお前のせいで俺の宝物捨てられたんだぞ!」
「マジ…か?」
「当たり前でしょ!私が居るのに必要無いわよね直弘?」
「…当然です!麻季が傍に居ればあんなモノは必要ありません」
「その割にはさっき宝物と聞こえたけど?」
「言葉の綾だ。溜まったら愛する麻季を抱くんだから俺には必要無い!」
「ば、ばばばば馬鹿じゃないの!このお馬鹿/////」
バコン!
「いてぇーよ、麻季…」
「何を豊和君の前で堂々と抱くとか言ってるのよ!」
「えっ?でも豊和は知ってるぞ。俺と麻季が童貞と処女をいつ交換したかとか、休日に何回してるとか自慢がてら言ってるから!」
「聞きたく無いけどな俺は…」
「何を赤裸々と私達の性事情を話してるのよこのクソッタレがぁ─────!」
バキ!バチン!バコン!
やるな!麻季。ボディーブローから流れる様にビンタをかまし返す掌を握り締めアッパー…か!痺れるぞ麻季!凄いぞ麻季!!
「─と、いう事で俺は帰って良いのか?」
「「駄目に決まってる(だろ)(でしょ)!」」
「息ピッタリな上に回復早いな直弘?」
「…慣れてるからな!」
「そんな事に慣れるなよ!」
「あ~も~本当に恥ずかしい。豊和君に全部伝わっていたなんて…」
「気にするな麻季!きっと俺達がしてる事を想像して自家発電に励んでいた筈だから!」
「想像しないし、する訳無いからな!」
「恥ずかしさの余り息が上がって眼鏡が曇るわ…」
「今更恥ずかしがらなくても大丈夫だって麻季!」
「お前のせいだと思うぞ直弘!」
「豊和君の言う通りだからね!暫くしないからね!絶対にっ!」
「そ、そんな…ばか…な…」
「当たり前でしょ!反省しなさい!」
「…なるほど。焦らして、溜めて、搾り取るつもりか麻季?そういうプレイなんだな?」
「死ね!」
シュッ!
「うお~い!?マジで顔面をグーで殴ろうとするなよな、麻季!」
「チッ!避けたか!次は外さない!」
「止めてくれぇ、麻季!」
「まだ掛かるみたいだから俺、飲み物買ってくらぁ…」
「おい、止めろよ?」
「馬鹿だな、直弘!麻季は止まらんよ!絶対にな!」
自販機の前に移動してポケットから千円札を取り出しペットボトルの炭酸を3つ買い、2つはズボンのポケットへ、1つは右手に持ち、2人の元へ戻る。
「終わったか麻季?ほら炭酸でいいだろ?」
「あっ、ありがとう豊和君!」
「ほれ直弘!」
「…さっき見捨てた事忘れないからな!」
「直弘デリカシーを持った方が良いぞ!」
「だよね!」
「2人してひで~な」
「まぁ、直弘の事は置いといて臨時休校になった事に乾杯するか?」
「豊和君の怪我が大した事無かった事に乾杯しようよ!」
「嗚呼、だな!豊和開けてやるよ」
「サンキュー!」
「じゃあ…」
「「「乾杯!!!」」」
「かぁ~、殴られた後の炭酸は旨いな!」
「嫌なのど越しだな…ソレ」
「直弘と付き合ったの間違いだったわ…」
「そりゃあね~よ!まっさぁ~ん?」
「直弘の事は放って置いて豊和君はどうするの?」
「…何が?」
「告白されて、しかも9人と一緒に住んでるんでしょ?幸子と深雪が嬉しそうに言ってたわよ?」
「あ~、そうなのか?」
「そりゃあもう!漸く思いを伝えてキスしたと幸せそうに言ってたわよ!」
「…そうなんだよなぁ、キスされて思いを伝えられてるんだけどな…」
「…豊和君は1人を選ぶつもりなの?」
「普通はそうだろ」
「一夫多妻制に変わるんでしょ?」
「んじゃ麻季は直弘が他に嫁連れて来たらどうするの?」
「殺すわ!」
「マジか…俺は殺される…のか?」
「何よ!連れて来るつもりなの?」
「…いやいや、滅相も御座いません!」
「俺は正直どうすればいいのか今は分からない」
「良いじゃん!別に、そんなに悩まなくても豊和君なら皆を幸せに出来ると思うし!」
「俺もそう思うけど、麻季。まだ時間を与えてやれ!まだ告白されて2、3日だしな!」
「ああ、ごめんね、豊和君。幸子と深雪がはしゃいでたからつい。お節介だったね…」
「いや、色々ありがとうな2人共。それで今日呼び出したのはそれか?」
「いや、麻季が話したいって」
「麻季が?」
「うん…2人は一体何を隠してるの?」
「「…えっ?」」
麻季の眼鏡は太陽の光で反射。キラーン!っと、エフェクトが付きそうな感じ。だが同時に目は鋭くこちらを見据えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます