第127話 プレオープン

 今日の討伐は休み。

 モンスター動物園がプレオープンだ。

 俺達も当然のことながら招待された。


「先輩、ピクシーが可愛いです。お人形みたいな服を着せてもらって、とってもよしです」

「動く、フィギュアだからな」


 つきの檻はプチウルフか。

 子犬みたいに見えるけど、これでも成獣。

 可愛いと思って手を出すとダンジョンではガブリとやられる。


 ビックスクワトルは1メートルはあるリスのモンスターだ。

 その強靭な前歯は侮れない。


 藤沢ふじさわは隣でキャッキャッと騒いでいるけど、こいつら肉食だから。


 次の檻はビッグウルフか。

 隣にいる小学生が凄いを連発してる。

 そりゃサイぐらいのウルフだからな。

 こんなの、ダンジョンの中以外にはなかなかお目にかかれない。


 エッジタイガーの歯は短剣のような形状をしていて、切れ味が鋭そうだ。

 ハウリングベアはたまに大きな吠え声をあげてお客さんがびっくりしている。


 この規模の動物園としてはまあまあか。

 大フィールドタイプの中に動物園を建てたら壮観だろうな。


 ちなみにこの動物園の入園料は100円だ。

 お財布に優しいから、近所の人気スポットになってくれるとありがたい。


 ハウリングベアーは可哀想だがチェンジだな。

 2階層の住人から騒音被害が出てる。

 あとでこの動物園の移転も考えないとかも知れない。


 アンケート用紙があったので思う所を書いてポストに入れる。


藤沢ふじさわ、楽しかったか」

「ええ、どれも可愛かったです」

「飼うのならピクシーですかね。魔法使うのですよね。頭良さそうです」

「飼いやすいかもな。試しに飼ってみるか、でもテイムスキル付与必須なんだよな」

「ええ、討伐があるので抑えておきたいスキルは別ですから」

「討伐が終わったら飼おう」

「それがいいですね」


 動物園を出て香川さんの所に行く。


「邪魔するよ」

「何かありましたか?」

「魔力銀行のレートはどう決まっている?」

「あれは需要と供給をある式に当てはめて算出してます」

「気になったんだが古里こざとさんと組んでレート操作なんかしてないよな」

「してませんよ」


「でも何かしているだろう。殺処分ファンドの会計報告を読んだんだが、魔力売買で損した事がない。そんなのあるか。普通に考えたらおかしいだろう」

「気づいてしまいましたか。予見スキルで予想を立ててます」

「おいおい、インサイダーじゃないのか」

「魔力売買にはそのような法律はありません」

「法律が出来たら辞めるのか」

「ええ」


「これだから頭のいい上流階級の奴は。なんとかして穴を探そうとする」

「いけませんか」

「ほどほどにな。逮捕されても庇わないからな」

「そんなへまはしませんよ」


「魔力銀行で使っている魔力を溜める魔道具、あれは流行るな」

「ええ、カード型にして、電子機器と融合させれば、交通決済から買い物思いのままです」

「とうぜん開発してるってか」

「ですね。これからは魔力で経済を回す時代です」


「俺はダンジョンコアをひとつリフォームして、パラダイスサイバーの監視装置とポーション製造機に変えた。ポーションの製造より魔力が高くなれば、魔力を掘り出す鉱脈、いいや汲めども汲めども尽きない源泉にできる」

「分かってます。ダンジョンを買収するんですよね」

「そうだ」

「Fランクの不人気ダンジョンならそれほどお金は掛かりません。リフォームしてくれますよね」


「まあな、配当は貰うぞ」

「それは仕方のないことです」


「日本て国は石油や天然ガスなどがほとんどでなかったが、これで一気に資源国だな」

「ええ、ダンジョンは地震のエネルギーで動いていますから、日本は資源大国ですね」


 よし、ダンジョンを買い漁るぞ。

 金なら、分譲販売が進めば、どんどん入って来る。

 そして買ったダンジョンは俺がリフォームして何倍もの価値にする。


 これは、国を牛耳れるな。

 それには時間が掛かるけど、この手に握ったも同然だ。


「手ごろなFランクダンジョンのオーナーと交渉しといてくれ」

「ええ、任せて下さい。10億も積めば売ってくれそうなところに心当たりがあります」


 政党運営は金食い虫になりそうだから、金の湧き出る泉でもないとやってられない。

 政治は金も入って来るけど、出て行くときは出て行くと聞いた。

 さあ、どんなFランクダンジョンがくるかな。

 ゴブリンなんかだど戦車で一発なんだが。

 攻略が容易いのが買い取れるといいな。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               53,436万円

上級ポーション2個             602万円

彫像10体                  10万円

弾丸製造                  500万円

魔力買い         516万円

分譲販売4部屋            12,000万円

ダンジョン買い付け 60,000万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計         60,516万円 66,548万円  6,032万円



ファンドメモ


俺の出資1250口       125億円

客の出資24613口      2461億3千万円


 俺達の装備は。

俺 追憶のペンダント 不眠の冑 剛力の籠手 モノクル 身代わり人形 祈りの像 ミスリルのシャツ カモシカの足 戦車1号 力の腕輪

藤沢ふじさわ 巧みの手 俊足のブーツ 力の腕輪 魅惑の香水 反射の胸当て 戦車2号

上溝うえみぞ 巧みの手 俊足のブーツ 戦車3号

番田ばんだ 不動の盾 猫の爪 堅固の胴鎧 猫の足 戦車4号

拝島はいじま 祈りの像 足捌きの脛あて 鷹目の冑 カモシカの足 戦車5号

御嶽みたけ 幻影のネックレス 耐衝の胸当て カモシカの足 不眠の冑 戦車6号 戦車7号 戦車8号 戦車9号


キープ 亜空間収納 千里眼の目隠し 身隠しのマント 変装の仮面 スキル鑑定の杖

    反射の盾×2 衝撃の盾 浮遊の靴 収納の壺 蛸の手 眠りのオルゴール

    金剛糸×2 オリハルコンの縫い針 熊の爪


 ダンジョンの買い付けに6億円を出したが、足りるかな。

 足りない時はファンドの方から融通してもらうさ。

 とうぜんその分の配当はファンドに払うけど。

 香川かがわさんはこれからは魔力の時代が来ると思っているらしい。

 俺もその尻馬に乗ろう。

 魔力が余っても、リフォームスキルで消費できる自信はある。

 そのぐらい魔力コーティングは伸びている。

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