第6話 死骸の運搬にフォークリフト
朝早く、インターホンが鳴った。
今日はかなり早い。
出てみると
「どうしたんだ。今日も会社だろう」
「会社なら辞めました」
「えっ、何で?」
「
「そうか、すまんな」
「
「いや、俺が前からちゃんとしとけばよかったんだ。戦うべきだった。戦わなくちゃ、何も勝ち取れない。それでこれからどうする?」
「
「それは許可できないな」
「何でです。もう後悔したくないんです。
どうしよう。
金が尽きたらきっとスタンピードを起こして破滅する。
俺がどう戦ったか生き様を覚えてくれる人が1人ぐらいいてもいいか。
「分かった。とりあえず動画の編集を頼む。今日からダンジョン内の戦闘を配信したい」
「了解です」
何となく重荷が少し軽くなった気がした。
しばらくして、
今日も、通路にあるモンスターのリスポーン潰し。
「とりあえず、回復を挟みつつやって、1日20回ぐらいはスキルを使いたいんですが」
「追加料金50万円でつきあってやる」
ちょっと待てと言うので、待っていたらトラックが家の前に停まった。
「買い取り業者だ。オークは良い食材なんでな」
「じゃあ行きますか」
カメラを録画にして、階段を下りる。
昨日の続きから始めた。
初めの敵は盾持ちのオークシールドだった。
難なく串刺しで仕留める。
ここからが大変だ。
今まで進んだ通路のモンスターリスポーン地点を壊したいのだが、2時間で1メートル四方は効率が悪い。
悪いが、攻撃する余力も必要だから、少しずつだ。
「
「そっちの方が良いかもな」
階段から降りた場所の一角のゴミ収集機能を潰した。
これでリヤカーをここに置いておける。
魔力回復の時間を使い、ホームセンターでリヤカーを買って来て、持ち込んだ。
オーガぐらいがギリギリだろうな。
魔力と言う要素があると巨大化は進むようだ。
もっとでかいのが出て来たら、それはその時で考えよう。
俺が空のリアカーを引いて
のっそりとオークナイトが現れた。
鎧を着ているから、防御力は相当だろう。
「とりあえず一当てしてみます」
「やってみろ」
「【リフォーム】」
床から伸びた槍で串刺しにできた。
オークナイトの鎧も、ダンジョンの床製の槍には敵わないようだ。
オークナイトの重量は鎧も重なって重い。
リヤカーに積むと、リアカーが軋んだ音を立てた。
「こりゃあ、特注品を作った方がいいな」
「今まではどうしてたんです」
「1階層ではフォークリフトを使ってた。2階層以降では特注の電動アシスト付き台車だな」
「そんな便利な物があるなら教えて下さいよ」
「金が無いんだろ」
「まあ」
フォークリフトを買うぞ。
調べてみたところ、良いのだと100万円を超える。
でもフォークリフトって攻撃にも使えないかな。
魔力回復の合間に出掛けて、中古の奴を買ってみた。
フォークリフトに乗ると強くなった気分だ。
オークジェネラルが出てきたので思いっ切り前進。
フォークで突く。
オークジェネラルはフォークリフトの突進を受け止めた。
くそう駄目か。
「【リフォーム】」
やっぱり頼りになるのはスキル。
串刺しにした。
「武器がでかくなると、魔力の通りが少なくなる」
「拡散してしまうわけですか」
「そうだな。だが、重機のハサミとかそれなりに強いぞ。だが致命傷は負わせられない。それにフォークリフトだとダンジョンに入るが。でかい重機だと通路に入れない。スタンピードでは重機は大活躍だ。ニュースで知っているだろう」
「仕事が忙しくってテレビを見てなかったもので」
「情報は大事だ。勉強しろ。知識の差が生死を分けることもある」
「分かりました。いろいろと調べます」
まずはオークから調べないと。
そして、オーガとカイザーウルフだな。
この歳になっても勉強とはなんとも大変だな。
フォークリフトで死骸を運ぶので楽にはなった。
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俺の収支メモ
支出 収入 収支
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繰り越し 2,065万円
依頼金 150万円
リヤカー 5万円
中古フォークリフト 113万円
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計 268万円 2,065万円 1,797万円
相続税 2,000万円
示談金 3,000万円
遺産(不動産) 0円
ダンジョン -100億円
リヤカーが無駄になった。
でもフォークリフトを置けない階層もあるはずだ。
先行投資として無駄ではないと思いたい。
フォークリフトは大きな買い物だ。
だがこれは必要だろう。
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