第76話 2階層通路制覇

 時が経つのは早いもので、2階層の通路も今日で制覇だ。

 Bランクでは銃の敵じゃなかったってことだな。


 さあ、打ち上げするか。

 買い出しに、ダンジョンから出ると、パトカーが来ていた。

 サイレンを鳴らしてはいないから犯人逮捕とかじゃないな。


「交通の邪魔です。許可なきデモは解散して下さい。騒音の苦情も出ています。静かにするように」


 パトカーの拡声器での呼びかけが始まった。

 警察が介入するとはな。

 きっと区長の差し金だな


 近隣の住民のデモは減っているな。

 警察に言われたら大人しく帰っていった。

 モンスター保護団体は居座っている。


 命を賭けるまではいかないが、逮捕覚悟でやっているのだろう。

 俺にとっては褒められない行動だ。

 動物保護の活動も別の場所があるだろうに。

 なにもうちを目の敵にする必要はないと思う。


 カイザーウルフの毛皮を大々的にやったのが不味かったかな。

 後悔はすまい。

 その金で色々と事業が回っている。


 どうなるか見ていたら、警察は手を出しあぐねている。

 犯罪者とも言い難いからな。

 どう、解決するのが良いかな。


 考えていたら、モンスター被害者の会がやってきた。


「帰れ! 帰ーれ!」


 帰れコールを始めた。

 その様子を警察は見ている。

 モンスター保護団体が帰れコールにキレてモンスター被害者の会に殴りかかった。

 パトカーから警察官を降りて来て、モンスター保護団体だけを逮捕し始めた。

 区長汚い。

 まあ、先に殴りかかったのは事実だから、暴行容疑ではあるんだけど。

 応援の警察官は呼んであったのだろう。

 何十人も警官が来ての逮捕劇になった。


 モンスター保護団体が逮捕されいなくなったので、俺は塀の門を開けて、道路に出た。


「モンスターをたくさんぶっ殺して下さい」

「応援してます」

「モンスターを苦しめてやってくれ」


 いや、俺にとってモンスターは金の生る木で害獣だ。

 憎いから殺しているわけじゃない。

 必要だから殺しているだけだ。

 モンスター被害者の会とも俺は相容れないだろう。


 考え方は人それぞれだ。

 その考えを否定はすまい。

 モンスターに家族を奪われれば憎いだろう。

 もう理屈じゃない。


 打ち上げの食材を買い込んで戻る。


「デモ見ていたら、色々と問題があって一朝一夕にはいかない問題だなと思って」


「ネコ科以外のモンスターは滅びちゃってかまわない」


 番田ばんださんも極端だな。

 ネコ科のモンスターが出て来たら討伐を妨害したりするんだろうか。

 ちょっとそれは勘弁してほしい。

 テイムスキルが欲しいな。

 誰かに生えないだろうか。


「虫は死ね。可愛い動物は生きろ」


 拝島はいじまさんは酔っているな。


「生き物を殺すのはちょっと可哀想です。モンスター殺すのも罪悪感があります」

「そうそう」


 女性陣二人は優しいな。


「僕は家族の霊さえ無事なら」


 うちのパーティもバラバラの見解だな。

 考えがひとつに纏まる方が珍しいのかも。


 俺は1000万円、モンスター保護団体に寄付することにした。

 モンスターではなくて絶滅の恐れがある野生動物を保護してほしいと書き添えて。


 打ち上げが終わって外に出ると、動物保護は綺麗さっぱりいなくなってた。

 いや、ネットで寄付したから、すぐに伝わるとは思っていたが、金なのか。

 金さえもらえれば良いのか。

 まあとやかく言うまい。

 彼等だって生活している。

 そういうことなのだろう。


 何事も綺麗事とはいかない。

 俺だってファンドの件はないなと、道義的には許されないよと思っている。


 まあ、正義の心だけじゃどうにもならないよな。

 芯がぶれなきゃ良いんだ。

 そう心に言い聞かせた。


「先輩、悲しそうな顔してますね」

「世の中は金だけじゃないと思っているけど、金で解決できちゃうことのなんと多いことだ」

「言っておきますが、私の愛は金じゃ買えないですよ。金だけじゃないですよ。プレゼントは嬉しいですけど」


 モンスター保護団体に誠意が伝わったと思っておこう。

 そう考えないと虚しいからな。


「ちなみに藤沢ふじさわは俺のどこが気に入ったんだ」

「先輩ってがむしゃらですよね。仕事に対して前向きなところが素敵です。一生懸命頑張っている姿って美しいと思いませんか」

「そうだな。努力している奴を見ると応援したくなる。世の中には頑張っている奴の足を引っ張りたいという奴もいるけど、普通の奴なら応援したいと思うはずだ」

「それが理由です」


 がむしゃらに頑張るか。

 多少粗があったり、世間の悪評が何だっていうんだ。

 そんなのは金で黙らせる。

 がむしゃらにやっていくんだ。

 雑音は金で消す。

 それでいこう。

 法は犯さないが、ギリギリの所は容赦なく踏み込んでいこう。

 でないと俺が背負っているものはどうしようもないからな。

 他人はなんと言おうが、これで良いんだ。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               26,103万円

上級ポーション2個             608万円

彫像10体                  10万円

保護団体寄付     1,000万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計          1,000万円 26,721万円 25,721万円


パーティ収支メモ


              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し                6,978万円

オーク10体                650万円

キングウルフ9体              405万円

ライフル6丁       462万円

弾丸60発          6万円

弾丸用魔石        150万円

付与魔法依頼        50万円

ボーナス500万ずつ 3,000万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計          3,668万円  8,033万円  4,365万円


ファンド収支メモ


俺の出資1200口       120億円

客の出資681口        68億1千万円


              支出       収入        収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               14,494万円

カイザーウルフ60体          4,500万円

ドッペルオーク12体            600万円

シャーマンオーク12体           720万円

エンペラータランチュラ12体      1,056万円

メイズスパイダー12体         1,020万円

エレファントスレイヤー12体      1,440万円

オーガ96体              5,280万円

くず鉄25トンほど             255万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計               0円 29,365万円 29,365万円


遺産(不動産)         0円

ダンジョン        -64億円

出資金          120億円



 打ち上げのついでにボーナスを出した。

 Aランク冒険者だと考えるとこの金額は少ない。

 だが、装備を支給していると考えると、多い方だろう。

 討伐内容も楽勝だからな。


 それとファンドの調子が良い。

 1日で300口近い契約があった。

 配当した実績というのはこんなにも大きいんだな。

 殺処分部屋が新たに確保できてないので、こんなものだが。

 2階層の部屋を全て制覇すれば、物凄い金額の配当を出せるはずだ。

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