第4話 宝箱養殖場のアイデア

 今度依頼を出したら俺も攻撃に参加してみよう。

 新しいスキルが芽生えるかも知れない。

 使えるスキルならこのSランクダンジョンの間引きを俺一人でもできるかも。


 次の日、依頼を出した。

 今回も受けてくれたのは大船おおぶねさんだった。

 だが、今回は俺にも秘策がある。


「行きましょう」

「おう」


 前と同じ部屋にいくとオーガが復活してた。


「ちょっと試してみたいいんです。やってもいいですか。邪魔にはならないと思います」

「やってみろ」

「【リフォーム】」


 ダンジョンの石の地面が蔦のように伸びてオーガを拘束する。


「でかした。後は任せろ【シャープエッジ】」


 大船おおぶねさんは剣を抜くと一刀両断にした。


「やった。俺も討伐に参加できた」

「なかなか良いスキルだな。もう一匹ぐらいやるか。サービスしてやる」

「それが、再び使えるのが2時間後なんです」

「魔力回復なら討伐を重ねれば短くなる。精進だな」

「ええ」

「ところでこのオーガを拘束している石はいつ解ける?」

「すいません、魔力が復活する2時間後に再びスキルを使います」

「まあいい、2時間ぐらいではリスポーンしないからな。今回は楽をした」


 2時間後、リフォームを使いダンジョンの床を元に戻す。

 分かったのは俺のスキルをダンジョンに使うと元に戻らないってことだ。

 微妙にめんどくさい。


 大船おおぶねさんは、やはりオーガを担いで外に出る。

 オーガって高いのかな。


「それってどれくらいですか?」

「オーガの死骸か。魔石が50万円で皮が5万円だな」

「安いですね」

「まあな、命を掛けている値段としては安いな」


 一日一回の討伐で月給が稼げる。

 だが安いような感じがする。

 命が掛かっているのだからな。


 ちなみに武器だが、銃火器は使えない。

 魔力がこもってないとかすり傷ひとつ負わせられないからだ。

 剣が人気が高い。

 特にダンジョン産の剣は人気だ。


 俺は大船おおぶねさんが帰った後にダンジョンに一人で入った。

 オーガがリスポーンした時のために罠が作れないかと思ったんだ。

 そうすれば楽になる。


 リフォームで罠っていうと落とし穴なんかかな。

 効果あるのかそれ。

 リスポーンを細工して好きな時間に出現するようにできたらいいのに。


「【リフォーム】」


 部屋のモンスターのリスポーン機能だけを壊したつもり。

 でもきっと駄目なんだろうな。


 明日また大船おおぶねさんを呼ぼう。

 ダンジョンから出て、あと21回討伐が俺の寿命だと気づいてしまった。

 最短で21日。

 毎日討伐しないという選択肢はない。

 たぶん今の討伐量でも足りてないはずだから。


 次の日、大船おおぶねさんとダンジョンに入る。

 あの部屋を覗くとモンスターはリスポーンしてなかった。


「あれっ?」

「何かしたんだな。何をした? こっそり討伐でもしたか」

「いいえ、リフォームスキルでモンスターのリスポーン機能を壊しただけです。あれって成功してたんだな」

「やったな。お前、億万長者だぞ。Sランク冒険者並みに稼げるぞ」

「どうやってですか」

「モンスターは厄介なのがいる。わかるだろ、物理が効かない奴とかまあ色々だ。そういうのの討伐をさけまくっていると、部屋から溢れる。そして、ダンジョンから溢れる。で大惨事だ。お前のスキルはそれを防げる。相性の良い敵だけ討伐するのならどのダンジョンも簡単だ」

「ちょっと考えてみます」


「今日の討伐はどうする?」

「別の部屋をお願いします」


 今度の部屋もオーガだった。


「【リフォーム】」


 威力4分の1ぐらいをイメージした。

 オーガの片足しか拘束できなかった。

 でも大船おおぶねさんには十分だったみたいだ。

 あっけなく止めを刺した。

 4分の1をイメージして床を元に戻す。

 そしてモンスターのリスポーン機能を破壊した。

 今度はなんとなく手ごたえがあった。


 今日の討伐は終りだな。

 オーガの死骸を担いで大船おおぶねさんが通路を歩く。

 一番最初にモンスターのリスポーンを壊した部屋をみると宝箱が出ていた。

 宝箱とモンスターのリスポーン機能は別なようだ。


「この場合宝箱はどうなります」

「依頼には関係ないから、発見者である俺とお前と山分けだな」


 大船おおぶねさんによると罠はないそうだ。

 ワクワクしながら宝箱を開ける。

 出てきたのはポーションだった。


「こいつは上級ポーションだな。さすがSランクダンジョン。良い物が出る」

「いくらです?」

「300万だ。不治の病以外はほとんど治るからな」


 俺の取り分は150万か。

 今回は黒字になった。

 あれっ、部屋からモンスターを出現しなくして、宝箱だけとればウハウハだ。

 何とか部屋にあるモンスターのリスポーンを全て潰せれば、宝箱の養殖場の完成だ。

 かなり儲かるに違いない。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し                2,216万円

依頼金          200万円

上級ポーション               150万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計            200万円  2,366万円  2,166万円


相続税        2,000万円

示談金        3,000万円


遺産(不動産)         0円

ダンジョン       -100億円


 依頼金は痛いがどうしようもない。

 その分、ポーションが出れば大きい。

 早く、通路を終えて部屋の解放に行きたいところだ。

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