第92話 ゴーレム

 装備が少し整った。

 俺が追憶のペンダントと亜空間収納。


 藤沢ふじさわが巧みの手と俊足のブーツ。

 不動の盾は番田ばんださんが、祈りの像は拝島はいじまさんが使うことになった。

 宝物はまだ出る可能性がある。

 すこしずつ装備を整えていけば良いだろう。


 酒瓶は美酒の泉というアイテムらしいが、これは殺処分ファンドに貸し出すことにした。

 殺処分ファンドの社員の魔力は余っている消費するに都合が良い。

 古里こざとさんなら酒蔵を買収して酒造りの許可とかも簡単に取得すると思う。


 宝物が出るとなれば討伐にも気合が入る。

 今回はオークキングとオークプリンス2匹だった。

 オークプリンスはオークキングより少し小さめ。

 オークキングに従っているからそうなのかと思った。

 オークロイヤルガードというのもいるが、こっちは武装が大盛りだ。


 話がそれた。

 討伐はすぐに済んだ。

 オークでは銃の敵ではない。


 宝物は杖だった。

 どこかで見たと思ったらスキル鑑定の杖。

 ぶっちゃけ要らないが、あっても困らないからキープだな。


 本日2回目の討伐は、ゴーレム3体だった。

 強敵だ。

 なぜかというと体が鉄でできているからだ。

 と思ったら拝島はいじまさんがワンショットキル。


「弱点は胸の宝石だ。あそこを狙うと良い」


 宝石はコアなのだろう。

 あんな小さい的は当たらないよ。

 みんな撃ちまくるがなかなか当たらなかった。


 向かってきたので番田ばんださんが不動の盾で攻撃を受け止める。

 なんとか藤沢ふじさわが仕留めた。


 ここまで来れば。


「【リフォーム】拘束」


 ゴーレムを拘束した。

 ダンジョン構成物の枷を破る程のパワーはないようだ。

 ほどなくして討伐出来た。

 確かゴーレムは神経がきんで出来ているらしいから高値で売れる事間違いなしだな。

 ゴーレムの殺処分部屋は作れるだろうか。

 窒息死はしないと思う。

 ロボットに銃を装着して胸のコアを撃ち抜く仕掛けを作るしかないな。

 採算が取れると良いが。


 宝物は浮遊の靴。

 空中に浮けるらしい。

 沼地とかで大活躍しそうな装備だな。

 必要だからキープしておこう。


 事務所に帰ると、前の会社の後輩の辻堂つじどうから電話があった。


「おう久しぶり」

『大変です。尻手しって専務が復帰しました』

「それはまた社長は何を考えているんだ」

『それが、思考入力ってのがあるのを知ってますか?』

「知ってるも何も俺が開発した」

『それを使い脳内に刺激を与え。多幸感を得るらしいです』

「まるでドラッグじゃないか」

『ええ、付いていけないと社員が多数辞めてます』


 思考入力を逆流させてドラッグにしたのか。

 防止装置は作れるかな。


「分かった。こっちでも対策を考えてみる」

『じゃあ切りますね。社内がピリピリして電話もままならないんです。そちらからは連絡しないで下さい』


 辻堂つじどうは大丈夫かな。

 前の会社のサイバーリーディングエッジ社はもう長くないかもな。

 俺には思考入力ドラッグが線香花火の最後のきらめきのような気がしている。


 ウルトラソフトウェアに対策を練りに行った。


「思考入力ドラッグを知ってるか」

「ええ、パラダイスサイバーですね」


 楽園の電脳機器か。

 相応しい名前だな。

 ただドラックくさい名前だ。


「何とかできそうか?」

「今のところどうにもできませんね。魔石と思考を繋いでいるのはスキルなのでそれをなんとかしないと」

「スキルで逆流阻止は出来るけど、スキルを使って繋ぐことをしている社員が違反したら駄目だよね」

「金には弱いですからね。そういう可能性もありえます」


「法で縛れたら良いのだが。とりあえず副作用のデータを集めましょう。危険性を訴えるしかないと思う。きっと副作用があるはず」

「ええ、専門チームを立ち上げましょう」


 現在、第三セクターの職員は殺処分ファンドで研修をしている。

 俺は聞き取り調査をすることにした。


「何か感じたことはありますか?」

「死骸を運び出す仕事は危険を伴いますので激務ですね」

「マッピングスキル系の人員が確認してますが、まだ不安ですか?」

「ええ、昨日、夢で殺処分ロッカーの扉を開けたら、モンスターに襲い掛かられる夢を見ました」

「何か改善案とかありますか?」

「スキル付与というのがあるそうですね。マッピングスキルを付与して貰いたい」

「自分で死んでいるのか確かめたいのですね」

「ええ」

「上の方に上申してみます。たぶん大丈夫だと思いますよ」


 藤沢ふじさわ上溝うえみぞさんが儲けるだろう。

 良いことだ。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               51,360万円

上級ポーション1個             301万円

彫像10体                  10万円

弾丸製造                  500万円

金貨19枚                 219万円

伝令の石板                  10万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計               0円 52,400万円 52,400万円


パーティ収支メモ


              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               23,306万円

オーク3体                 201万円

ゴーレム3体              4,572万円

弾丸60発          6万円

弾丸用魔石        150万円

付与魔法依頼        50万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計            206万円 28,079万円 27,873万円




ファンド収支メモ


俺の出資1250口       125億円

客の出資3512口       351億2千万円


              支出       収入        収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               54,447万円

カイザーウルフ60体          4,500万円

ドッペルオーク12体            600万円

シャーマンオーク12体           720万円

エンペラータランチュラ12体      1,056万円

メイズスパイダー12体         1,020万円

エレファントスレイヤー12体      1,440万円

オーガ96体              5,280万円

くず鉄5トンほど               52万円

弾丸製造                  500万円

酒                      12万円

酒蔵買収       1,281万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計          1,281万円 69,627万円 68,346万円


遺産(不動産)         0円

ダンジョン        -48億円

出資金          125億円


 空き部屋から伝令の石板というのが出た。

 対になっていて文字を書くともう片方に文字が浮かび上がる。

 スマホの時代にこんなものは要らない。

 オークションに出したら10万円の値がついた。

 おばあちゃんとの連絡に使うらしい。

 スマホでメールを打てないから代わりとのこと。


 酒の販売を始めた。

 魔道具で作る酒という以外には特徴はない。

 1リットル100円の酒が、1200リットル分。

 でも安いからバッタ屋が買っていったらしい。


 今は知名度がないからこんな感じで良いそうだ。

 スーパーとか激安の酒として卸すのを目標にしているらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る