第65話 コンビニ開店

 今日も通路のモンスターリスポーン潰し。


 向こうからオークピエロがやってきた。

 遠くから狙撃。

 着弾して血しぶきが上がる。

 オークピエロはあっけなく血だまりに沈んだ。


 部屋があって、藤沢ふじさわがマッピングスキルを使った。


「どうした?」

「24時間モンスターライブ映像のカメラを取り付けるので、安全を確認しました」


 俺はテキパキとカメラをリフォームスキルで取り付けた。

 一帯のゴミ回収機能を切ることも忘れない。


「よし、次に行こう」


 モンスターのリスポーン潰しと並行してカメラを何台か取り付けた。


 今日は、何体ものオークを葬ったが、オークはもはや魔石弾の敵じゃないな。


 付与の効果が1時間くらいで切れるので、リスポーン潰しの仕事は1時間で終わりにした。

 集中力も1時間も続けばいい方だ。

 命が掛かっているからな。


 階段に積んであるオークの死骸を1階層のボス部屋に入れる。

 そこはコンビニのバックヤードだ。


 ボス部屋を改造したコンビニはぐるりと回廊が作ってある。

 そうでないと、モンスターの死骸が運び出せない。


 正面に回って、店内を覗くと、客がいた。


 今日が開店か。

 近隣の住民も買い物に来ている。


 若者が多いのは、命知らずが多いってことだろう。

 もっともスタンピードが起こったら、この近辺は壊滅状態だがな。


 業者がフォークリフトでモンスターの死骸を運ぶのを客はまじまじと見つめている。

 ザコオークならともかく、Bランククラスのオークはでかいからな。

 見物に値するだろう。

 客はスマホでパシャパシャと撮っている。


 見物客がまた来るかな。

 1階層なら一般客は入っても構わない。

 2階層と隔ててる扉には鍵が掛かっているから問題ないだろう。

 コンビニを作る時に、赤外線の警報システムとカメラも設置してある。

 死骸の買取業者がモニターしているから安心だ。



「コンビニができると便利ですね」

「まあな。でも赤字だろうな」

「そうですね。外の住人が気軽に来ない限りそうなりますよね」

「立地はそれほど悪くないんだがな。オフィス街とか団地がある場所に比べたら、高級住宅地はちょっと弱い」

「でも、ダンジョンの中に人が入って欲しいのですよね」

「俺は分譲お買い上げを狙っている。なんせ5000万円だからな」


 夕方、雇われ店長が報告にきた。

 驚いたことに廃棄するような食品の売れ行きは黒字になっていた。


「意外だな」

「ああ、それですか。業者の人達が買い物してくれて、弁当やら酒類色々と売れました」


 ダンジョンの死骸の搬送は大変だからな。

 そりゃ腹も減るか。

 帰ってから一杯やるって人は、仕事の終わりに色々と買っていくだろう。


 モンスターの素材関係の業者は高給取りだ。

 財布の紐もゆるい。

 スーパーより高いコンビニで買い物する余裕がある。


藤沢ふじさわ、コンビニの開店祝いしよう」


 店長が帰ったので、俺はコンビニでビールとつまみを買って、藤沢ふじさわの仕事を中断させた。


「コンビニの会社役員を私なんかがやって良いのでしょうか?」

「いいんだよ。スタンピードがくればご破算になる。来なければ大金持ちだ。夢があるだろう」

「確かに夢がありますね。引退したら、先輩とコンビニやりたいな」


「コンビニはやめとけ。ブラックだぞ。親の葬式にも1日しか休めない。他人にやらせておくに限る。俺のコンビニは採算度外視だから、店長一人と副店長が二人いるけどな」

「何か面白いことを始めそうな顔をしてますね」


「ダンジョンの食材の料理を提供したいなと思って。そうすれば会社のイメージアップとか宣伝につながるだろう」

「いいですね。豚とカニは揃ってますから、牛と鳥が欲しい所です」

「そのうち、そういうモンスターに出会えるだろう」


 Sクラブ肉をコンビニ本部に売り込んでみようかな。

 きっと食いつくな。

 殺処分部屋をいくらで売ってやろうか。

 最低でも50億ぐらいで売れたらいいな。


 海産物がとにかく高いから、これ系のモンスターが狙い目だ。

 コンビニなら全国展開だから、需要は凄いことになるぞ。

 夢が広がるな。


 俺は図書館に行ってそれ系のモンスターを探した。

 牛はミノタウルスがいる。

 美味いらしい。

 鳥はコカトリスがいる。

 これも美味いらしい。


 それと意外に美味いのがドラゴン。

 ただ、ドラゴンは強敵だ。

 Sランクダンジョンだからそのうち出てくるだろう。

 全財産を賭けたって良いぐらい確信している。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               47,259万円

上級ポーション3個             912万円

彫像10体                  10万円

カイザーウルフ60体          4,500万円

ドッペルオーク12体            600万円

シャーマンオーク12体           720万円

エンペラータランチュラ12体      1,056万円

メイズスパイダー12体         1,020万円

エレファントスレイヤー12体      1,440万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計               0円 57,517万円 57,517万円


パーティ収支メモ


              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し                4,159万円

オーク19体              1,235万円

ライフル6丁       462万円

弾丸100発        10万円

弾丸用魔石        250万円

付与魔法依頼        50万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計            772万円  5,394万円  4,622万円


遺産(不動産)         0円

ダンジョン        -64億円

スタンピード積み立て金  110億円


 弾丸用の魔石が半分になった。

 おかげでパーティ収支が500万ほどの黒字になった。

 いまのところ銃で駄目な敵はいない。

 長い時間やればもっと稼げるだろうが、そんな事はしない。


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