第25話 魔力欠損症
ベッドとか、色々な家財道具をダンジョンに運び込む。
上の家は空き家になった。
伯父さん、仏壇はダンジョンに持ち込むから許して下さい。
細かい日用雑貨が必要になったら、上の家に取りに戻ればいい。
そろそろ、部屋を売りだす為の何かをしないといけない。
俺は
ダンジョンの中にWiFi電波は届いているから、大丈夫なはずだ。
俺は上の家のリビングで待った。
しばらくして
「私の部屋に来てくれてもいいのに」
「公私は分けよう」
「ちぇっ」
「来てもらったのは。いまダンジョンの中にリフォーム済みの部屋が2つ余っている。これをどう売り出すかだ」
「私が考えるに、ダンジョンという環境でなきゃ駄目という人を勧誘したらいいと思います」
「いいね。たとえば?」
「花粉症とか。定期的に上級ポーションが必要な人とか。あとは、
「なるほどな。空気中の有害物質は排除されるから、化学薬品アレルギーの人とかもいいな。問題はどうやってそういう人を集めるかだ」
「頼りたくはないですが、
「おおっ、マージンを少し払えば紹介してくれそうだ。じゃ早速」
待つ間、コーヒーを飲みながら世間話をする。
「前の会社、めちゃめちゃらしいですよ」
「俺もちょこっと聞いている」
「危ないって噂も」
「差し押さえとかされたら厄介だから、示談金の3000万円払うか。俺がダンジョン分譲コーポレーションから借金する形になるけどな。とほほだよ」
「部屋がバンバン売れれば、給料1億ぐらい払えるんじゃないですか」
「まあね。じゃあ俺は3000万振り込んでくる。
「はい、いってらっしゃい」
俺は銀行に行って3000万円振り込んだ。
帰ると
「美味しい仕事、ありがとうございます」
「俺にも得があるから、それであてはありそう」
「アレルギーの人は何人も知ってますが、リスクが見合わないので無理だと思います。可能性があるのは冒険者の人ですね。命知らずが多いですから、破産のリスクなど恐れません」
そして、1時間後にメールがきた。
しかも、魔力欠損症という難病。
魔力欠損症はダンジョンが出来てから発生した病気で、魔力が体から抜け出るのだそうだ。
そして、魔力が少なくなると気絶して、手当をしないと死んでしまう。
その手当というのが、魔力を譲渡するトランスファーというスキルしかないようだ。
だが、ダンジョンのすぐそばに住むと症状が緩和されるらしい。
庭先に白い高級外車が止まったのでびっくりした。
運転手が降りて来て後部座席のドアを開ける。
血色の悪い、儚げな女性が降りてきた。
幸薄そうというか人生に疲れているといった感じだ。
運転手がリボンの付いたつば広の白い帽子を差し出す。
彼女はそれを被ってゆっくりと歩き出した。
俺はダンジョンの入口で迎える。
「ようこそ。
「お世話になります。
ダンジョンの中を気分の良いと言われたのは初めてだ。
「気にいって貰えてうれしいです」
「魔力が減る量と中に入って来る量が釣り合っている気がします」
「【マジックアイ】。ええ、釣り合っているどころか上回っていますよ」
「そうですか、私ここに住みます」
「デメリットは理解しましたでしょうか」
「しました。他の所では生きていけないので、仕方ありません」
「こちらとしても、理解したうえでお買い求めになるのでしたら、反対はしません」
あっさりと一部屋売れた。
部屋に案内する。
「
「世界中に何千人といますけど、お金持ちでその病気の人は彼女以外は知らないわ」
金なんかどうでも良いとは言えない。
「あらっ、箱が出てますね」
「トラップがあると不味いんで決して自分では開けないで下さい。【リフォーム】」
宝箱をリフォームして開いたところ、上級ポーションが現れた。
「これはあなたの部屋から出たものですから、あなたの物です」
「でも、契約は済んでません」
「サービスですよ」
「では頂きます」
「ぷはぁー、生き返りますぅ」
「体に悪い物ではないですけど、どうですか」
「すこぶる体調がいいです。モンスターを片手で捻り潰せそうですわ」
「もしかして」
「スキルが芽生えてますね。インフィニティタンクで、魔力が無限に溜められるスキルですね。ですが、魔力欠損症は治らないようです」
「考えようですよね。ここに長く住めば長時間外で活動できる」
「そうですね。」
魔力さえ溜めまくれば、無敵に近いかも。
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俺の収支メモ
支出 収入 収支
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繰り越し 8,697万円
示談金 3,000万円
分譲販売 5,000万円
紹介料 500万円
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計 3,500万円 13,697万円 10,197万円
相続税 2,000万円
遺産(不動産) 0円
ダンジョン -94億円
現金が1億を超えた。
ポーションも順調に湧いているようだし、お金的な将来は明るい。
スタンピードさえなければだが。
この階層が全て売れる日はくるのだろうか。
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