第133話 進んでいく実感

 今日の討伐は休み。

 開園されたモンスター動物園に来てる。

 家族連れが大勢見られた。


 福生ふっささんの考えが少し変わったようだ。

 モンスターは友達というスタンスは変わりない。

 だがそこに、モンスターは猛獣というのと、共存共栄するために皆さんも考えましょうになっている。


 パネルには鋼鉄を引き千切る力があるや、肉食であると言った文言も並ぶ。

 脅威も伝えているわけだ。


 まあ、難しい問題だよな。

 モンスターと住み分けを完全に考えるなら、街を壁で囲って安全を確保するしかない。

 小説にある異世界の街並みみたいになる。

 でも難しいと思う。

 畑なんかは街の外に作られるわけだし、問題山積みとなることは間違いないだろう。


 パラダイスサイバーの監視装置も視察する。


「ご苦労様です」


 そう言ってダンジョンコアの部屋に入る。

 ダンジョンコアには機械が取り付けられ、ファンタジーとSFの融合みたいな雰囲気だ。


 コンピュータが警告音を発する。


「場所はどこだ?」

「○○区△△です」

「捜査員を向かわせろ」


 緊迫した雰囲気で警察官が動く。


「何か不便なこととかあります?」

「他の県にも拡張して欲しいですね」

「ダンジョンの所有者の理解があればいいのですが」

「警察の方からもそれとなく打診してみましょう」

「それが良いかもしれませんね」


 戦車があれば討伐が可能になるダンジョンもあるだろう。

 頑張って欲しいものだ。

 コアまでの道が開ければ、ダンジョンコアの作り変えは一瞬で済むからな。


「それとスキルを使った犯罪も識別できませんか?」

「やってみましょう。【リフォーム】。とりあえず魔法系スキルが発動されたら警告を出すようにしてます」

「ソフトウェアとスキルの種類を仕分けする必要がありますね」

「どんな機器でもバージョンアップやメンテナンスからは逃れられません」


「このシステムってダンジョン内は監視できないのですよね?」

「ええ、ダンジョン同士は共存できないですから」

「ダンジョン内でパラダイスサイバーを使うという事案も増えています」

「ダンジョン内でキメるの。無防備を晒すんだぞ。何考えているんだ。死ぬだろう」

「ええ、怪我してダンジョンから運び出されて逮捕される人が少なからずいます」


 命の危険なんか考えてないってか。

 健康被害も考えてないんだから、そうなっても不思議ではないが。


 どうやらすべてのダンジョンコアをリフォームしないといけないようだ。

 先が長いな。


 Cランクダンジョンの所有者とか説得するのは容易ではないだろうな。

 でも殺処分ロッカーと魔力充填とポーション製造のシステムを設置すれば、安全に金を儲けられるのだけど。

 そのためには成功例を作っていくしかない。


 おっと、メールがきた。

 ダンジョンコアのリフォーム依頼だ。

 噂をすればだな。

 俺はダンジョンに戻り、転移の罠をそのダンジョンのそばに設定した。


 戦車に乗って転移の罠を踏むと、無事ダンジョンの入口近くに着いた。


「戦車通ります」


 そう言ってダンジョンの入口から入る。

 地図を見ながら戦車を走らせる。

 ザコは全て討伐済みだ。

 たまに出て来るがそれだけだ。


 ボスの攻略法も書いてあるので攻略は簡単。

 2時間ほどでダンジョンコアまで到着した。


「【リフォーム】」


 ダンジョンコアに手を置いてリフォームする。

 とりあえず、魔力充填とポーション製造の機能を付けた。

 パラダイスサイバーの監視機能も忘れない。


 ここは、Fランクダンジョンなので、すんなり俺に話が来たが、先は長いな。


「もうスタンピードに怯えなくて良いのですね」

「リスポーンは全て切ってあります。殺処分ロッカーを設置しないのであればこれで終りですね」

「しばらく運用してから考えます。魔力銀行はこの近辺にも支店が出来ました。魔力が売れて何よりです」

「魔力銀行便利ですよね」


「魔力とポーションを売った額は今まで冒険者から取っていた入場料を上回ると思います」

「ダンジョンコアをリフォームして良いと考える人が多数出るといいのですが」


「出ると思いますよ。実際スタンピードは頭痛の種でした。被害が出るとその年は赤字です」

「どこかに似たような人いませんかね」


「紹介できると思いますよ。ただダンジョンコアまでの道を開くのが大変です。今回は依頼料が1億を超えました」

「そこは俺が無利子で貸し付けてもいいです」

「なら踏ん切りもつくと思います。しかし、魔石弾さまさまですな。あれが無かったらどうにもならなかった」


 俺のやっていることが、ちょっとずつ身を結んでいくような気がした。

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