第125話 3パーティ合同

 3パーティ合同での討伐だ。

 戦車19台が横一列で走ると圧巻。

 小っちゃいミニタンクだけどね。


 今回は戦車に噴霧器とスタンガンを装備した。

 これの実地試験も兼ねている。


「よし行くぞ!」

『おう』


 次々に応答があった。


 他のパーティはリーダーがいるのだから任せよう。


『灼熱の剣、オークキングと接敵しました』


 今回からは実況が入る。

 灼熱の剣は行動が早いな。


『どらにゃんの尻尾、オーガを射程に捉えて、これから射撃に入ります』


 俺達もぼやぼやしてられないな。


「よし、カイザーウルフをやるぞ」

『おう』


 全員の応答があった。

 他パーティの実況を聞きながら、カイザーウルフに射撃を加える。


『右手から、オーク来てます』


 そうそう、俺のネットワークを作るスキルは便利なんだよね。

 知らせたい人だけに声を届けられる。

 そうでないとネットワークとは言えないからな。


 各パーティの実況が聞こえているのもリーダーだけだ。

 うるさい時は遮断も出来る。


 不味そうな匂いをカイザーウルフの死骸に噴霧する。

 オークは顔をしかめて、死骸を食うよりも戦車と戦う方を選んだ。


 噴霧器便利だな。

 拝島はいじまさんの戦車から赤い光線が発射された。

 ライフルにレーザーポインターを付けたらしい。

 そのレーザーがオークの目を焼く。

 オークは目をこすった。


 そういう使い方もできるか。


 ライフルから発射された魔石コーティング弾がオークを貫く。

 このフィールドは弱いモンスターも出るから、通常使うのは魔石コーティング弾にした。


 強敵だけ魔石弾を使う。


 スタンガンの出番はなさそうだ。

 戦車で接近戦は普通しないものな。

 オーガの皮膚が特別硬いのとか出て来たら使うかも知れない。

 でもテストはしておかないと。

 オーガが血の匂いに釣れられて現れたので、それでテストすることにした。


「オーガは俺がやる」


 オーガと対峙してスタンガンを準備。

 バチバチいう音が戦車の中にも聞こえてきた。

 戦車を目一杯加速。

 オーガに体当たりした。

 バヂッという音がしてオーガが崩れ落ちるように倒れる。


 スタンガンは有効だな。

 もっとも人が乗ってないとだめなんだよな。

 魔力を纏ってないと効かない。

 ロボットで討伐するんだったら、魔石から供給するしかないだろう。

 魔道具の回路の解析が急がれる。


 他パーティからも続々とモンスターを仕留めたという実況が入ってくる。

 今のところ問題ないな。


 リスポーン地点があったので停止させる。

 今日のノルマは終わった。


 反省会を開く。


「レーザーポインターは全車装備させよう」

「あれは上手くないぜ。モンスターに撃つ場所を教えちまう」

「動いている物にレーザーを当てる手間より撃った方がいいと思います」


 そうだよな。

 万能ってわけじゃない。

 拝島はいじまさんはスキルを使ってドンピシャで目を狙えたに違いない。


「使わなくてもいいから、装備だけしておこう」

「それならな」

「ええ」


「何かほしい装備とかあるか?」

「ロケットダッシュがほしいぜ。かっとんで体当たり、ロマンだろう」

「敵に足を止めさせたら、良い的になって勝ちですよね。そういう装備がいいですね」

「分かった考えておく」


 常に考えて工夫していかないとな。

 掛かってるのは自分の命だ。


 俺は軍畑いくさばた区長の所に顔を出した。


「そろそろ、政党の立ち上げしてもいいんじゃないですか」

「第三セクターも絶好調だしやるなら今かもな。しかし、資金はどうする」

「SLEの株を担保にして借ります。100億は借りれるはずです」

「いいのかね」

「ええ、財源なら大丈夫。殺処分ファンドにただで貸してますが、これからは料金を取ろうと思います。第三セクターも来年からは取りますよ」

「まあ、仕方ないことだな」


 軍畑いくさばた区長は思案ありげに机の上を指でトントンと叩いた。


「何か?」

「与党からちょっかいが入らなきゃいいなと思ってな」


「こんな小さい政党をですか」

「表では何もしてこないさ。問題は裏だよ」

「そこは軍畑いくさばた区長が何とかしてくれるんでしょう」

「できる限りはね。ただスキャンダルはどうしようもない。党員には気をつけるよういうつもりだが。こればかりはね」

「そこは、ことが起こってから考えましょう」


「政党の名前は何にする?」

「ダンジョン問題を解決する党。略称はダンジョン党です」

「まあいいだろ。こうなるとスタンピードが欲しいな。いい問題提起になる」

「俺はそんなことは口が裂けても言えません」

「怒ったか、だがこれも政治だ」


 清濁併せ呑むなんて俺には無理だな。

 政治家にはなれそうにない。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               28,329万円

上級ポーション2個             608万円

彫像10体                  10万円

弾丸製造                  500万円

魔力買い         536万円

分譲販売5部屋            15,000万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計            536万円 44,447万円 43,911万円



ファンドメモ


俺の出資1250口       125億円

客の出資20113口      2011億3千万円


 俺達の装備は。

俺 追憶のペンダント 不眠の冑 剛力の籠手 モノクル 身代わり人形 祈りの像 ミスリルのシャツ カモシカの足 戦車1号 力の腕輪

藤沢ふじさわ 巧みの手 俊足のブーツ 力の腕輪 魅惑の香水 反射の胸当て 戦車2号

上溝うえみぞ 巧みの手 俊足のブーツ 戦車3号

番田ばんだ 不動の盾 猫の爪 堅固の胴鎧 猫の足 戦車4号

拝島はいじま 祈りの像 足捌きの脛あて 鷹目の冑 カモシカの足 戦車5号

御嶽みたけ 幻影のネックレス 耐衝の胸当て カモシカの足 不眠の冑 戦車6号 戦車7号 戦車8号 戦車9号


キープ 亜空間収納 千里眼の目隠し 身隠しのマント 変装の仮面 スキル鑑定の杖

    反射の盾×2 衝撃の盾 浮遊の靴 収納の壺 蛸の手 眠りのオルゴール

    金剛糸×2 オリハルコンの縫い針 熊の爪


 他のパーティの収入だが、今回は依頼金は払わない。

 狩ったモンスターの素材が収入だ。

 だが割は合うはずだ。

 Aランクのモンスター素材は高く売れるからな。

 戦車に乗ってリスクも減ったし、収入は仕事に見合っていると思う。

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