第137話 食人植物
今日も討伐開始。
戦車に乗って、みんなとダンジョン内の平原を行く。
人を飲み込みそうな、草が生えている。
植物のモンスターだろう。
近づくと蔦を伸ばして戦車を絡め取ろうしてきた。
接近戦してやるよ。
レバーを全速前進、戦車を突進させる。
当たりそうになった瞬間、ノコギリを回転。
突っ込んだ。
食人植物は真っ赤な血を流し、動きが止まった。
戦車を降りると、生臭いような青臭いような臭いがした。
食人植物に触ると、ざらざらしてトゲだらけだ。
こんなのに絡め取られたらひとたまりもないな。
もっとも戦車は痛くも痒くもないが。
土がもこもこと盛り上がり、食人植物が地面から生えてきた。
「残らず刈りまくるぞ」
了解の声が返ってきた。
戦車のノコギリで食人植物を刈りまくる。
動いているものがいなくなったので、戦車から降りて、食人植物を解体すると魔石があった。
こういう楽な相手はいいな。
ただ、殺処分ロッカーに閉じ込めても、なかなか死なないだろうな。
ファンド的には旨味のないモンスターだ。
焼却システムを組み込んだ殺処分ロッカーを開発すればその限りではないが。
今回の討伐は大きなトラブルはなく終わった。
討伐の仕事が終わり、俺は首相官邸に忍び込むことにした。
さすがに刺客がうっとうしい。
首相官邸は広い。
どこに重要書類があるか分からない。
ただ、身隠しのマントはひとつしかない。
頬に蜘蛛の糸が当たったのを感じた。
魔石で作ったトンファーで空中を薙ぐ。
ガキンと音がして、トンファーを飛ばされた。
手がしびれている。
くっ、撃たれたのか。
運が良かったというべきなのだろうな。
俺は急いで物陰に隠れた。
「暴漢が侵入したぞ。捕らえろ」
スーツ姿の男が叫んでる。
イヤホンをしているからたぶんSPなんだけど、どうも怪しい。
手に拳銃を持っている。
それにしてもいきなり撃つかな。
暗夜十人衆の匂いがする。
俺はこそっと男を撮影した。
そして、一目散に逃げた。
今にして思えば、あの蜘蛛の糸が、敵の能力だったんだな。
索敵に特化した暗殺者か。
侮れん。
だが、反撃はここからだ。
この男が警察の人間か調べてもらうためだ。
警察の人間でないのに拳銃は不味いからな。
逮捕できる。
やっぱり男は警察の人間ではなかったらしい。
首相官邸の外で職質を掛けて、脇のふくらみを指摘されたところ、発砲して逃げた。
顔さえ割れて、指名手配されれば、こっちのものだ。
暗夜十人衆をひとり始末できたと思っていいだろう。
ダンジョンにあるダブコーの事務所を出たところ頬に蜘蛛の糸を感じた。
俺はしゃがんだ。
ダンジョンに銃声が響き渡った。
みるとスーツ姿の男が拳銃を構えてる。
首相官邸で会ったあの男だ。
だが、ダンジョン内は俺の領域だ。
「【リフォーム】、拘束」
ダンジョンの床が変形して男を捕らえたかに思われた。
男はひらりと身を躱した。
あの糸で状況を把握しているのだろうな。
レーダー系能力というわけか。
だが、ここには俺の仲間も住んでいる。
物陰から
「もしもし、
『予見スキル全開で対処しよう』
男が俺の後ろに回り込もうと走る、
そして、
「【リフォーム】、拘束」
今度は拘束できた。
警察に男を引き渡し、
俺には仲間がいる。
ダンジョンにいる限り負けない。
首相官邸に忍び込むのはもう無理だな。
相手もきっと色々な手を打っているに違いない。
身隠しのマントでは赤外線センサーとかをかいくぐれない。
別のアプローチを考えよう。
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