第120話 ボス討伐

 いよいよ、ボス討伐だ。

 どんなボスが出て来るか。

 中にいたのは、象の何倍もあるでかい白いトラ。

 白虎だな。

 名づけるならギガントホワイトタイガー。


番田ばんださん、ネコ科ですけど討伐から降りますか」

「いやあれは猫ちゃんとは言えない。大丈夫だ」


 ボス部屋の扉が閉まる。

 ギガントホワイトタイガーは俺達を認識すると、ネコ科特有のしなやかな足つきで、歩き始めた。

 そして、突然飛び掛かってきた。


「【リフォーム】障壁」


 壁ができてギガントホワイトタイガーの攻撃は阻まれた。

 だが、面積を確保するために薄く作った。

 どうやら破られそうだ。

 ガリガリとひっかく音がする。


 ひびが出来て穴が開く。


「撃て撃て」


 穴を狙って魔石弾を撃ち込む。

 だがギガントホワイトタイガーは意に介さない。


 なんて硬い皮膚なんだよ。

 いや、血が垂れるのを確認。

 肉で銃弾を阻んだのだな。


 障壁が無くなったら終わりだ。


「【ストラテジー】、目を狙って」


 拝島はいじまさんがスキルを使う。

 目を狙えば良いのは分かる。

 だが手しか見えないんだよ。


「【フォァサイト】5秒後です。5、4、3、2、1、いま」


 ギガントホワイトタイガーが穴を覗き込んだ。

 片目に銃弾が当たった。

 ギガントホワイトタイガーが、ガァァァと悲鳴を上げる。


「【リフォーム】障壁解除」


 ギガントホワイトタイガーは飛び退いた。

 俺は祈りの像から魔力を補給。

「【マッピング】」

「【ネットワークライイング】【リフォーム】槍」


 藤沢ふじさわのマッピング能力を借りて放った一撃で、ギガントホワイトタイガーは串刺しになったが、槍をへし折った。


「【リフォーム】槍。【リフォーム】槍。【リフォーム】槍。【リフォーム】槍。【リフォーム】槍」


 ギガントホワイトタイガーは満身創痍。

 だが、最後の力を振り絞り襲い掛かってきた。


「【フォァサイト】」


 拝島はいじまさんの弾丸は外れたように見えた。

 だが、髭に当たったようだ。


 ギガントホワイトタイガーが明後日の方向にパンチを繰り出した。

 チャンスだ。


「【リフォーム】槍」


 止めの一撃がギガントホワイトタイガーの心臓を貫いた。


 強敵だった。


 さすがボス。

 魔石弾が効かないとはな。

 みんなでハイタッチする。


「先輩、強敵でしたね」

「そうだな。魔石弾以外の攻撃方法も考えないと」


 ドローンの攻撃が可能になれば、討伐はもっと容易くなるだろう。

 試験の日が待ち遠しい。


 宝物はエリクサーが2本だった。

 この勢いで討伐ダブルヘッダーだ。


 ダンジョン、ゴブリンの巣穴の攻略は6階層まで行っていた。

 戦車に取り付けた前面のノコギリとパイルバンカーも良い具合だ。


 魔石コーティングが大きかったな。

 あれで、装甲の薄さを十分カバーできる。


 ずんずんと戦車は進み、10階層まできた。

 ここのボスが強敵だ。

 ゴブリンキングらしいが勝った者はいない。

 俺は戦車でボスの間に乗り込んだ。


 ゴブリンキングは2メートルを超えてはいるがそれほど強そうには見えない。

 と思ったところ、ゴブリンが100体ぐらい召喚された。

 そして数が爆発的に増えていく。

 こういう攻撃か。

 もちろん戦車の敵ではない。


 ノコギリで斬りまくった。

 ゴブリンの血で緑に染まる床。


 こうなれば我慢比べだ。

 どれぐらいやっつけただろうか。

 やっと数が少なくなってきた。

 最後、ゴブリンキングにパイルバンカーを打ち込む。

 ゴブリンキングの腹に穴が開いた。


 さあ、行くか。

 扉をくぐると、台座みたいな物の上に不思議な光を放つ物体がある。

 やはりあったかダンジョンコア。


「【リフォーム】監視装置」


 ダンジョンが網の様に作り変えられ、広範囲に広がった。

 そして、パラダイスサイバーの使用者の情報が入ってくるようになった。

 だいたい、一つの県ぐらいしかカバーできないな。

 47都道府県と同じ数のダンジョンを制覇しないといけないようだ。

 ダンジョンから出て警察にダンジョンコアのことを教えた。

 係官が常駐して、監視にあたるようになるに違いない。


 戦車の有用性は証明できたな。

 あとはオーガともやれる機体を作り出すだけだ。

 装甲は魔石コーティングで足りているから、機動力と攻撃力だな。

 今後の冒険者は戦車が主流になるに違いない。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               28,842万円

上級ポーション2個             602万円

彫像10体                  10万円

弾丸製造                  500万円

魔力買い         524万円

家賃                    100万円

分譲販売3部屋             9,000万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計            524万円 38,437万円 37,913万円



ファンドメモ


俺の出資1250口       125億円

客の出資11863口      1186億3千万円


 俺達の装備は。

俺 追憶のペンダント 不眠の冑 剛力の籠手 モノクル 身代わり人形 祈りの像 ミスリルのシャツ カモシカの足 戦車1号

藤沢ふじさわ 巧みの手 俊足のブーツ 力の腕輪 魅惑の香水 反射の胸当て

上溝うえみぞ 巧みの手 俊足のブーツ

番田ばんだ 不動の盾 猫の爪 堅固の胴鎧 猫の足

拝島はいじま 祈りの像 足捌きの脛あて 鷹目の冑 カモシカの足

御嶽みたけ 幻影のネックレス 耐衝の胸当て カモシカの足 不眠の冑


キープ 亜空間収納 千里眼の目隠し 身隠しのマント 変装の仮面 スキル鑑定の杖

    反射の盾×2 衝撃の盾 浮遊の靴 収納の壺 蛸の手 眠りのオルゴール

    金剛糸×2 オリハルコンの縫い針 熊の爪


 ゴブリンの巣穴で得た宝物はほんとクズだった。

 錆びた剣とか、とにかくろくなものがない。

 ラスボスでやっと上級ポーションだ。

 これは売って俺のポケットマネーにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る