第51話 こんなのでは終わらんよ
ものの見事に俺の会社のSNSは炎上した。
「先輩、どうします?」
「反撃する。
「そうこなくちゃ。実は良いネタがあるんですよ。
間抜けな奴だ。
だが、犯罪なんてそんなもの、どこかでボロが出る。
「でかした」
「反論するネタとして良いと思いませんか。まだあるんです。証拠書類の筆跡鑑定したら、先輩の名前を書いたのは
「それは有力な証拠だな。だが、筆跡鑑定は精度がある。
「今は反論だけですか」
「そうだ。少し不安がらせて、泳がす。訴えるのは何時でもできる」
俺は会社のホームページに朱肉の色の反論を載せた。
そして、週刊誌の記者を呼んだ。
3流犯罪者だな。
俺はそのこともホームページに書いた。
SNSの炎上は止まり、逆に
こんなのでは終わらんよ。
俺は死んだパーティメンバーの家族と会うことにした。
「奥さん、悔しくはないですか? 殺人を犯した
「悔しいです。でもあの映像だけでは駄目みたいです」
「裁判費用は持ちますから、
「はい、やりたいです」
俺と懇意にしている弁護士に電話を掛けたところ、知り合いの弁護士に話を持っていくと弁護士は言った。
民事で勝てば裁判費用は相手に請求できる。
賠償金も取れるし良いことだらけだ。
「当座の費用として1000万円用意します。足りなくなったら言って下さい」
「ありがとうございます」
集団訴訟になるらしい。
少し怒りが収まった。
蜘蛛モンスターの殺処分ロッカーを2部屋作るように手配する。
あれは売れるだろうな。
オーク呪術師とドッペルオークの殺処分ロッカーも作ることにする。
この2体はオークキングと比べると肉の味が落ちるそうだ。
だが、作らないという選択肢はない。
オーガは旨味がないので、追加の殺処分ロッカーは作らない。
カイザーウルフは5部屋で十分だろう。
海外でカイザーウルフ毛皮の売り上げが伸びたら、カイザーウルフの殺処分部屋を増やそう。
殺処分ロッカーは数時間で出来上がった。
今は試運転中。
「
「【マッピング】、死んでます」
「じゃあ開けよう」
何メートルもある蜘蛛が足を縮めて死んでいた。
「カニ♪ カニ♪ カニ♪」
「カニじゃなくて、エンペラータランチュラな」
「もう、カニだと思わないと喉を通りません」
「足1本を俺達用にとっておこうと思ったが、やめるか」
「もう、いけずですね」
もうひとつの蜘蛛は、メイズスパイダー。
蜘蛛の殺処分ロッカーの掃除は大変だ。
死ぬ前に蜘蛛糸を吐くからだ。
何もせずに死んだら良いのにな。
「掃除係のアルバイトを雇うか?」
「2つぐらいなら私達で十分じやないですか」
「それもそうか。でもこの蜘蛛糸、かなり強度があるぞ。なんでこんなに取れ難いんだ」
「油を塗っておくと蜘蛛糸くっ付かないらしいですよ」
「おお、サンキュウ」
油を塗って蜘蛛糸がくっつくのが緩和された。
蜘蛛からは素材として糸袋が採れた。
スパイダーシルクの布が作れるらしい。
高級品だ。
「1階層、ザコ部屋を制覇したら、
「本当ですか。やった」
「蜘蛛肉は嫌で、糸は良いのか」
「絹だってカイコの糸ですよね。カイコは普通食べません」
「珍味として食べる地域もあるそうだぞ」
乙女心は複雑だ。
俺は美味けりゃワニの尻尾でも食うけどな。
話の種にカエルと雀の姿焼きを食ったことがある。
美味かったから、悪感情はない。
ナマコなんかもたまに食うし。
――――――――――――――――――――――――
俺の収支メモ
支出 収入 収支
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
繰り越し 48,950万円
殺処分ロッカー4つ 2,108万円
裁判費用 1,000万円
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
計 3,108万円 48,950万円 45,842万円
遺産(不動産) 0円
ダンジョン -74億円
スタンピード積み立て金 100億円
裁判費用なんか惜しくない。
スタンピードが起これば紙屑同然だ。
起こらなければ、金持ちでウハウハなので1000万ぐらいの散財は惜しくない。
どっちにしても惜しくない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます