第128話 スライムポンチ

 うちのダンジョンの討伐は順調。

 やはり、装備と物量だな。


 スタンガン、噴霧器、ノコギリ、パイルバンカーは役に立っている。

 ひっくり返ってからの油圧ジャッキも出番がないがこれを使うようじゃお終いだ。

 必殺技をひとつ考えた。

 リフォームで穴を掘って生き埋めにしてしまうのだ。

 俺の満タンな魔力だけでは足りないから、祈りの像に頼ることになる。

 何回も使えない文字通りの必殺技だ。


 だが、これをやると素材を採るのが面倒になる。

 掘り起こしても、死骸は穴の底。

 引き上げるのに苦労するというわけだ。


 ザコに使うような技じゃない。


 殺処分ファンドの第1回募集の3650億円が見えてきた。

 購買意欲を増すために、売り切れ間近の広告を出す。


 香川かがわさんからFランクダンジョンを買い取ったとの知らせが。

 行動が早いな。

 そのダンジョン、スライムポンチの視察に行く。

 間抜けな名前だが侮れない。

 スライムは天井や壁から、どこからでも自由自在に攻めてくる。

 体がほとんど液体なので、隙間なんかにひそんでいることもある。


 中間層のCランクスライムの強酸や毒は恐ろしい。

 なので中層からの攻略は進んでない。

 武器は痛むし、実入りは少ないという不人気ダンジョンだ。


 いいんじゃないか。

 戦車ならスライムは物ともしない。

 毒ガスにも耐えれるように設計してあるからな。


 ダンジョンのお値段3億6千万円。

 いい買い物をした。


「じゃあ、今日中に方を付けます」


 そう香川かがわさんに言って戦車に乗り込んだ。

 階段を降りるのはがたがたして乗り心地が非常に悪い。

 何回も来るのならうちのダンジョンみたいにスロープ付けるのに。


 がたがた階段が終わりいよいよ討伐スタートだ。

 スライムが床にいるのを構わずに戦車で突破する。


 楽勝だな。

 ボスの部屋まであっという間。

 ボスはでかいだけのスライムだった。

 主砲のライフルで核を撃ち抜く。

 危なげなく終わった。


 5階層までは毒だとか酸だとかのスライムが出てきたが戦車には敵わなかった。

 ここから強酸のスライムが出てくる階層だ。


 強酸のスライムを戦車でひく。

 魔石コーティングしてあるので平気なようだ。

 だが隙間から強酸が染み込んでいるようで僅かに煙が上がった。

 こりゃ、終わったらメンテナンスが要るな。


 5階層のボスも主砲のライフルでなんとかなった。

 6階層からは火を纏った奴とか、冷気を纏った奴とか出てきたが戦車の敵ではなかった。


 そして、8階層のボス。

 ボスは金属の肌をしたスライムだった。

 主砲ライフルを手始めにお見舞いする。

 魔石弾はボスを貫いた。

 なんだライフルでいけるんじゃん。


 扉をくぐるとダンジョンコアがある。


「【リフォーム】、魔力充填器」


 こうして、ここに魔石をセットすると。

 充填完了だな。


 魔力が入ったたくさんの魔石を持って凱旋する。


「お疲れ様です。首尾はどうです」

「ばっちり。ダンジョンの至る所に魔力充填器を設置したから」

「あとは残党のスライムを駆除すればいいだけですね」

「それは任せるよ」


 一日につき10億円分の魔力ぐらい容易いな。

 まだまだ、不人気Fランクダンジョンはある。

 これを元手に買い取っていこう。


 軍畑いくさばた区長のところからメールが来た。

 明日が選挙の公示日だと。

 月日の経つのは早い。


 もっとも俺は選挙にはノータッチだが。

 区議会選挙ぐらい圧勝で終わってほしい。


 定数は34議席だから。

 18議席取れば過半数だ。


 第三セクター事業が好調だから、ヘマしなければ大丈夫。

 第三セクター事業はモンスターの解体に伴う人員や、殺処分ロッカーの管理で、何百人もの雇用を生み出している。

 ダンジョンをたくさん買い取って、魔力充填器にしたら、第三セクターにもひとつぐらい貸し出してやるか。

 今後のことより今だな。

 今の第三セクターで雇用を生み出すとしたら、モンスターの革とかの加工、モンスター肉を利用した食品工場。

 こんなところが考えられる。


 俺は軍畑いくさばた区長にメールしたら、もう既に計画はあると返ってきた。

 俺がパッと考えつくようなのでは既に考えているらしい。


 戦車工場はどうだ。

 今までの運用でノウハウは蓄積してる。

 兵器産業は儲かるぞ。

 特にモンスターの脅威がある日本では。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し                6,032万円

上級ポーション2個             604万円

彫像10体                  10万円

弾丸製造                  500万円

魔力買い         588万円

分譲販売3部屋             9,000万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計            588万円 16,146万円 15,558万円



ファンドメモ


俺の出資1250口       125億円

客の出資26364口      2636億4千万円


 俺達の装備は。

俺 追憶のペンダント 不眠の冑 剛力の籠手 モノクル 身代わり人形 祈りの像 ミスリルのシャツ カモシカの足 戦車1号 力の腕輪

藤沢ふじさわ 巧みの手 俊足のブーツ 力の腕輪 魅惑の香水 反射の胸当て 戦車2号

上溝うえみぞ 巧みの手 俊足のブーツ 戦車3号

番田ばんだ 不動の盾 猫の爪 堅固の胴鎧 猫の足 戦車4号

拝島はいじま 祈りの像 足捌きの脛あて 鷹目の冑 カモシカの足 戦車5号

御嶽みたけ 幻影のネックレス 耐衝の胸当て カモシカの足 不眠の冑 戦車6号 戦車7号 戦車8号 戦車9号


キープ 亜空間収納 千里眼の目隠し 身隠しのマント 変装の仮面 スキル鑑定の杖

    反射の盾×2 衝撃の盾 浮遊の靴 収納の壺 蛸の手 眠りのオルゴール

    金剛糸×2 オリハルコンの縫い針 熊の爪


 ダンジョンの分譲販売が好調だ。

 それというのもエリクサーが出て一攫千金を実現した人がいるのだ。

 部屋も残り9部屋。

 俺達パーティ6人は2階層に一部屋ずつ確保してある。

 3000万円のボーナスだと思って貰えたらいい。

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