第135話 暗夜十人衆その2
ダンジョンの討伐作業は今のところ順調。
後方支援の拠点もできて、さらにやり易くなっている。
だが、トラブルも起きる。
カイザーウルフとの交戦中に煙幕が焚かれて見えなくなった。
誰か使い場所を間違ったのか。
原因究明は後だ。
カイザーウルフをどうにかしないと。
「方陣を組むぞ」
『煙で見えない』
『うわっ、カイザーウルフにキャタピラを噛まれて、行動不能』
「
『はい、【マッピング】』
「【ネットワークライイング】。位置が分かるぞ。そこか」
俺はライフルを撃った。
カイザーウルフのどこかに当たったらしい。
そしてマッピングスキルの情報で、俺達パーティ以外の人がいることが分かった。
こいつが煙幕を焚きやがったのか。
許せん。
銃弾を装填して、引き金を絞る。
当たったようだ。
過剰防衛かも知れないがあのままだと俺達が死んでたかも知れない。
煙が晴れると黒ずくめの男が横たわっていた。
カイザーウルフは逃げたらしい。
血の跡が残ってた。
とにかく男だ。
まだ息があったので、ポーションを飲ます。
「俺の隠蔽スキルをよく見破ったな。俺は暗夜十人衆のうちのひとり」
十人衆というぐらいだから、あと8人来るのかな。
迷惑なことだ。
金剛糸で男を縛り上げる。
「今日は大変だったな」
「カイザーウルフのひと噛みで走行不能とは。予見スキルを使っておけばよかった」
「俺達もまだまだだな。さすがリーダー、冷静な処置で助かった」
感心した様子の
他のメンバーも頷いてた。
男を引き渡した時に狙撃した奴の話を聞いたが、黙秘して何も喋らないらしい。
そんなことだと思ったよ。
名前不詳で起訴されるのだろうな。
姿隠し系のスキルホルダーは難敵だな。
さて、今日はコアをリフォームしたダンジョンの転移罠をリフォームして、転移移動できるようにする工事だ。
ダンジョンに入るとモンスターの影はない。
残党も駆逐されたらしい。
「【リフォーム】、大阪と結びました」
「お疲れ様。こうなると大阪の転移罠をリフォームして相互通行にしたいものですな」
「それは徐々にやるつもりですが、転移罠の数が問題ですね」
「うん、取り合いになるでしょうな」
「とりあえず相互転移はうちのダンジョンからです」
「ずるいが仕方ありませんな。しかし、魔力銀行といい。転移移動といい。便利な世の中になったものです。魔石コーティングの船も就航するそうで、貿易が元通りになれば良いのですが」
「海のモンスターは桁が違いますからね。輸送船も武装しないといけないようです」
「飛行船の会社の株を空売りしてだいぶ儲けました。その金を今は造船会社につぎ込んでおります。魔力銀行の株も今は買いですな。何か情報がありませんかな」
「聞いたらインサイダーになりますよ」
「ですな」
いま狙い目なのは、思考入力と魔石コーティング関連だろう。
ただ、それの応用で上がる株というと考えが浮かばない。
どのように発展していくかが未知数だ。
メガトン級のネタとしては、
俺が失脚させるつもりだが、これのネタで株の売り買いしたら、インサイダー臭い
「【リフォーム】、北海道と結びました」
「転移罠、リフォームひとつで1000万とは良い商売ですな」
「嫌なら別にしなくても」
「そんなわけいきませんな。一瞬で各地に飛べるのですよ。こんなの儲かる未来しかありません。これでうちの会社の株もうなぎ上りでしょう」
めんどくさい人だな。
だが人脈は大事だ。
大規模にリフォームしたいとなれば魔力が大量に必要。
ダンジョン所有者とは仲良くなっておきたい。
「造船会社のホームページに今日載ったのですが、漁船に魔石コーティングして売り出すらしいですよ。ここからはオフレコですが。もう海産物の漁のテストをしたらしいです。モンスターも混ざってますが、大漁だったらしいですよ」
「それは本当か。水産加工会社の株が上がるな。会話中失礼。もしもし、○○水産を成り行きで10万株買い」
さっそく株を買ったらしい。
損はしないだろう。
○○水産には蜘蛛肉も卸しているからな。
その利益だけでもかなり黒字だ。
俺は株は買わない。
リスクは犯さないつもりだ。
どこでインサイダーになるか分からないからな。
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