第124話 合同パーティ

 今日の討伐は休み。

 どらにゃんの尻尾と灼熱の剣との打ち合わせだ。


「状況が変わったので声を掛けた」


 この二人は勘違いしないと思うが、いまの立場は俺の方が上。

 なのでタメ口を利く。


「羽振りが良いのは聞いている」


 灼熱の剣の厚木あつぎさんがそう言った。


「猫シリーズ集めたいですね。番田ばんださんのSNS見て羨ましかったですよ」


 どらにゃんの尻尾の社家しゃけさんが期待に溢れた様子で言った。。


「戦車を提供できる。このダンジョンでやってみないか」


「いいね。熱い大砲をぶっ放ちたいぜ」

「戦車ならAランクでも余裕ですね」

「そう言って貰えると思って、既に戦車は用意してある」


 どらにゃんの尻尾6人と、灼熱の剣4人が戦車に乗り込む。

 2階層にある戦車基地から、出陣だ。


「【ネットワークライイイング】。聞こえますか」

『感度良好、びんびん聞こえるぜ』

『オッケーです』


 通信は大丈夫なようだ。


『野郎ども熱い大砲をぶっ放せ』


 おうという声が3人上がった。


『猫がいたら保護しますよ』


 はいと言う返事が5人。


『野郎ども十字砲火だ。モンスターのケツに熱いのをお見舞いしてやれ』

『兄貴、十字砲火は自動小銃だよ』

『分かってるよ。気分だ気分』

『撃て撃て撃て』

『ヒャッハー』


 台詞はあれだが戦果は上がっている。

 オーク2体にオーガ1体。


 どらにゃんの尻尾の方は、3段撃ちするようだ。

 順番に一人ずつ撃って射撃が途絶えない。

 モンスターが寄って来ても常に誰かが撃てる体勢だ。

 攻撃力はないが、堅実だと言える。


 銃は不慣れなはずなのに、双方それなりに当たっている。

 理由は何となく分かる。

 ライフル銃が砲塔に固定してあるので、発射時に銃身がぶれないのだ。

 だから不慣れでも当たり易い。


 実は灼熱の剣とどらにゃんの尻尾は猟銃の許可を取ってない。

 だから違法なんだが、まあうるさいことをいう奴はいない。


 狩りは問題なかった。

 猟銃の免許さえ取れば問題ないな。

 取れるまでは無免許でやろう。


 本格始動している第3セクターの視察に行く。


「どう、感じは?」

「体力勝負の仕事ですね。モンスターがもっと小さかったら良いんですが。フォークリフトさまさまですよ」

「パワードスーツがあるから、上に提案書を上げてみろよ。儲かっているから通るかもな」

「パワードスーツは力が出せるんですが、動きが遅いのがなんとも。身体強化の付与の方が便利です。ただ付与は発動に魔力を食うから、長時間できないのが悩みですね」

「何か新しい製品が生まれそうだな」

「パワードスーツでもない、スキル付与でもない、第三の方法ですか」

「ああそうだ」


 閃いた。

 魔道具は現在魔力を溜める機能まで作れたんだったな。

 次の魔道具は重力制御を進言しよう。


 落とし穴の工事。

 VRディスプレイを装着。

 画面には掘る深さのイメージが表示される。


「手始めに【リフォーム】」


 10メートルの広さが1センチぐらい削れた。

 祈りの像から魔力を補給する。

 ガンガン行こう。

 おっとVRと画像がずれた。

 リフォームスキルで修正っと。


 こういう道具があると簡単だな。

 瞬く間に縦穴が終わった。


 床に剣山のお化けみたいなのを下ろす。

 これは業者がやってくれた。


 3階層に降りて横穴を掘る。

 モンスターに対する警備はどらにゃんの尻尾がやってくれた。


 VRがあるので1センチの狂いもなく横穴と縦穴が繋がった。

 そしてあとはひたすら魔石コーティング。

 上の蓋の仕組みは業者が作ってくれる予定だ。


 灼熱の剣と、どらにゃんの尻尾のリーダーが集まって反省会だ。


「何か意見はあるか」

「今回、2パーティ合同だったけど、パーティ間の連携がないと」


 どらにゃんの尻尾の社家しゃけさんが問題提起した。


「うーん、パーティ間の連携は難しいな。うちもスケルトン入れたら9人パーティだし」

「俺の所は4人だが、よそ者と連携は難しいぜ」


「危機に陥ったら、ネットワークで連絡を入れて助けに回るっていうのがいいかな」

「まあそれが無難だろうな」

「パーティ間の連携があればもう一段階上にいけそうですが、仕方ありませんね」

「俺も現状が良いとは思ってない。当分の間だけ、危機に陥ったら他のパーティが駆け付けるってことでいこう」


 人数が増えると、増えた分だけ問題が起こる。

 これは会社でサラリーマンしてた時から付いて回る問題だ。

 連絡を密にするぐらいしか、とりあえずの対策はない。

 モンスターとの戦闘の実況をパーティメンバーの誰かにやってもらうしかないな。

 3人がそれに手間取られて戦力が半減するが、仕方ないことだろう。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               46,680万円

上級ポーション2個             610万円

彫像10体                  10万円

弾丸製造                  500万円

魔力買い         541万円

分譲販売3部屋             9,000万円

落とし穴工事費      650万円

配当2%               25,000万円

配布金の寄付    52,280万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計         53,471万円 81,800万円 28,329万円



ファンドメモ


俺の出資1250口       125億円

客の出資18117口      1811億7千万円


 俺達の装備は。

俺 追憶のペンダント 不眠の冑 剛力の籠手 モノクル 身代わり人形 祈りの像 ミスリルのシャツ カモシカの足 戦車1号 力の腕輪

藤沢ふじさわ 巧みの手 俊足のブーツ 力の腕輪 魅惑の香水 反射の胸当て 戦車2号

上溝うえみぞ 巧みの手 俊足のブーツ 戦車3号

番田ばんだ 不動の盾 猫の爪 堅固の胴鎧 猫の足 戦車4号

拝島はいじま 祈りの像 足捌きの脛あて 鷹目の冑 カモシカの足 戦車5号

御嶽みたけ 幻影のネックレス 耐衝の胸当て カモシカの足 不眠の冑 戦車6号 戦車7号 戦車8号 戦車9号


キープ 亜空間収納 千里眼の目隠し 身隠しのマント 変装の仮面 スキル鑑定の杖

    反射の盾×2 衝撃の盾 浮遊の靴 収納の壺 蛸の手 眠りのオルゴール

    金剛糸×2 オリハルコンの縫い針 熊の爪


 給付金を一戸あたり20万円、配布をした。

 とりあえず、住民運動は収まっているようだから、これからは年1回ぐらいで良いと思う。


 草原フィールドは宝箱が見つけにくい。

 藤沢ふじさわのマッピングスキルが必要だな。

 とりあえず、宝箱にはトラップもあるのでも見つけても無視するように言ってある。

 全てのリスポーン地点を停止させたら、ゆっくり回収するつもりだ。

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