第26話 初めての夜
改装した部屋に引っ越してから、初めての夜だ。
べつに怖いとかない。
今まで泊まっていたからな。
遠く聞こえるモンスターの咆哮もいいBGMだ。
インターホンが鳴った。
「はい」
『
「しゃあないな。入れよ」
「わぁ、これが先輩の部屋」
「汚い部屋だがな」
「そんなことないです。よく片付いてます」
インターホンが鳴った。
またかよ。
「はい」
『
「入って下さい」
「こんばんわ」
「こんばんわ」
「こんばんわ。ちっ」
「こうなったら、3人で夜を過ごしましょうか」
インターホンが鳴った。
またか。
「はい」
『
「入って下さい」
「お邪魔だったですか?」
「いえいえ」
「ちょうどよかった。
「どんな訓練だ」
「魔力を自由自在に動かす訓練です」
「ちょうど暇だったよ。3人でトランプするより訓練した方が良い」
「【マジックアイ】。気合を込めて魔力を動かしてみて下さい」
ぐぬぬと気合を入れる。
魔力が動いた感じが少しもしない。
「
「魔力が抜け出る感覚を思い出して、動かしてみました」
「あとのふたりはピクリとも動いてません」
「
「スキルを使うと目に魔力が集まってしまって、訓練出来ないのです」
しかし、動かないもんだよな。
「
「コーヒーカップをお借りしても良いですか」
「ええ」
「スキルをスキルなしで再現しますか」
頼むから、
ゴリラ女はちょっとな。
どちらかといえば、よわよわしいのにゴリラ並み、そのギャップが良い。
「わあ、魔力が見える目ってこんな感じなのですね」
「私のスキルも再現しますか」
「じゃあ、俺のスキルも再現できる【リフォーム】」
壁を少し変形してみた。
「ええと魔力を外に伸ばして壁を変形させるのですよね。すいません。体の外に魔力を出すのが怖いのです。病気の感覚が甦るので」
「出来なければ良いよ。無理にやらなくても」
となると
それか、筋力を強化して背丈ほどある大剣を振るうのも面白そうだ。
パーティメンバーに困ったら勧誘してみよう。
「先輩、眠くなってきました」
「そうか、
「ちっ、でも先輩の匂いに包まれたらよく眠れそう」
「女子高の合宿を思い出します」
「
「ええ、分かりました」
3人で寝る。
俺は床だが。
女の子がいるとなかなか眠りにつけない。
「あんっ。うへへっ、先輩駄目です。いや駄目じゃなくてオッケーの駄目です」
ベッドをみると
抱きまくらのつもりかな。
運転手付きの、高級外車だものな。
ゆくゆくは、魔力欠損症の患者をこのダンジョンに住まわせたいな。
最初の
今は生き生きして生きていくのが楽しそうに見える。
ダンジョンに住むことで生きることを思い出すような人もいるんだな。
お金さえなんとかなれば、そういう人をたくさん救えるのにな。
いや俺がなんとかするんだ。
今は無理だが余裕ができたら何か考えよう。
――――――――――――――――――――――――
俺の収支メモ
支出 収入 収支
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
繰り越し 10,197万円
上級ポーション 304万円
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
計 0円 10,501万円 10,501万円
相続税 2,000万円
遺産(不動産) 0円
ダンジョン -94億円
上級ポーションが毎日出るのが嬉しい。
相続税は、1階層を制覇したあとに払おう。
まだ、お金は手元に置いておきたいからな。
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