第85話 銃を硬化

「あのスキルコピーで銃を硬化させたら、どうでしょう」


 上溝さんから提案があった。

 硬化スキルのハードスキンはある。

 結構、一般的だ。

 よし、やってもらうか。

 討伐前に弾丸の重さ付与と合わせて依頼を出し、やって貰った。


 これで銃が使い捨てじゃなくなればかなり節約できる。

 カイザーウルフ2頭を仕留めて、オークキングとプリンス合わせて3頭の部屋も制覇した。

 宝箱は鞄とブーツだった。

 お古だからどれほどの値段になるか。

 たぶんハズレだ。

 異世界博物館を作る時のためにとっておこう。


 討伐が終わり、銃砲店でメンテナンスをしてもらう。


「問題ないね。前みたいに銃身が削られていない」

「ありがとう」


 これで節約ができる。


 さて、分譲キャンペーンを打つとしようか。

 どんなのが良いかな。

 やっぱり広告かな。

 マンションとかだとテレビCMとか、雑誌広告とかしてる。

 でも持っている部屋数が少ない。

 費用対効果はどうなんだろ。

 300戸ぐらいないとやっぱり駄目なんだろうな。


 殺処分ロッカーの方が美味しい。

 考えるに、冒険者を住まわせるべきなんだろうな。

 そうするとスタンピードの時に味方して貰える。

 でもCランクぐらいだと足手まといだ。


 魔石弾を普及させて、冒険者の底上げを狙うべきか。

 部屋に住んで貰った冒険者には魔石弾を提供しますとかが良いのだろうな。

 となると広告を打つなら冒険者関係だな。

 冒険者協会の機関紙みたいなのもある。


 彫像の趣味を辞めて弾丸制作に魔力を回すか。

 まあ、あれは趣味だからな。

 計算したところフルでやると一度に1万発を作るのは軽い。

 供給できるな。


「先輩、楽しそうですね」

「お金儲けとか色々を考えている。魔石弾の加工賃をいくらぐらいに設定するかな」

「千円ぐらい取ったらどうです」

「となると毎日一時間で1千万円か」


「お金持ちですね。年収1千万円でなくて、日収1千万円ですから」

「よし、ファンドの事業でやらそう。弾丸の売買なんかめんどくさい。古里こざとさんに丸投げだ。ファンドの取り分は半分でいいな。上溝うえみぞさんが凄い儲かるだろうな。銃を強化できるのは彼女しかいない」


 半分でも毎日500万俺の懐に入るようになる。

 捕らぬ狸の皮算用だけど、銃ならFランク冒険者でも撃てる。

 Fランク冒険者がAランクモンスターにも勝てる。

 夢のような話だから、きっと流行るはずだ。


 古里こざとさんと上溝うえみぞさんを呼んで話し合いだ。


「ファンドで魔石弾を売ってほしい」

「弾丸製造許可を取るのに1000万だ。それと、やるのは良いけどよ。銃の強化が追い付くのかな。と銃弾にも付与魔法掛けないといけないのだろう。付与魔法使いの増加は見込めるのか」


「そこで上溝うえみぞさんだ」

「はい?」

「銃の強化と付与魔法のスキルコピーいくついける?」

「毎日5つずつぐらいなら」


「てなると、普及はかなり時間が掛るね」

「まあな。でも確実にモンスター被害は減るだろう。やらない手はない」


「あの、私のスキル使用でおいくらぐらい頂けるのでしょうか?」

「うーん、依頼するとなると1回50万が相場だから、一日500万かな」

「それは高すぎる。Fランクにも浸透させたいのなら、10分の1にすべきだ」


「50万円でも凄いですね。1日で1ヶ月の小遣いが稼げます」


 上溝うえみぞさん、そんなに小遣い貰っているのか。

 当人が嬉しそうだから、10分の1で良いんだろうな。



「先輩、私のマッピングスキルもコピーして稼ぎたいです」


上溝うえみぞさんの魔力が増やせればな。魔石と繋ぐのは出来るから吸い取るのも出来るけど。コストがな」

「先輩、ダンジョンの魔力を吸い取れないでしょうか」


「ダンジョンには意思があるから、拒否されそうだな」

「でもリフォームではダンジョンの魔力を使ってますよね」

「あれは元からあるものだからな」


「許可が必要ならモンスターとネットを繋いで吸い取れないですかね。テイマーがいるのですよね」

「確認を取ってみる」


 俺は福生ふっさに電話を掛けた。


「ちょっと聞きたいのだが、モンスターから魔力を吸い取ったらどう思う?」

『大歓迎です』


 意外な言葉だ。


「何で?」

『大人しくなって、狂暴になるのを抑えられます』


 ほう、そんな仕組みになっていたとは。

 確かに魔力が溜まるとスタンピードが起こる。

 モンスターの性格に影響を与えているとは。


「よし、殺処分するモンスターをテイムしろ。魔モンスターから力は吸い取ってやる。ダンジョンの中に飼う場所も提供しよう」

『殺処分を回避できるなら嫌はないですね』


「じゃあ、明日な」

『はい』


「魔力外部タンクが作れるぞ。上手くいけばもう魔力の心配はない」

「それなら、事業が回るな」

「マッピングスキルコピーで大儲けです」

「よし、みんなでハッピーになろう」


 モンスターを外部タンクにするのは今後良いだろうな。

 テイムスキルをコピーすれば家庭でもモンスターを飼えるようになるだろう。

 法律改正が必要だが、政治家を動かせば出来ない事はない。


 魔石と繋ぐ色々な技術も、俺のスキルを際限なく使えれば、普及が早まるはずだ。

 ネックがひとつ解決しそうだ。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               41,603万円

上級ポーション3個             909万円

彫像10体                  10万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計               0円 42,552万円 42,552万円


パーティ収支メモ


              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               13,423万円

カイザーウルフ2体             102万円

オーク3体                 201万円

ライフル9丁       693万円

付与魔法依頼        50万円

銃硬化依頼        450万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計          1,193万円 14,332万円 12,533万円



ファンド収支メモ


俺の出資1200口       120億円

客の出資1877口       187億7千万円


              支出       収入        収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               61,720万円

カイザーウルフ60体          4,500万円

ドッペルオーク12体            600万円

シャーマンオーク12体           720万円

エンペラータランチュラ12体      1,056万円

メイズスパイダー12体         1,020万円

エレファントスレイヤー12体      1,440万円

オーガ96体              5,280万円

くず鉄23トンほど             236万円

銃弾製造許可     1,000万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計          1,000万円 76,573万円 75,573万円


遺産(不動産)         0円

ダンジョン        -64億円

出資金          120億円


 銃弾製造許可は業務提携するらしい。

 それならすぐに出来る。


 パーティの方の銃弾を買わなかったのは余った分があったからだ。

 殺処分ファンドの出資金も着実に増えている。

 金も溜まってきたのでまた配当しよう。

 出資が加速するに違いない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る