第110話 辻堂《つじどう》社長
SLE社のことも俺の肩に掛かってきた。
そりゃ、知らんぷりも出来るよ。
だが、俺は俺のしたことを知っている。
責任を取る必要があるようだ。
さて討伐だ。
今日の討伐は、オークキング1体。
最近モンスターの数が減ったか。
いや偶然かも知れない。
簡単に仕留めた。
宝物はオアシスの壺。
これは嬉しい。
高値で売れるからな。
次の討伐は、ギガントクイーンビー1匹。
蜂だ。
働き蜂がいないのが幸いだった。
銃でなんなく仕留めた。
宝物は熊の爪。
猫の爪とそんなに変わらないが、猫の爪はスピード重視に対して、こっちはパワー重視だ。
いちおうキープする。
さてSLEだ。
SLEのSNSは炎上。
辻堂の話ではバッシングが凄いらしい。
取引先が軒並み契約を破棄しているとのこと。
俺はSLE社オーナーの
そして、会談に臨んだ。
「SLEを1億で売ってほしい」
「俺の悪い癖かな。物件を持ちすぎて売り時を逃がしてしまう。こんな不良債権いらないよ」
「ありがとうございます」
「なんだか掌で遊ばされてた気分だよ。ライバルのウルトラソフトウェアに肩入れしたのは知っているけど、まさかこんなになるとはね」
「私も予想外でした。パラダイスサイバーの出現は完全に計算外です。あれはなくしたい」
「そうだね。あれが無ければもっと高値で売れたのに」
株式の書き換えが終わって、俺がSLEのオーナーだ。
さっそく乗り込む。
「今日から俺がオーナーだ」
取締役に俺はそう言い放った。
「はい、オーナー。元のオーナーから伺っています」
「新しい社長は
「えっ、平社員を社長にするのですか?」
「ああ、そうだ。本当は取締役や部長クラスも一新したい」
取締役の顔が引きつった。
「君が新しい社長だ」
「俺、経営のことなんか分かりません」
「俺だって分からないけどなんとかやっている。大丈夫だよ。思考入力の特許は俺が持っている。思考入力関連の製品を作ったらウハウハだよ」
「分かりました。やれる所までやってみます」
「まずは、SLEの利益の半分をパラダイスサイバーの被害者救済に充てると発表しろ」
「はい」
「手始めに思考入力パソコンとスマホを作れ。そしてそのOSを供給するんだ」
「できるでしょうか?」
「やるんだよ。出来なければどっかと提携しろ」
「はい」
「何だ泣いているのか」
「もう嬉しいのか大変なのか分かりません。感動しているのかも。もしかして俺って歴史に名前残しちゃう」
「残すかもな。大変だが頑張れ」
「はい」
SLEはこれでいい。
ぶっちゃけ赤字だって構わない。
OSが完成すればきっと大会社に発展するさ。
事務所に帰って
『もう美味しい所はみんなウルトラソフトウェアにもって行かれて( ;∀;)。小ネタプリーズ』というメールが来た。
『2番せんじを狙えば良い。ドリームキャプチャあったろう。あれの投稿サイトなんてどうだ。製作費0円でショートドラマが作れる。投稿したら流行ると思わないか』と返した。
『名付けてディtubeいいかもです』
『法律関係に気を付けろよ。出演者は夢の中の人物だけど、実在の人だから許可がいる。その許可をデイtubeで取ってやるんだ』
『許可を取る作業に莫大な人件費が掛かりますね』
『そんなの電話と身分証明書のコピーで済ませろよ』
『なりすましが怖いですね』
『おお、そこで思考入力の生体認証だよ。政府に売り込んだらどうだ』と俺。
『出演者の許可を思考入力生体認証でクリアするんですね』
『これで二つアイデアが出ただろう。ちょっとしたアイデアで良いんだ。物にならなくても何か出来るさ』
『頑張ります』
「
「若いからな。なんとかやるだろう。会社が潰れそうになったら俺がてこ入れするから心配はない。だが儲かると思う。
「そうします。手始めに猫ちゃんとかに思考入力を繋いで何を考えているか翻訳するソフトを作ってもらいます」
「いいね。そういうのも流行るだろう」
思考入力の応用はこれからだ。
ただ、風評被害が気になるんだよな。
思考入力が危険という風潮は出てきてる。
芸能人に金を使って宣伝してもらうか。
若者が使い始めれば、年寄りもそのうち感化される。
CMだな。
ウルトラソフトウェア社に打診してみよう。
――――――――――――――――――――――――
俺の収支メモ
支出 収入 収支
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
繰り越し 18,571万円
上級ポーション3個 918万円
彫像10体 10万円
弾丸製造 500万円
魔力買い 634万円
金貨25枚 288万円
火球の杖 125万円
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
計 634万円 20,412万円 19,778万円
パーティ収支メモ
支出 収入 収支
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
繰り越し 44,608万円
オークキング1体 67万円
オアシスの壺 2,214万円
ギガントクイーンビー1体 51万円
弾丸60発 6万円
弾丸用魔石 150万円
付与魔法依頼 50万円
魔力買い 127万円
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
計 333万円 46,940万円 46,607万円
ファンド収支メモ
俺の出資1250口 125億円
客の出資7881口 788億1千万円
支出 収入 収支
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
繰り越し 175,154万円
カイザーウルフ60体 4,500万円
ドッペルオーク12体 600万円
シャーマンオーク12体 720万円
エンペラータランチュラ12体 1,056万円
メイズスパイダー12体 1,020万円
エレファントスレイヤー12体 1,440万円
オーガ96体 5,280万円
弾丸製造 500万円
酒 12万円
転移輸送 817万円
最下級ポーション 514万円
くず鉄20トンほど 203万円
シャイニングストーン 1,218万円
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
計 0円 172,726万円 172,726万円
遺産(不動産) 0円
ダンジョン -48億円
出資金 125億円
ギガントクイーンビーは魔石以外、金にならなかった。
蜂蜜は働き蜂がいないとな。
ダンジョンの中では草原フィールドでもないと難しいだろう。
俺達の装備は。
俺 追憶のペンダント 不眠の冑 剛力の籠手 モノクル 身代わり人形 祈りの像 ミスリルのシャツ カモシカの足
キープ 亜空間収納 千里眼の目隠し 身隠しのマント 変装の仮面 スキル鑑定の杖
反射の盾×2 衝撃の盾 浮遊の靴 収納の壺 蛸の手 眠りのオルゴール
金剛糸×2 オリハルコンの縫い針 熊の爪
熊の爪は近接職なら垂涎もののアイテムなんだろうな。
これの出番がくる時はかなり追い詰められているだろう。
使う日が訪れない事を祈る。
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