第50話 尻手《しって》の犯罪
朝、冒険者私立探偵から
メールで録画データを貰った。
ワクワクしながら録画データを再生する。
「おはよう。諸君」
冒険者私立探偵は
「おはようございます」
「今日はAランクダンジョンに潜ろうと思う。異論はないな」
パーティメンバーは頷いて、大型のバンで移動だ。
移動中、パーティメンバーはカラオケしたりしてご機嫌で、
バンはAランクダンジョン、オーガの試練場に到着。
到着するとパーティメンバーの顔が引き締まったものになる。
ただ、余裕だと笑っている
ザコ敵はノーマルオークでこれを危なげなく撃破しながら進んだ。
そして、1階層のボス部屋に入った。
いたのはオーガ。
「俺の活躍をみとけよ」
「【パーフォレイト】、あれっ」
「ガァァァァ」
オーガが吠える。
「な、な、何で俺のスキルが効かない。お前達は時間を稼げ、その間に打開策を講じる」
だが、パーティメンバーも戦意を喪失。
「こんなの敵う訳ない」
パーティメンバーが逃げ出した。
「お前ら肉盾ぐらいしろよ。【パーフォレイト】」
それを見て、
「ぐぁぁ」
血しぶきが上がって、一人倒れる。
「何をするんだ。もう付き合いきれない。パーティを抜ける」
「【パーフォレイト】【パーフォレイト】【パーフォレイト】【パーフォレイト】【パーフォレイト】、ふはは、逃げようとするからだ。肉盾も出来ない奴が偉そうに」
パーティメンバー全員が
冒険者私立探偵が死んだふりしているのは映像から分かっている。
「く、来るな」
オーガが近寄ってきたのでパニックだ。
オーガはパーティメンバーの死骸を食い始めた。
冒険者私立探偵はオーガの背後に回り、ワイヤーでオーガの首を締めた。
喉をかきむしるオーガ。
「【パーフォレイト】。どうだ、やったか。それにしてもついてたな。パーティメンバーが毒を身に着けていたとは」
オーガが倒れ、冒険者私立探偵は死んだパーティメンバーの死骸に再び隠れた。
本当にゲス野郎だな。
映像はここで終わっている。
やらかすと思っていたが殺人をやるとはな。
だが、これは盗み撮りなので証拠にはならない。
裁判官の心証を悪くするのは確実だが。
それにスキルが当たったかどうかを実証するのはむずかしい。
特に
ダンジョンのモンスターは何でもありだ。
見えない攻撃を繰り出すオーガがいたと言い逃れも出来る。
だが、世間はどう思うかな。
俺はあるパーティの壊滅の記録として、映像データを配信した。
許せないという声が多数上がった。
どこで電話番号を調べたのか
『やりやがったな。おかげでパーティを組む奴がひとりもいないじゃないか』
「ご愁傷様。だが、お前がやったことだ。この殺人者が」
「俺を犯罪者扱いしたな。どうするかみてろ』
「犯罪者も何も真実を配信しただけだろ」
『許さん、苦しめて地獄に送ってやる』
「それはお前のことだ」
電話は切れた。
俺を殺しにくるかな。
来たら正当防衛で返り討ちにするつもりだ。
外に出る時は用心しよう。
それは俺が横領したという証拠で、俺が横領したという暴露映像も併せてアップロードした。
ダンジョン分譲コーポレーションの社長は犯罪者ですと、主張した。
四角大ハムから、電話が掛かって来た。
そして、区長からも。
示談しているから、民事刑事とも告訴は絶対にないと言って安心させたが、どうなるか分からない。
――――――――――――――――――――――――
俺の収支メモ
支出 収入 収支
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繰り越し 48,950万円
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計 0円 48,950万円 48,950万円
遺産(不動産) 0円
ダンジョン -74億円
スタンピード積み立て金 100億円
幸事魔多しだったな。
それにしても横領の話を持ち出すとは。
ピンチだが、ピンチの後にチャンスありだ。
これからバンバン動くぞ。
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