第86話 テイム

 討伐はオーガ2体と、カイザーウルフ2体だった。

 変異種が混ざっていたが、銃の前には関係ない。

 弾丸が通用しない硬さの皮膚があるとすれば、バリアでも使わない限り無理か。

 だが摩擦はゼロにはできない、肉とか脂肪で食い止めるのは出来る。

 慢心はしまい。


 宝物は酒瓶と銀の籠手だった。

 これも異世界博物館行きだな。


 さて、福生ふっさとテイムの相談だ。


藤沢ふじさわモンスターがリスポーンしたら教えてくれ」

「はい」


「テイムするには屈服させないといけないですが、大丈夫ですか?」

「リフォームスキルで拘束して脅してみる。それでだめなら毒を使って弱らすしかない」

「毒は使いたくないですね」

「いつまでも拘束しておくわけにはいかないぞ。何か計画があるのか?」

「おやつを与えたいと思います」


「まあ好きにするさ」


「先輩、リスポーンしました」

「よし開けるぞ」


 俺は殺処分ロッカーを開けた。


「【リフォーム】。拘束」


 ダンジョンの床が変形してカイザーウルフを拘束した。


「さあ、出番だ」

「良い子ですね。友達になりましょう。【テイム】」

「どうだ」

「失敗です」


「じゃあ、こうだな。犬っころよく聞け。今向けている銃口は脅しじゃないぞ。テイムに逆らえばいずれは殺す」

「お願い。いうことを聞いて。【テイム】。やりました。成功しました」


 だが、カイザーウルフはまだ唸っている。

 完全に屈服してはいないようだ。


「【ネットワークライイング】」

「従いなさい」


 やった、成功した。

 魔力が俺に流れ込んでくる。

 しばらく見ていたら、カイザーウルフの唸り声は止んで尻尾を振り始めた。


 俺は拘束を解いてやった。


「よしよし」

福生ふっさ達は空いている部屋でカイザーウルフと住むが良い」

「ええ、そうさせてもらいます」

「とりあえず、パーティメンバー全員をカイザーウルフと繋ぎたい」

「分かりました。これで殺処分されるモンスターも減りますね」

「カイザーウルフは人気が出るだろうが、オーガとオークは無理そうだな」

「仕方ないです。カイザーウルフの飼育ノウハウを溜めて、カイザーウルフだけでも救いたい」

「応援しているよ。俺も共存できないか考えていたところだ。ただ、一般家庭向けには法整備が必要だろう。手に余って野に放たれたら、被害が凄いからな」

「分かってます。特殊な保護団体が必要ですね。それとモンスターにマイクロチップを埋め込まないと。嫌がらないと良いのですが」

「拘束が必要なら言ってくれ。魔力貰ってスキルの連発が可能になっているしな」


 さて、ここまで来たら、上溝うえみぞさんに、インフィニティタンクスキルを付けてもらうとしよう。

 そうすれば、魔力がたくさん溜めれて、リフォームスキルの回数制限はないも同じだ。


 このモンスターから魔力を吸い取る施術は100万円ぐらい取っても良いな。

 冒険者なら、この価値は分かるだろう。

 その為にも、法整備だな。


 となると区長だな。

 俺は区長にアポを取った。


「今回来たのは、モンスターとの共存ができそうになった。が、法整備が要る」

「モンスターの飼育が一般人には認められてないというあれかな」

「まあね」


「条例を作ってほしいと」

「そうなる」


 区長はにんまり笑って金のマークを作った。


「いいだろう。活動資金は出してやる。だが賄賂にならないようにしてくれよ」

「区に寄付をしてもらえば、後はこっちでやる」


 ああ、モンスター飼育の調査とかで、利権が生まれるのだな。

 まあいいか。

 部署がひとつできで区長の後援者の親戚が何人か就職するぐらい。

 どこでもやっていることだ。

 それぐらいは目をつぶろう。


 区長と硬く握手をして、別れた。

 飼育の事業は始まったばかりだ。

 色々な問題点が出るだろう。

 だが、知恵を出せば解決は可能になるはず。


――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               42,552万円

上級ポーション2個             610万円

彫像10体                  10万円

弾丸製造                  500万円

金貨19枚                 219万円

ファンド配当             24,000万円

配布金の寄付    26,140万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計         26,140万円 67,861万円 41,721万円


パーティ収支メモ


              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               13,423万円

オーガ2体                 102万円

カイザーウルフ2体             102万円

弾丸60発          6万円

弾丸用魔石        150万円

付与魔法依頼        50万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計            206万円 12,737万円 12,531万円



ファンド収支メモ


俺の出資1200口       120億円

客の出資2212口       221億2千万円


              支出       収入        収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               75,573万円

カイザーウルフ60体          4,500万円

ドッペルオーク12体            600万円

シャーマンオーク12体           720万円

エンペラータランチュラ12体      1,056万円

メイズスパイダー12体         1,020万円

エレファントスレイヤー12体      1,440万円

オーガ96体              5,280万円

くず鉄23トンほど             236万円

弾丸製造                  500万円

配当2%      68,240万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計         68,240万円 90,894万円 22,645万円


遺産(不動産)         0円

ダンジョン        -64億円

出資金          120億円



 2階層の空き部屋から出る宝物は金貨率が高い。

 10億近くになるとファンドの配当をしているが、そのうち20億にしないとな。

 2階層の部屋の割り振りが難しい。

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