第129話 魔石コーティングフライパン
うちのダンジョンの討伐はこんな感じ。
『10時の方向にオーガ。8時の方向にオークキング』
『どらにゃんはオーガをやります』
『じゃあ灼熱はオークキングをやるぜ。高く売れる方を譲ってもらって、すまねぇな』
「じゃあ、ダンジョンクラッシャーは警戒にあたる」
こんな感じで仲良くやっている。
うちのパーティ名はダンジョンクラッシャー。
略してダンクラ。
仕事上がりのビールは美味いぜ。
泥酔はできない。
午後からも仕事だからだ。
「お疲れ」
「お疲れ様」
今日は殺処分ロッカーの魔石コーティング。
SLEの魔石コーティング部門のスケジュールを入れるのが難しかった。
船の魔石コーティングの需要が凄いんだよ。
そのうち落ち着くと思うがな。
それに車にまで魔石コーティングしてほしいとの要望がある。
頑丈にしても中に乗っている人間は揺られたり衝突したりで大変だろう。
少しでもリスクを減らしたいのかな。
金持ちの考えることは違う。
とにかく魔石コーティングは引っ張り凧。
そのうち炊飯器まで魔石コーティングしたりしてな。
フライパンとかもあり得るかもな。
「あー、だいぶ殺処分ロッカーが痛んでるな」
「召喚されてから窒息死するまで暴れますからね」
「第三セクターにも殺処分ロッカーのメンテナンスをしっかりやるように言っておかないと」
「【リフォーム】、ここは終わりました。あといくつ?」
作業員が魔石コーティングを施す。
「45です」
「魔力が足りなさそうだ、追加で魔力銀行から買ってこい」
「はい」
魔力銀行は魔石コーティングの事業と相性がいいな。
フライパンとかどうだろう。
ちょっと試したくなった。
見学を終えた俺は、フライパンと魔石を手に持って。
「【リフォーム】、コーティング」
真っ赤なフライパンが出来上がった。
コンロに火を点けてフライパンを熱する。
温まったところで卵を投入。
ぐちゃぐちゃにかき混ぜた。
油を引いてないのにくっ付かないな。
えー、冗談で思いついたのに、これが主流になるのか。
「先輩、スクランブルエッグですか?」
「味も何もないただの炒り卵」
「先輩の手料理食べたいです」
「ちゃんとした奴を作るから待て」
卵をボウルでかき混ぜ、塩コショウ、フライパンにバターを引いて温めたら、卵液を投入かき混ぜた。
皿に盛って
俺のは試しに作った味なし。
ケチャップとソースで味付けてパンにはさんで食った。
魔石コーティングで味が良くなるとかはない。
魔力が染み込むことでコクと深みがとかいかないみたいだ。
アイロン、炊飯器に魔石コーティング。
そして、思いついた。
紙とかはどうかな。
名刺を一枚取り出して魔石コーティング。
文字が書けないのでテープを貼った。
剥がれるテープ。
うそん、ここまでツルツルとは。
こうなりゃ意地だ。
魔石コーティングした上にテープを置いて。
「【リフォーム】。くはは、一体化してやった。これなら剥がれまい。勝ったな」
何と勝負しているのか分からないが、まあ良いだろう。
名刺は胸ポケットに入れた。
この名刺は使わない。
いや、総理大臣にでも会う時に使おう。
洗濯機も魔石コーティングしたいところだが、うちは部屋に汚れ回収機能が付いている。
洗濯する必要がないので置いてない。
覚醒塾では、1泊してもらうのと、50泊のコースがある。
50泊だと洗濯しないといけないので洗濯機がある。
部屋の洗濯機能は慣れてなくて使わない人が多いのでこうなっている。
この環境なら試験データとして良いと思う。
包丁も魔石コーティングしておくか。
魔石の値段とコーティングの加工代を考えると、1本5万は超えると思う。
良い包丁ならそれぐらいはするから商売にはなるかもな。
電気機器は、電気回路が魔石コーティングより先に駄目になりそうだから、意味がないかも。
フライパンとか鍋は良いかもな。
紙をコーティングするなら、折り紙とかが良いと思う。
オブジェになるからな。
でも競合として、焼き物の折り紙がある。
魔石コーティングは色合いが赤だけなので、調度品には向かないな。
やはり、調理器具か。
包丁は錆びないし、砥ぐ必要がないから、ヒット作になる予感。
一生使えると思う。
――――――――――――――――――――――――
俺の収支メモ
支出 収入 収支
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
繰り越し 15,558万円
上級ポーション1個 303万円
彫像10体 10万円
弾丸製造 500万円
魔力買い 567万円
分譲販売2部屋 6,000万円
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
計 567万円 22,371万円 21,804万円
ファンドメモ
俺の出資1250口 125億円
客の出資28117口 2811億7千万円
俺達の装備は。
俺 追憶のペンダント 不眠の冑 剛力の籠手 モノクル 身代わり人形 祈りの像 ミスリルのシャツ カモシカの足 戦車1号 力の腕輪
キープ 亜空間収納 千里眼の目隠し 身隠しのマント 変装の仮面 スキル鑑定の杖
反射の盾×2 衝撃の盾 浮遊の靴 収納の壺 蛸の手 眠りのオルゴール
金剛糸×2 オリハルコンの縫い針 熊の爪
魔石コーティング産業はこれからも伸びていくに違いない。
SLEの社員がボーナスホクホクで笑う顔が目に浮かぶ。
魔石コーティングは負の面が出て来ないことを祈る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます