第94話 復元スキル持ち

 本日の討伐のひとつ目は、でかい蛇2匹だった。

 ギガントパイパーという名前らしい。

 頭が弱点ということは分かっているし、尻尾を拘束すれば進めない。

 頭が動いて狙い辛いが、問題なく仕留められた。


 こいつの肉って食えるのか。

 殺処分ロッカー作っても蛇肉だと売れなさそうだな。

 毒液採って血清作っても、同じ蛇じゃないと効かないだろうし。

 まあ俺が考える事ではないな。


 宝物は冑だった。

 不眠の冑という名前らしい。

 催眠対策アイテムらしいが、誰か一人被った方が良いのだろうな。

 そうすれば眠らせる敵に対して、対処ができる。


「不眠の冑らしいが誰が被る?」


 声は上がらない。

 うっとうしいものな。

 しょうがない俺が被ろう。


 次の敵はカイザーウルフ3匹だった。

 特殊個体ではないのであっという間に方がついた。

 宝物は上級ポーションだった。

 まあ悪くはない宝物だ。


 3日も経てば第三セクターの職員の研修も慣れたもの、死骸をみても驚いたりしない。

 無言で運び出していた。

 聞き取り調査する。


「何か困ったことは?」

「生えたスキルが有用だと辞める奴が多いですね。私なんか計算スキルですよ。こんなの電卓でもできます。転職は無理そうですね」

「そんなに辞める奴が多いのか?」

「ええ、もう半分ぐらいは辞めてます。コネ入社の奴には辞めて欲しいですけど、辞めないんですよねこれが」

「分かるよ。俺も有用なスキル持ちなら勧誘したい。やると区長がへそを曲げそうだからやらないけど」

「何とかならないですかね」


「勤めてからスキルが生えるのが問題だな。スキルを生やしてから採用すれば良い。いま橋本はしもとさんの部屋は彼女を追い出して風呂だけ使っているだろう。一晩泊めてから面接すりゃいい。提案書を出しておくよ。それと身体強化系の人間は資格扱いにして高級取りだな」

「セカンドスキルは絶対に身体強化系にします。セカンドスキルが芽生えるのが、24時間このダンジョンにいて50日でしたよね。100日ぐらい我慢すれば」

「頑張れ。駄目だったらサードスキルもある」

「サードスキルの5000日はちょっとですよ。13年じゃないですか」

「定年までにもうワンチャンスあるんだから、辞めるなよ」


 ウルトラソフトウェアに行く。


「無償バージョンアップは進んでるか?」

「バージョンアップすると、パラダイスサイバーが使えなくなると知れ渡ってます。真っ当な人は応じてくれるんですけど、若者とかが応じてくれません。ただ薬物をやってない若者から、パラダイスサイバーの副作用の裏が取れました。黒です。幻覚の副作用がありますね。どういう仕組みなのかは分からないですが、医者によれば思考が逆流することによって、幻覚のニューロン回路が作られるらしいです」

「じゃあ、治療にはポーションも効かないな」

「ええ、エリクサーでも無理だと思われます」


 難病を作りやがって。

 ニューロン回路を解除するスキルなんてあるのかな。

 区長に言ってパラダイスサイバーの危険性を国に訴えて貰わないと。


 とにかくこの難病を治療する方法は時間を過去に戻すとかだな。

 物を戻す復元スキルとかがあると良いだろう。

 記憶は失われるが病に苦しむよりましなはずだ。


 復元スキル持ちが現れることを祈る。

 はっと気づいた。

 祈ってても何も変わらない。

 攻めだ、攻めの姿勢だ。


 俺は香川かがわさんに電話した。


「急で悪い。美術品の修復とかやっている人でスキルが生えてない人がいないか?」

『なんのためにです』

「修復スキルが必要になりそうなんだ」

『お金の匂いがプンプンしますね。修復スキルですか。それがあったら大金持ちですよ』

「人体に使って病気を治したい」

『ほう、素晴らしい。末期癌も元通りってわけですね。文字通り若返りですね』

「そんな上手くいくか分からないが、試してみる価値はある」

『やりましょう。修復士の方々にただで覚醒塾を使わせたらいいのですよね』

「やってくれるか」

『任せて下さい』


 明日が楽しみだ。

 区長からメールを貰った。

 パラダイスサイバーの危険性を警告したところ。

 国が動いてくれるらしい。

 こうなれば時間の問題だな。


 尻手しって専務、お前は地獄に落ちることになるだろう。

 暴力団とかが匿いそうだが、それの手も打っておかないとな。

 呪術スキルだな。


 病気で苦しむ本人や家族の怨嗟の声を呪術で晴らしてやる。

 呪術師に心当たりはないが、香川かがわさんなら知っていると思う。

 パラダイスサイバーが禁止になったら、やってやろう。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               53,539万円

上級ポーション2個             608万円

彫像10体                  10万円

弾丸製造                  500万円

剛力の籠手                 300万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計               0円 54,957万円 54,957万円


パーティ収支メモ


              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               23,306万円

ギガントバイパー2体            116万円

カイザーウルフ3体             153万円

弾丸60発          6万円

弾丸用魔石        150万円

付与魔法依頼        50万円

剛力の籠手        300万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計            506万円 28,446万円 27,940万円



ファンド収支メモ


俺の出資1250口       125億円

客の出資3814口       381億4千万円


              支出       収入        収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               68,346万円

カイザーウルフ60体          4,500万円

ドッペルオーク12体            600万円

シャーマンオーク12体           720万円

エンペラータランチュラ12体      1,056万円

メイズスパイダー12体         1,020万円

エレファントスレイヤー12体      1,440万円

オーガ96体              5,280万円

弾丸製造                  500万円

酒                      12万円

転移輸送                  657万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計               0円 99,862万円 99,862万円


遺産(不動産)         0円

ダンジョン        -48億円

出資金          125億円


 2階層の空き部屋から剛力の籠手というのが出た。

 オークションに出さずにうちのパーティで買い上げた。

 俺が装備する予定。

 転移輸送の業績は伸びている。

 一瞬で届けたい人とか、一瞬で移動したい人はいるらしい。

 徐々に増えていくだろう。

 鉄採取が無いので、十分その代わりになっている。

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