第12話 2倍体
今日も通路にあるモンスターリスポーン潰し。
オークメイジを倒して、フォークリフトで運び始めた。
「この通路はほとんどリスポーンを潰しましたから、安全です。
「あと1体倒したら、上がるつもりだ」
「じゃあ俺もオークメイジの死骸を運んだら、上がりますんで」
そう言って、
そして通路が分岐点に差し掛かる。
こっちの分岐の先はまだリスポーンを潰してなかったな。
分岐から現れ、前方に立ちはだかるはオークジェネラル。
俺はフォークリフトから飛び降りた。
驚いた事にオークジェネラルはオークメイジを食った。
オークジェネラルが膨れ上がる。
不味い事が起こったのは分かった。
いまのうちに殺さないと。
リフォームスキルの槍で串刺しにかかる。
槍はオークジェネラルの片手に掴み取られた。
そして、リフォームの時間が終わった。
もう槍は動かない。
その間もオークジェネラルはオークメイジをさらに食って大きくなっている。
そして咆哮を上げた。
次外したら、もう魔力が無い。
さっき連続で使っていれば。
でもさっき使って、両手で掴まれたら駄目だよな。
何か手はないか。
フォークリフトから降りたのは悪手だったか。
フォークリフトで壁と挟んでから、スキルを使えば良かったんだ。
いまだと出した槍が邪魔で進めない。
最善手はなんだ。
駄目だ追いつかれるに違いない。
ああ、俺は馬鹿だ。
もう一本槍を出して、オークが通れなくすればいいんだ。
「【リフォーム】。巨体が仇になったな。お前では通れまい」
オークジェネラルは槍の檻を何度も叩くがびくともしない。
ダンジョンの中にいるモンスターの攻撃で壁に穴が開いたなんて話は聞かないからそうなんだろう。
俺は全速力で
「どうした?」
「オークジェネラルが共食いして強くなったんです」
「それは不味いな。そういうのが起こるとスタンピードが早まる。討伐しないと」
「こっちです」
あの分岐に行くとフォークリフトがあって、槍の檻は突破されてなかった。
「完全に食い終わったな。オークジェネラルの2倍体だ。だが知能は上がってないようだ。【ストレングスアップ】、【シャープエッジ】、止めの【スラッシュ】」
腹を縦に割られて、オークジェネラルは臓物の海に沈んだ。
「お疲れです」
「今回は運が良かった。槍のバリケードが無かったら死んだのはこっちだったかもな」
「さあ、後片付けしましょう」
死骸を運ぶのにも気を抜けないとはさすがSランクダンジョン。
別行動は避けるべきだったんだ。
地上に帰って、カメラのデータを
コーヒータイムしてたら、
「もう、自分の命をなんだと思っているんですか。先輩の馬鹿」
「ダンジョンは危険なんだよ。安全なダンジョンなんてない」
「もう知りません」
言いたいことは分かる。
危ない事をするなって言うんだろ。
連続で4回だから逆算すれば分かるといえば分かる。
どんだけ真剣に見ているんだよ。
コーヒーを飲んで落ち着いたところで、パソコン部屋の扉をノックする。
「俺が悪かった。入るぞ」
すねたような顔の
「何が悪いか分かってますか?」
「心配を掛けた。それにあれは俺のミスであり油断だ。戦い方も不味かったし。まず第一に別行動が不味かった」
「とうぶん、許しません」
「言っておくが、ダンジョンは本当に危険だ。今回のようなことは何度でもあるし。全階層を制覇できるかどうか分からない。制覇、出来たら何でも望みを聞いてやる。お金で解決できることなら容易いからな」
「今ので帳消しにしてあげます。言質は取りましたよ」
「お手柔らかにな」
たった一人の部下だから大切にしないと。
前の会社では社員は消耗品だった。
俺はその現状に心を痛めたが、何もしなかった。
もし、会社を作るなら、社員は大切にしよう。
それが前の会社で後輩や同僚を庇ってやれなかった贖罪だ。
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俺の収支メモ
支出 収入 収支
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繰り越し 1,084万円
依頼金 150万円
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計 150万円 1,084万円 934万円
相続税 2,000万円
示談金 3,000万円
遺産(不動産) 0円
ダンジョン -100億円
残金が1千万を切った。
依頼を出せるのはあと6日。
戦える手段もあるし、依頼が出せなくなってもなんとかなるさ。
ポジティブに行こう。
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